2022.12.16 本会議(4日目)~一般質問

 12月16日 10:00から、藤沢市議会12月定例会(4日目)が開催され、昨日に引き続き一般質問が行われました。なお、鈴木市長は、新型コロナの濃厚接触者となったため本日の本会議は欠席され、市長が予定していた答弁は和田副市長がすることとなりました。

※一般質問は、質問者と市側で答弁調整をしているため、質問・答弁のメモをとるのが難しいことから、これまでは、質問の抜粋のみを掲載していました。しかし、議長・副議長は議事運営をする立場なので、質問の要旨、答弁の原稿が手元にあることから、そこから抜粋・要約して掲載します。関心のある質疑については、インターネット中継録画、議事録等をご覧ください。

通告6番 甘粕議員

1. 市長の政治姿勢について

(1)若い世代への戦争記憶の継承について

 「ウクライナ情勢」、「北朝鮮によるミサイル発射」などの国際情勢の変化は他人事ではなく、本市にも影響を及ぼす可能性がある。本市は「有」についてどのように認識し、「平和の尊さ」についてどのような考え方を持っているのか?⇒(宮原企画政策部長)ロシアによるウクライナへの武力攻撃や、北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、世界の平和と安全や国際社会の共通の価値観が危険に晒されるとともに、核兵器使用の威嚇は、恒久平和を希求する国際社会の懸命な努力を踏みにじる断じて許されない行為と認識しててる。
 指摘の「有事」については、国民保護法は、万が一武力攻撃や大規模テロなどが起きた場合、国及び自治体、関係機関は、連携・協力して住民の避難や救援を行うこと、また、住民に対し、任意で協力を要請することがあることを定めている。
 本市としては、藤沢市核兵器廃絶平和都市宣言及び藤沢市核兵器廃絶平和推進の基本に関する条例に基づき、市民の平和で安全な生活の維持向上に資するよう不断の努力をするとともに、市民の協力を得て、平和行政を推進することが重要と考えている。

 平和は当然に保障されるものでないことは、昨今の国際情勢を見ても明らかである。戦争の悲惨さを教え伝え、また同時に「自由」や「民主主義」といった価値観を守る責任感も大切である。平和や自由を守るためにも、戦争の悲惨さや責任感をきちんと継承していくことが必要と考えるがいかがか?⇒(宮原企画政策部長)市としては、「自由」や「民主主義」という人類普遍の価値を、戦争の悲惨さから学び、継承していくことは極めて重要なことと認識している。本市では、戦争の体験や記憶に触れる機会が減りつつある現状を踏まえ、次代を担う子どもたちが、戦争体験者などの声を直接聞き、肌で感じる機会として、被爆地広島・長崎への派遣事業を実施している。派遣後の報告会では、平和になるためには、「まず知ること」「知
ろうとすることを続けること」を学んだという参加者の発表があった。戦争体験者の話をはじめ、平和に関する多様な考えや価値観に触れ、「自分ごととして」主体的に「平和の尊さ」を学ぶことで「責任感」が育まれるものと考えている。引き続き、子どもたちが主体的に平和の尊さを考える機会となるよう事業の更なる充実に向けて取り組んでいく。

 平和を維持し、自由を守るためには、国や地域社会を災害、感染症や武力攻撃も含めた有事から守り抜くという責任感の醸成も不可欠であると考えるが、市としてどう考えているか?⇒(宮原企画政策部長)本市としては、昨今の、激甚化する災害や新型コロナウイルス感染症等への対応、また、厳しい安全保障環境などを踏まえ、誰もが「平和」や「自由」について、自分ごととして認識し、未来に向けて、今、一人一人が国や地域社会に向き合うことが、大切なことと考えている。

 戦争の記憶を風化させない取組が大切だと思う。本市立学校での平和学習の状況は?⇒(峯教育部長)本市立学校における平和学習の状況については、児童生徒が平和的な国家及び社会の形成者としての資質を育成できるよう、教科の授業をはじめ、あらゆる教育活動の機会をとらえて平和教育を推進している。例えば、国語科において、戦争を題材にした読み物教材を通して、戦争や平和について深く考える授業を行っている。また、社会科においては、小学校6年生歴史単元の「戦争と人々の暮らし」の中で、中学校では歴史的分野の「二度の世界大戦と日本」の中で、大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解し、国際協調と国際平和の実現に努めることが大切であることを学習している。さらに、特別活動や総合的な学習の時間において、講師を招いた被爆体験講話会や、長崎の被爆者の方を講師としたオンラインの平和学習プログラム「ピースネット」を実施するなどして、戦争の悲惨さや恐ろしさなど、被爆者の方から証言を聞く機会をつくっている学校もある。加えて、中学校3年間で積み重ねてきた取組のまとめとして、修学旅行で広島を訪れるなど、平和学習に取り組んでいる。

(2)将来に向け戦争記憶を風化させない本市の取組について

 遺族も高齢化し減少に向かっているが、藤沢市遺族会の現状及び地域での遺族による戦没者追悼の現状は?⇒(池田福祉部長)藤沢市遺族会は、本市における戦没者追悼活動の中心を担う団体で、現在の会員数は345人、主な活動は、藤沢市遺族会戦没者慰霊祭の実施、大山慰霊大祭、全国戦没者追悼式、並びに、神奈川県や本市が主催する戦没者追悼式への参列などと把握している。
 しかし、ここ数年、会員の高齢化のため活動の縮小を余儀なくされていると伺っており、本市の戦没者追悼式への参加者も年々減少している状況。一方で、市内の37か所に、供養塔や慰霊碑、忠魂碑などが存在し、担い手がいる片瀬地区や村岡地区においては、地区の遺族会会員が中心となり、供養塔などを慰霊するための行事が行われている。

