2023.11.6 建設経済常任委員会行政視察(糸島市)

 11月6日、建設経済常任委員会で福岡県糸島市を視察しました。視察の概要は次の通りです。

【視察テーマ】 糸島市沿岸域における磯焼けの現状と対策に関する研究について

★視察先に選定した理由

 江の島周辺における磯焼けについては、議会でも度々質疑が行われています。カジメなどの海藻が、アイゴに食べられてしまい、藻場が消失する磯焼けが起きている状況です。その対策としては、市民団体「江ノ島・フィッシャーマンズ・プロジェクト」などによる駆除をしている状況ですが、なかなか解決に至らず、実施していたアワビの稚貝の放流も見送られている状況です。また、漁場としての藻場の再生だけではなく、脱炭素の取組で注目されているブルーカーボンとして期待がされています。そこで、令和3年度に、九州大学と連携した「糸島市協定大学等課題解決型研究事業」について、藤沢市の取組の参考ににると考え、糸島市を視察したものです。

【糸島市沿岸における磯焼けの現状と対策に関する研究について】

 上記研究について、糸島市水産林務課の山﨑課長、久原係長、そして研究事業を担った九州大学大学院の栗田准教授から説明をいただきました。

1. 栗田准教授の紹介

 栗田准教授は、福津市の九州大学付属水産実験所に勤務しており、特に養殖による、二枚貝、ウニ、ナマコなどの持続可能なサスティナブルシーフード化を目指して研究、技術開発をしているとのことでした。そして、ウニの養殖で、エサを育ったタケノコにしたところ、荒れた竹林対策との一石二鳥となったとのことでした。これが、サスティナブルシーフードといい、これまでは、単に獲っていたものを、課題となっているものと組み合わせることで、相乗効果があるとのことでした。

2. 取組の背景

 九州の海は、元々は海藻が豊かであったが、海藻がなくなる磯焼けにより、瘦せたウニだらけとなっている。このまま進めば、サンゴ化して魚介類が取れない海になってしまう。なので、磯焼けからの悪化をさせないで、その前の藻場に戻していくことが重要とのことでした。

 さらに問題なのは、沿岸漁家の所得の低さ。令和3年度、沿岸漁家平均で所得は179万円と低く漁師の貧困を何とかしなければならない。そこで、研究として、クローバー、伸びすぎたタケノコ、焼酎カスなどょ利用した養殖技術であり、コストが安く、環境負荷が少なく、ブランド化しやすいなどのメリットがある。

3. インスタント藻場の開発・運用

 藻場の再生には時間がかかる。再生している期間に、一時的な藻場として有効なのが、インスタント藻場ということで、2021年度に雑草(よし)を使って、藻場の代替としての漁礁をつくる実証実験をしてモニタリングをしたところ、魚類の生息を確認。ただし、3か月程度で草が分解されるので、メンテナンスしやすいものに改良する必要がある。そこで、2022年度には、メンテナンスが容易なインスタント藻場へ改良をして効果を検証したところ、で   16種の魚類の生息が確認された。2度の台風でも破損はなかったとのこと。インスタント藻場のマニュアルを作成した。このことにより、定置網の入口に設置して網に誘導したり、環境学習として、例えば、小学校の授業の一環として児童が作成したインスタント藻場を海に沈めて、魚類が生息している状況を海女さんやダイバーが映像化して伝え、更には、その魚を食べて、食育としての活用も有効ではないかとのことでした。

 先ほど示した漁師の貧困対策として、インスタント藻場を設置できるのは、漁業権のある漁家しかできないので、その権利を利用したビジネスとしての展開も期待できる。更に、ブルーカーボンの取組は注目されており、オフセットクレジット制度として、ブルーカーボンの活用が期待され、企業の社会貢献としては大いに期待できるとのこと。企業と行政、漁家との連携により、磯焼けの解消、ブルーカーボンの推進、漁家の所得向上につながる可能性が大いにあるとのことでした。

【視察での主な質疑】

 この取組での弊害はあるか?⇒市の縦割りが課題。専門部署があれば進むのではないか。情熱を持った職員と1次産業者との信頼関係が大事。

 藤沢市では、シラスや観光船は儲かっているが、定置網は厳しい。糸島市では?⇒トップダウンでの委託となるのでやりたい人がやればいい。水揚げは大小あるので、調整は漁協がしている。何かに特化してはいない。

 インスタント藻場について、今後、20-30年後のイメージは?⇒今後10年は厳しいと思うが、次の10年はカーボンニュートラルで良い方向に向かっていくのではと思う。ただ、その間の藻場の残し方が大事。

 磯焼けの要因について、ウニなどが海藻を食べてしまうほか、海藻の成長を阻害しているものはあるか?⇒高水温、洪水による土砂の流入で海水が濁ることで光合成がしにくくなり、大型の改装が枯れ、小さい海藻をアイゴが食べてしまう。

 今年度の取組は?⇒ハマグリが獲れるが、白ハマグリ化しているので、原因調査と防止策の研究を依頼している。

 インスタント藻場について、時期を違えての実施の考えは?⇒使用する雑草が冬にはないので、初夏から秋がやりやすい。

 インスタント藻場にかかる費用は?⇒10m✕10mで2万円で作れるが、設置は別途。

 来年度以降の研究は?⇒具体的にはない。漁師が何に困っているか聞いて、准教授に聞いていく。

 漁師さんの人数は?⇒360人。

 糸島市の漁獲量は?⇒約3,000トンで横ばい。

 藤沢市の漁協が合併して、広域化となり温度差がある。どうしたらいいか?⇒コンソーシアムという形にして、民間、行政、漁協が入って、何に取り組むかを話し合うのが良いのでは。スポンサーは必ずついてくると思う。

 藤沢市で課題となっている、ガンガゼやアイゴを商品化できないか?⇒ガンガゼを食べている地域もあるし、ガンガゼは、あまり海藻を食べない。アイゴも獲ってすぐに処理すれば美味しい。

 インスタント藻場について、作り方や運用のマニュアルを作っているとのことだが、そのマニュアルはいただけるのか?⇒現在は、公開していない。

【まとめ】

 今回は、磯焼け対策として、研究の状況、結果、今後の展望について、研究をした九州大学大学院の栗田准教授から、直接話を聞けました。インスタント藻場は、藤沢市でも容易に作ることは可能と思いますし、効果的な取り組みだと思いました。インスタント藻場を設置すると同時並行で、アイゴの駆除を進めていけば、効果的な取り組みができるのではと感じます。特に、ブルーカーボンの取組については、企業の社会貢献やカーボンオフセットの需要もあると思いますので、ふるさと納税のメニュー化も含めた可能性を感じました。まずは、磯焼けの実態調査・把握をして、その改善策に今回の視察が活かされればと思います。 

以上、報告とします。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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