 市域全体としては、戦没者追悼の取組は今後どのように維持していくのか。慰霊の在り方についての考えは?⇒(福祉部 池田福祉部長)戦没者追悼の取組は、戦没者のご冥福と恒久平和を願うために大変重要であると認識している。戦没者追悼の取組を広げるためには、多くの市民の皆さんにご参加いただくことが不可欠であることから、今後はその手法を探る必要があると考えている。現在、一部の地区では、戦没者追悼の事業を地域団体と共同で行うなどの取組も見らるので、こうした事例も参考にして、遺族会の皆さんと協力しながら、戦没者追悼の在り方について、検討していく。

 令和7年に戦後80年を迎えるが、追悼の思いを風化させず、戦争の記憶を次世代へ継承させていくためにも、市としてしっかりとした取組が必要と考える。今後の展開の考えは?⇒(和田副市長)市長に代わって、わたくしから答弁させていただく。本市では、昭和57年に、「藤沢市核兵器廃絶平和都市宣言」を行い、市民とともに、「核兵器のない世界」と恒久平和の実現に向け、一歩一歩、真摯かつ継続的に取組を進めてきた。この夏は、広島・長崎への派遣事業を3年ぶりに実施し、参加した子どもたちからは、「世界で唯一の被爆国の国民として、原爆の脅威と惨禍を世界中に伝えられるのは、私たちしかいない」との報告を受け、恒久平和実現への意志を強く感じた。戦後80年は、市制施行85年にあたる。市としては、次世代への継承として、デジタル技術など様々な手法を検討し、戦没者への追悼の思いを風化させることなく、戦後80周年を迎えていきたいと考えている。

(3)他国によるミサイル攻撃等からの市民を保護する取組について

 北朝鮮によるミサイル発射などの国際情勢に鑑みると、外国のミサイル攻撃から国民を守る必要がある。避難施設を整備し、そこに避難していただくことが現実的であると考える。例えば、鉄道の駅等の地下施設や令和元年5月に私も視察した市内の城南交差点付近へ繋がってくる横浜湘南道路トンネルといったようなトンネル等がそういった用途として整備ができると思う。国が主体的に対策するとは考えるが、藤沢市民44万人や市内滞在者をミサイル攻撃から保護できる施設は、市内にどのくらいあるのか?⇒(斎藤防災安全部長)武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法に基づき、神奈川県知事により指定された本市における避難施設については、本年9月に、新たに地下施設のある小田急電鉄、相模鉄道、横浜市営地下鉄の各湘南台駅、及び同駅の地下公共施設が追加指定され、現在81か所となっている。

 指定された施設には、どういった構造や設備が求められているのか?⇒(斎藤防災安全部長)避難施設の指定に係る考え方は、国の資料によると、緊急一時避難施設としては、弾道ミサイルの攻撃等による、爆風や破片等からの直接の被害を軽減するため、一時的な避難に有効と考えられる、コンクリート造り等の堅ろうな建築物や、地下街・地下駅舎等の地下施設を指定することとしている。
 そのほか、避難施設としては、避難住民を収容することができる学校・公民館などや、炊き出し・応急仮設住宅の建設等の救援に活用できる公園・広場などを指定することとしている。本市としては、現在指定されている施設のほかに、緊急一時避難施設等として想定される市内のトンネルや地下施設などの状況について、国や県との情報共有に努めていきたいと考えている。

 市が単独で、ミサイル攻撃から身を守ることができる避難場所を整備していくのは困難だと考える。この点、国・県との連携や補助を受けることなどは考えられるのか?⇒(斎藤防災安全部長)国民保護のみを目的とする避難施設の整備に関しては、現在、国等の補助対象等に該当していないもの
と認識している。また、シェルターなどの整備に係る考え方は、国の資料によると、関係省庁において、弾道ミサイルなど武力攻撃を想定した避難施設の在り方に関し、一定期間滞在可能な施設とする場合における必要な機能や課題等について、諸外国の調査を行うなどして、引き続き諸課題の研究、検討を進めていくとしている。このことから、本市としては、今後も国や県の動向を注視しつつ、情報収集を図っていきたいと考えている。

通告7番 松長議員

1. 市長の政治姿勢について

(1)横浜湘南道路 藤沢インター付近の経済活性化について

  藤沢インターの開設は、本市中部の経済活性化において絶好の好機であると捉えるが、市としてこの好機をどのように生かしていくのか?⇒(饗庭経済部長)藤沢インターチェンジは、現在、新湘南バイパスの起点として圏央道さがみ縦貫道路に接続しているが、今後、横浜湘南道路と新たに接続されることにより、横浜、横須賀方面とのアクセスの向上が図られるとともに、市の東西を横断する高速道路ネットワークのインターチェンジとして、国道1号と連結されることとなる。このインターチェンジの完成により、接続する地域からの車両の流入増加が見込まれるため、インター周辺を
南北に縦断する幹線道路への波及も見据え、中部、北部を含む市内産業の活性化について研究していきたいと考えている。

 地域活性化への好機であり、地元の農水産物の売り込みや農業経営への一助などとなる「道の駅」を、湘南藤沢地方卸売市場付近の水田を使って整備することについて、市の考えは?⇒(饗庭経済部長)本市において、湘南藤沢地方卸売市場付近の水田は、農業の振興を図ることが必要であると認められる地域として、農業振興地域の整備に関する法律に基づき、農用地等として利用すべき土地に指定している。このことは、都市づくりの方針を定めた藤沢市都市マスタープランにおいても、本市中央部に広がる優良農地であり、市街地を分節する緑空間として、また農業地として維持・保全に努めることとしており、市としては、農業者の協力のもと水田の保全に努めているところ。また、本地域については、本年の3月末に土地所有者の方々から、農用地の指定除外の要望があり、除外することはできない旨の回答をするとともに市からは新たな担い手確保への取組や作業効率向上への提案をさせて頂き、市としては、農地として保全に努めていくと回答したところ。

 土地所有者へ除外できない旨の回答をしたとのことだが、その後の対応状況は?⇒(饗庭経済部長)要望に対する回答後の対応については、本地域の活動主体である水利組合の役員の方々に、例えば、区画が小さいので大きくしたいとの要望に対して、国や県の補助で区画拡大を図る手法についての説明など、要望で頂いた課題に対し、市から事業提案をさせて頂いているところ。いずれにしても、農業者の協力が前提となるので、農業者等の意見に丁寧な対応に努め、農地の保全を図っていく。

(2)辻堂駅周辺交通の利便性向上について

 辻堂駅から離れている、SSTや辻堂太平台、辻堂東海岸などの辻堂エリアの交通について、高齢者のことを考えれば、コミュニティバスや地域バスなどの充実を図り、交通アクセスの向上が求められているが、市としてどのように取り組んでいくのか?⇒(三上計画建築部長)辻堂地区では、これまで地域や交通事業者と連携を図り、辻堂団地から辻堂駅南海岸線を経由し辻堂駅南口を結ぶ地域提案型バスを導入し、本年8月には、路線バスの定時性確保のため、一部ルートを昭和通りと言われている辻堂停車場辻堂線から辻堂駅南海岸線へ変更してきた。
 また、現在、辻堂元町や辻堂東海岸などの交通空白地においては、お住いの方を対象に、移動の実態を把握するため、アンケート調査の実施を予定している。今後についても、辻堂地区郷土づくり推進会議や関係機関などと連携し、地域の実情に応じた公共交通の充実に努め、誰もが移動しやすい環境整備に取り組んでいきたいと考えている。

(3)森林環境譲与税の使途について

 森林環境譲与税は、市町村ごとに森林面積、人口、林業従事者数の数値により算出された額を基準とし、各市町村へ配分されているが、国が定めている森林環境譲与税の使途は?⇒(川﨑都市整備部長)国が創設した森林環境譲与税は、適切な森林の整備等を進めることが、地球温暖化防止のみならず国土の保全や水源の涵養、地方創生や快適な生活環境の創出等につながるという趣旨に則り、森林整備等に必要となる地方財源を安定的に確保する観点から創設されたもの。
 その使途については、「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」により「森林の整備に関する施策」と森林の整備を担うべき人材の育成及び確保、森林の有する公益的機能に関する普及啓発、公共建築物等における木材の利用の促進等の「森林の整備の促進に関する施策」に充てることとされている。

 本市における森林環境譲与税の使途の考え方と歳入額は?⇒(川﨑都市整備部長)本市における森林環境譲与税の使途の考え方は、36箇所ある市有山林において、手入れが行き届かず大径木化した樹木等による隣接地への倒木被害を未然に防ぎ、かつ、森林環境の改善を図るため、令和2年度から樹林地復元業務への充当を最優先に実施している。歳入の額は、令和元年度は1,707万7千円、令和2年度は3,629万円、令和3年度は3,694万9千円。

 
森林環境譲与税を活用した樹林地復元業務の進捗状況は?⇒(川﨑都市整備部長)西富第二緑地、片瀬山一丁目緑地、善行に位置する金子の森及び稲荷にあります元藤沢航空隊付近の市有山林4箇所において、当譲与税を活用した樹林地の復元・再生のための整備を実施している。このうち、金子の森については、今年度で作業が終了する見込みであることから、36箇所ある市有山林のうち1箇所が今年度で終了し、3箇所が実施中、また32箇所が未着手という状況。

 民有地にもナラ枯れ等の理由により倒木の危険があるなど、早急な対応が必要な場所はあるが、当譲与税を活用する考えはないのか?⇒(川﨑都市整備部長)「森林病害虫防除法」の規定では、ナラ枯れ等森林病害虫等の被害対策については、森林所有者又は管理者が実施することが前提となっている。このことを踏まえ、現在、民地における被害発生について問い合わせがあった場合には、相談や伐採等の作業に対し、迅速な対応が図れるよう藤沢市緑化事業協同組合と連携した取組を実施している。議員指摘の民有地への森林環境譲与税の活用については、現在の充当先である市有山林の樹林地環境の復元に、一定の目途が立つまで、概ね15年程度見込まれること、さらには、公共施設の改築等に伴う木質化についても当譲与税を充当するなどの活用計画としている。従って、民有林の樹木管理等への充当については、現段階では困難と考えている。

2. 藤沢聖苑について

(1)残骨灰の処理について

 令和3年9月の一般質問で本課題を取り上げたが、改めてこれまでの取組状況は?⇒(池田福祉部長)昨年度は、藤沢市葬祭業組合に残骨灰を売却することに関する意見を聞くとともに、藤沢聖苑の火葬に係る業務全般を担う株式会社五輪、及びその業務の一部である火葬残灰処理を担う株式会社アゲインテックに対し、現状の残骨灰の取扱いについて、改めて確認した。
 今年度は5月に、県内で既に残骨灰売却を実施している「横須賀市」、及び「秦野市伊勢原市環境衛生組合」を訪問し、実施経緯をはじめ売却事務の進め方、実施に対する市民等からの意見について確認をした。また8月には、関東圏内で売却を実施、もしくは実施を予定している4自治体に対し残骨灰を売却することに関する市民感情と環境面での課題について、文書での照会を行い、本市としての考え方を整理したところ。

 当初、市は、市民感情や環境面での課題があり、慎重に議論を進めたいとの事だったが、関係団体との意見交換や関係者への聞き取り、他市照会等を踏まえ、現時点ではこうした課題をどのように捉え、残骨灰売却をどうしていくのか?⇒(池田福祉部長)本市としては、当初、残骨灰を宗教的感情の対象物とせず、直接売却することについて、市民の皆様に理解いただけるかという点において課題があると捉えていた。しかし、他市への視察や照会を行ったところ、残骨灰の売却に対する、遺族や市民からの苦情要望等は、総じて無かったことから、現在は、本市においても同様に支障が無いものと考えている。また、有害化学物質が含まれる等の環境面の課題については、他市の状況から、分別処理に伴い発生する資源物、廃棄物を適正に処理することを、入札条件や仕様書において徹底することで、解決できるものと考えている。こうしたことから、本市としては、残骨灰売却に関する当初の課題は解決できるものと考えており、令和5年度からの残骨灰売却実施に向けて準備を進めていく。

3. 文化芸術について

(1)藤沢らしい文化芸術について

 藤沢らしい文化芸術として、市民オペラがあると思う。現在は公益財団法人みらい創造財団が音楽事業の一つとして主催しているが、前オペラシーズンにおける音楽事業費のうち市民オペラ関連事業費はどのくらいなのか?⇒(板垣生涯学習部長)市民オペラは、公益財団法人藤沢市みらい創造財団を主催者とし、3年を1シーズンとして展開しているが、直近のシーズンは、新型コロナウイルス感染症の影響により、本公演を1年遅らせることとしたため2018年から2021年までの4年を1シーズンとして実施している。この4年間の音楽事業費の合計は約1億7千万円で、うち、約1億2千万円が市民オペラ関連の事業費となっている。

 同財団が行う芸術文化事業は市民オペラ以外にも様々あると思うが、それらの事業はどのようにして決まっているのか。また、その財源は?⇒(板垣生涯学習部長)みらい創造財団が行う芸術文化事業については、同財団の芸術文化事業課において事業計画が作成され、同財団の評議員や地域の経済団体、学識経験者らで組織された、公益財団法人藤沢市みらい創造財団 芸術文化専門委員会で検討し、同財団の理事会において決定している。
 また、事業実施にかかる財源については、本市からの補助金のほか、入場料収入に加え、国や民間団体からの助成金を積極的に活用しながら進めている。

 市の出資団体であるみらい創造財団が行う事業なので、事業の透明性が重要。特に市民オペラに出演するソリストの選定については、どのように行っているのか?(板垣生涯学習部長)市民オペラは、特に事業費も大きくなることに加え、専門性が高い分野であることから、学識経験者や音楽関係者等で構成される「藤沢市民オペラ制作委員会」において、演目等について決定している。市民オペラにおけるソリストの選定方法は、市民オペラ本公演に出演する方については、公募による公開オーディションを行い、決定している。なお、1年目の招聘公演と2年目の演奏会形式については、オーディションは実施していないが、演目に適した配役を芸術監督が選定し、「藤沢市民オペラ制作委員会」の中で決定をしており、事業の透明性については担保できていると捉えている。

 シーズン1年目の招聘公演と2年目の演奏会形式の公演は、オーディションを行わないとのことだが、市税を投入し藤沢オリジナルの配役で公演を行うのであれば、できるだけ市内在住の出演者を選ぶことはできないのか?⇒(板垣生涯学習部長)藤沢市民オペラは、国内外で活躍されているプロの方たちと、藤沢のアマチュア合唱やオーケストラが共演するという形で歴史を積み上げてきている。また、市民オペラの3年1シーズンの中で、1年目は鑑賞機会の提供を目的とする招聘公演を、2年目は、鑑賞機会の提供とともに3年目の本公演に向け、合唱やオーケストラに参加する市民の意識の醸成を図ることを目的として、演奏会形式の公演を行っている。この、市民オペラ本公演に向けた流れの中で、芸術監督が公演ごとに最適と考えるソリストを、その所属等を問わず多くの声楽家の中から選定し、「藤沢市民オペラ制作委員会」で承認をいただいているところ。

 これまで長く、藤沢で育んできた市民オペラだが、市民会館を含む生活・文化拠点の再整備が進む中、今後市民会館が休館する期間が出てくる。その間にどのように事業を進めていくかが市民オペラの将来にもかかわってくるように考えるが?⇒(板垣生涯学習部長)市民オペラについては、本年から新たなシーズンである2022-2024シーズンに入り、先日招聘オペラ「ラ・ボエーム」の公演が行われた。一方、市民会館を含む生活・文化拠点再整備事業が進捗しており、現在の予定では令和8年度から令和11年度の途中までの4年程度、市民会館が使用できなくなる見込み。
 この期間中における市民オペラに関する取組は、現在のシーズン制や、事業などの評価等を行い、よりよいものとなるよう検討するとともに、市民
オペラの周知啓発につながるような事業を展開していく必要があると考える。いずれにしても、これまで市民オペラに携わってこられた先人たちの思いを大切にしつつ、より多くの市民に市民オペラに親しんでいただけるよう、取り組んでいく。

通告8番 永井議員

1. 自然環境の保全について

(1)藤沢市の自然環境の保全策等について

 本市における自然環境の状況を把握するために、生物多様性地域戦略の施策の一つとして自然環境実態調査の継続的な実施が掲げられているが、これまでの調査内容と結果の状況は?⇒(川﨑都市整備部長)本市では都市化の進展と合わせ自然環境の保全を目的として、その状況を把握するために平成10年度から13年度にかけ市民団体や大学等との協働により第1回の自然環境実態調査を実施した。その後、その経過を確認するために平成23年度から25年度にかけ2回目の自然環境実態調査を1回目の調査と同様に関連団体と協働して実施してきた。
 その結果は、市民協働で保全を進めている市内三大谷戸等の緑地では自然環境の劣化が最小限であったものの、そのほかの緑地については良好な環
境の指標となる動植物の種類が減少していることや特定外来種が定着していることなどが判明した。なお、今後については、第2回調査から一定期間
が経過したことから、関連団体との協働により第3回自然環境実態調査の実施を予定している。

 市民意識調査において、緑地や樹木などの緑の保全に対する満足度が全体の約1/3の33%と若干低い結果であると感じる。このような中、生物多様性地域戦略に関し自然環境調査以外で本市がこれまで行なってきた取組は?⇒(川﨑都市整備部長)平成30年度に策定した「藤沢市生物多様性地域戦略」では、将来像を「生きものの恵みを感じるまち藤沢」と定めるとともに「生物多様性に対する認識不足」を最大の課題と捉え、まずは啓発することによって人々の関心、認識を高めることを策定の狙いとしている。そのため、これまでに引地川親水公園に隣接する稲荷の森や湘南大庭地区にある裏門公園などにおいて、公民館などと連携しながら、多くの市民に向けた自然観察会等を開催し、本市が持つ豊かな自然環境を体験することで、生物多様性の大切さを知っていただける機会を設けてきた。
 また、身近なところで普及啓発を図ることを目的として市役所の分庁舎での展示や、総合市民図書館、湘南大庭市民図書館、辻堂市民図書館の3館における企画展示を行い、関連する図書を配架するとともにパネル展示やパンフレット等を専用のコーナーに陳列し普及啓発に取り組んできた。

 生物多様性地域戦略の各施策はSDGsとの関連付けが反映されており、特に陸の豊かさを守るための計画が多くある。その様な中、今後の生物多様性に関する取組の考え方と、地域戦略の重点プログラムで示された「生物多様性に関する拠点機能の構築」について、令和5年度から指定管理事業として本格稼働する生物多様性センターとサテライトセンターが担う具体的な取組は?⇒(川﨑都市整備部長)藤沢市生物多様性地域戦略では、まずは生物多様性に関する認識不足の解消と、重要性についての啓発を最優先に図ることとしている。このことから、現在緑の普及啓発の拠点として開設し
ている長久保公園に、各種講習会や展示等により生物多様性を学ぶことができる生物多様性センターとしての拠点機能を新たに付加するもの。
 また、市内三大谷戸に開設を予定している生物多様性サテライトセンターでは都市部に立地するセンターでは成し得ない、豊かな自然環境を活用した自然観察会等の事業を展開していく予定としている。この取組については、今年7月に開園した遠藤笹窪谷公園を先行して運用を開始することで、指定管理者が主体となり市と連携を図りながら、SDGsの視点を取り入れた取組を行っていくもの。

 生物多様性センター及びサテライトセンターをはじめ、生物多様性の促進において今後想定している様々な主体との協働の具体的なイメージは?⇒(川﨑都市整備部長)今後、両センターにおいて様々な取組を予定しているが、まずは、これまでも連携を図ってきた日本大学生物資源科学部をはじめとした市内の各大学との連携を継続していく。また、市民ボランティア団体など様々な主体と協働で自然環境の調査を実施するとともに、観察会などの講師を依頼するなどの連携を強めていく必要があると考えている。
 さらに、神奈川県立生命の星・地球博物館など大学以外の組織においても、今後、自然環境実態調査を始めとした様々な取組に対し協力を仰ぎながら生物多様性の普及啓発活動を進めていきたいと考えている。

 環境省では2030年までに陸と海の30%の保全を目指す目標である「30by30目標」を「ポスト2020生物多様性枠組案」の中で掲げている。今後本市での取組の考えは?⇒(川﨑都市整備部長)30by30目標については、今年度中に策定される予定の次期生物多様性国家戦略の重要な要素として組み込まれる予定となっている。その後、この内容を受け、令和5年度末に神奈川県の生物多様性戦略が改定される予定となっており、本市ではこれらの取組に関する方針を見据え、次期生物多様性地域戦略を改定する予定としており、その中で陸域の保全策に関わる具体的な取組みを示していきたいと考えている。また、海域の保全策については、広域的な取組が必要であることから今後改定される県の戦略の内容を踏まえ、必要に応じて各部署と連携を図り、取り組んでいきたいと考えている。

 先ほどの答弁の中で、これまでも生物多様性の大切さを知ってもらうため、公民館などと連携して多くの市民に向けた自然観察会を開催しているという話があったが、本市では里山環境での自然体験がまだまだ少ないように感じている。今後、生物多様性センターや、サテライトセンターを開設し、生物多様性の普及啓発に向けた取組が本格的に始まるとのことだが、最後に、本市の未来に向け子供たちを対象とした生物多様性の普及啓発をどのように行うのか、市長の考えは?⇒(和田副市長)市長に代わって答弁させていただく。藤沢市生物多様性地域戦略では、先ほど部長が申し上げた将来像である「生き物の恵みを感じるまち藤沢」に向けて、4つの基本方針を定めている。その中の一つを「生物多様性と子どもたちの関わりを増やします。」と定め、その施策の方向性に「子どもたちを中心とした生物多様性を学ぶ場の充実」と示しているす。このことから、今後については、長久保公園に開設する生物多様性センター及び遠藤笹窪谷公園に開設するサテライトセンターで開催する、様々な講座や自然観察会等を通じて子どもたちが生物多様性を身近に感じ、より深くかかわることができる機会を設けていきたいと考えている。
 いずれにしても、本市の自然環境はこのような取組により、子どもたちを中心としながら多くの方々へ生物多様性の大切さについて発信することで、将来に受け継がれていくものと捉えている。引続き、サステナブル藤沢の実現に向け、取り組んでいきたいと考えている。

通告9番 石井議員

1. 防災政策について

(1)災害時相互応援協定都市との連携について

 先日、大船渡市役所を訪問してきた。藤沢市も災害時相互応援協定を結んでいると思う。平常時の訓練や災害時の応援要否などで連携していると聞いているが、この協定の背景と目的、また、他自治体との災害協力について、協定を締結しなければ出来ないことなどがあるのか?⇒(斎藤防災安全部長)大船渡市との災害時相互応援協定の背景は、東日本大震災の被災地支援として、平成24年度から本市職員を同市に派遣し、様々な復興業務に携わるとともに、災害対応に関する情報交換等の交流を行ってきた。このように培った信頼関係を基礎として、平成30年2月に締結したもの。その目的は、大船渡市、あるいは本市で災害が発生した際に、応急対策及び復旧対策に係る相互応援を、迅速かつ円滑に遂行すること。加えて、本市としては、津波対策の推進に当たり、被災地である同市の知見の提供や、実経験に基づく効果的な支援を期待するもの。また、他の自治体との協力については、災害時には、当然のこととして、被災自治体へ可能な限りの協力をしていくべきものと捉えている。更には、事前の協定を結ぶことによって、
一定の役割分担等の共通認識が深まるとともに、平時から情報共有等の連携を行うことで、より効果的な相互応援が図られ、市民の安全安心にもつながるものと考えている。

 県内の6市町を含む国内19の自治体と災害時協定を締結しているが、まずは、そういった都市との交流を重ね、藤沢市を好きになってもらう、あるいは協定先のことをよく知る、そういった平常時の取組が災害時対応にも生かせると思う。総合防災訓練など防災事業での交流だけでなく、もっと市全体での交流、取組が必要と考えるが?⇒(斎藤防災安全部長)災害時相互応援協定については、姉妹都市である松本市をはじめとした19自治体と締結しており、これらの協定先と普段から交流を重ねることは、災害時の意思疎通が円滑になるものと考えている。今後は、市民や各種の団体等に、協定先自治体のことをもっと知っていただくことで、多様な主体による平時からの絆を深めることを念頭に、先ずは、防災に関連するイベントや事業等において、協定自治体等の周知を図るなど、関係各課と協定先自治体が連携できるよう取り組んでいく。

(2)デジタルを活用した取組について

 先日、湘南大庭地区の公民館まつりに参加した。防災訓練にデジタル技術を活用していると聞いたが、内容と取り入れた背景は?⇒(斎藤防災安全部長)本年10月の湘南大庭ふるさとまつりにおいては、湘南大庭防災協議会により、スマートフォンの捜索アプリ「みまもりあいアプリ」の機能を利用して、2つの取組が実施されている。この背景には、当該協議会が、より多くの方に防災に対する意識を高めてもらうために、ゲーム感覚で防災訓練が体験できるコンテンツを検討し、他市等の事例を参考にしながら取り入れたもの。内容は、1つは「防災ウォークラリー」として、アプリ情報から会場内に設置された防災クイズを見つけて答えながら、100t水槽の位置などの防災知識を確認するスタンプラリー。2つ目は「かくれんぼ大会」とし、アプリに配信された捜索依頼の写真や特徴などの情報から、会場内で被捜索者を探して確認するゲーム。いずれの取組も、数多くの市民が参加しており、最新のデジタル技術の活用による、市民が気軽に防災訓練に参加できるツールとして、有効なものと捉えている。

 大船渡市では、最新のARを用いた防災アプリ「防災・観光アドベンチャー~あの日~」によって、臨場感のある避難への取組をしている。本市でも、気軽に防災活動を体験できるものとして、防災訓練、防災フェアに組み込むなど検討できないか?⇒(斎藤防災安全部長)大船渡市の「防災・観光アドベンチャー~あの日~」では、復興した地域のまち歩きを楽しみながら、被災者の経験を聞いたり、避難時のターニングポイントを判断するなど、津波避難の疑似体験とともに、震災体験の継承も組み込んだ、スマートフォンの2次元コード読み取り機能を利用した新たな取組と認識している。本市としては、これら最新のデジタル技術によるアプリやゲーム機能等の活用によって、子どもをはじめ様々な世代の人たちが、興味を持って楽しみながら、防災を学ぶきっかけとなり、市民の防災意識の向上につながるものと考えている。このことから、今後も、先進事例等の研究を進めるとともに、最新技術を効果的に活用できる場面等を検討していく。

(3)人財材確保について

 災害時には、市職員や専門家だけでは乗り切れない状況になることも考えられる。市としては、地域住民に協力してもらうことなどは想定していないのか?⇒(斎藤防災安全部長)地域住民等に協力をいただく災害時の想定については、例として、福祉避難所(一次)を開設する市民センター・公民館においては、要配慮者を受け入れる福祉施設等の福祉避難所(二次)の準備が整うまでの間、福祉的なケアが一時的に必要となる。その支援を充実するため、保健福祉や語学に関するスキル等を有した地域住民の方に、災害時福祉ボランティアとして従事していただく制度を運用している。なお、本年9月の防災フェアや、11月の津波避難訓練においては、「チームFUJISAWA2020」ボランティアの参加協力を得て、円滑な運営を行っており、地域防災力の向上に資するものと捉えている。

 地域には、防災士、消防職員のOB、看護・介護の有資格者や、語学に秀でた人が多く住んでいる。日頃から、そういった人が地域にいるのであり、災害時には、力を借りる場面もあるかと考える。災害時に、急に何かをお願いすることは困難なので、日頃からの協力依頼や相談ができる体制をつくっておくことは、市民の安心材料となる。藤沢市では災害時福祉ボランティア制度を設けているとのことだったが、福祉に限らず、災害時に協
力いただける人財を発掘していくことについて、どのように考えるか?⇒(斎藤防災安全部長)災害時には、地域ぐるみ・まちぐるみで助けあうこと
が大切であり、地域にお住まいで様々な分野の有資格者や業務経験を有する人材に、避難所運営等の協力をいただくことは、非常に有効であると考えている。また、それぞれ人材が有するスキル等に応じて、適切な活躍の場面の想定を検討していくことが重要であると認識している。なお、今般、本市在住の防災士が集まる機会を設け、意見交換を実施し、自主防災組織等との連携を深める取組を進めている。このような専門的な人財を含め、その地域における役割等を検証するなど、様々な地域人財の活躍の場をはじめ、協力依頼や相談ができる体制づくりを検討していく。

(4)備蓄について

 今年度で当初より計画をしていた備蓄資機材が整うと聞いている。この備蓄資機材はどのように配備され、使用が想定されているのか。また、計画の備蓄が完了したことを受けて今後は新たな計画をたてるのか?⇒(斎藤防災安全部長)本市の防災備蓄資機材については、地域防災計画等に基づき、市内各所の指定避難所等をはじめ、村岡・片瀬・長後の各地区や、市役所本庁舎及び藤てりあ等に設置した拠点防災備蓄倉庫に配備している。また、その使用に係る想定は、地域防災計画に定めた本市の想定地震である、大正型関東地震における全壊・半壊・焼失による避難者数約17万7千人が、3日間程度生活できるよう、毛布、食糧、簡易トイレ処理袋などを整備したもの。今後は、食糧等のローリングストックを行い、適切な保管状態の維持と有効活用を図っていく。また、激甚化する風水害や帰宅困難者に対する備えを念頭に入れ、感染症対策や要配慮者支援などを想定した備蓄倉庫と備蓄資機材等の在り方を改めて検討していく。

 使用の想定を聞くと、市で整備する防災備蓄資機材と、在宅避難者など、自助の中で整備することの切り分けや周知が必要ではないか?⇒(斎藤防災安全部長)在宅避難等を想定した事前の備えについては、ふじさわ防災ナビをはじめとする各種の媒体を通じて、主な備蓄品の種類やローリングストックの仕方などを含め、最低でも3日分、可能な場合は7日分の備蓄について、適宜お知らせしている。このような自助としての備蓄は、大変重要であることから、今後も継続して、多くの市民に理解していただけるよう、より一層の丁寧な周知啓発を図っていく。

 災害時の在宅避難や分散避難などの重要性や、その対策としての備蓄に関して、市民への周知や理解が進んでいないと感じている。このことを含め、市民が備蓄を購入する費用を補助する検討など、今後の取組は?⇒(斎藤防災安全部長)災害時における避難行動については、不特定多数の人が集まる避難所等では、感染症の感染リスクが高まることなどが想定される。このため、避難所等へ避難する以外の手段として、自宅が安全な場合における在宅避難や、ホテルや親戚・知人宅等を活用する分散避難などの重要性が高まっている。在宅避難等の主なメリットは、感染症対策のほか、一定のプライバシーが確保されることや、ストレス軽減にも繋がるものと認識している。一方で、支援物資等の情報入手が遅くなる可能性も想定されることから、自助としての備蓄が必要であると考えている。このような在宅避難等と、その備えとして、家庭での備蓄の重要性については、今後も、ふじさわ防災ナビなど様々な情報発信ツールを通じて、市民一人ひとりへの周知啓発に取り組んでいく。また、備蓄品の購入に対する補助制度については、共助として、地域ぐるみで災害に対する備えを講じる観点から、自主防災組織の育成及び活動に係る資機材購入の補助金制度を設けており、引き続き、その活用を図っていく。

2. 交通政策について

(1)MaaSの推進について

 先日の建設経済常任委員会における「藤沢市観光経済再活性化プランの見直しについて」の報告の中でも、観光需要喚起型MaaSについて触れられていたが、MaaSは公共交通のあり方を変えていくものだと思っている。市の交通施策として、MaaSをどのように捉えているか?⇒(三上計画建築部長)MaaSについては、鉄道やバスなど現在の公共交通に加え、シェアサイクル、カーシェア、さらには今後開発される新たなモビリティサービスを含めた多様な交通モードを、一つのサービスとして最適化できた場合には、交通をとりまく状況が大きく変化することが期待されている。
 その効果としては、多岐にわたる交通モードの最適化により利用者にとってはニーズに合った移動が可能となり、社会的には移動の利便性が向上することで、自家用車の利用が公共交通にシフトし、交通渋滞の緩和、環境負荷の低減などに繋がるものと捉えている。

 フィンランドでは、MaaSの導入により、公共交通の利用割合が大きく増加するなど、非常にうまくいっていると聞く。MaaSの導入は、様々な課題の解決に寄与するものだと思うが、導入に向けた課題と今後の取組は?⇒(三上計画建築部長)MaaSの導入に向けた課題は、各交通事業者が運営する様々な交通機関を1つのサービスに統合することになるため、決済方法や、利用するアプリなどの調整が必要となることが挙げられている。
MaaSの取組については、現在進めている交通関連計画の見直しにおいて、新たなテクノロジーを活用した、移動しやすい交通環境の充実が必要と考えており、学識経験者や交通事業者等で構成している「藤沢市交通政策推進会議」の中で、議論を進めていく。

(2)BRTの導入について

 大船渡や気仙沼へ視察に行き、バス高速輸送システムであるBRTも視察し、公共交通としての可能性を感じとった。本市は、連節バスと信号制御のPTPSを組み合わせたBRTをいち早く導入しているが、その効果は?⇒(三上計画建築部長)本市のバス高速輸送システムであるBRTについては、湘南台駅西口と辻堂駅北口に導入しており、ともに慶応大学を結ぶ路線となっている。その内、湘南台駅西口と慶応大学を結ぶ路線の効果は、朝の通勤や通学の時間帯において、所要時間が導入前の約14分から約8分へと短縮し、速達性が向上したことや連節バスの輸送力の向上により、利用者の待ち時間の短縮などが図られている。

 BRT導入による効果もあるとのことで、移動手段の充実においては、本市が導入しているBRTの可能性を感じている。速達性、輸送力といった利点は勿論であるが、より多くの方に利用いただける環境づくりが肝要。そのために必要な取組は?⇒(三上計画建築部長)国土交通省では、カーボンニュートラルの促進、少子高齢化や人口減少に対応し、地域公共交通から持続可能な地域社会の形成を目指すため、BRT等の導入に関するガイドラインを本年9月に策定している。このガイドラインの中では、BRTの利便性の向上の観点から、交通結節機能の強化が謳われており、シェアモビリティ等の普及が進むことや、自動運転技術の進展、MaaSの導入等を見据え、様々な交通モードの接続・乗換拠点として整備することが望ましいとされているす。本市においても、BRT沿線の利用特性を踏まえ、バスロータリーや停留所などへ、シェアサイクルなど他の交通モードを接続することにより、利便性の向上に繋げていきたいと考えている。

(3)移動支援について

 移動支援策の充実として、きめ細やかなサービスが可能なデマンドバスやコミュニティバスの運行を行うべきだが?⇒(三上計画建築部長)本市においては、公共交通の利用環境の改善として、地域や交通事業者と連携し、路線バスの既存ルートの変更や天神町、藤が岡、渡内などに地域提案型バスを導入している。一方、路線バスの導入が図れない場合は、現在、善行や六会地区に導入している地域が主体となって運行する乗合タクシーを導入し、交通環境の充実を図っている。

 善行の東部地区では、乗合タクシーが運行されているが、西部地区は路線バスのみで、まだまだ不便であると感じている。その他の地域においても、交通が不便な地域は存在し、より自宅に近い所から利用できる乗合タクシーを全市的に展開すべきではないか?⇒(三上計画建築部長)本市においては、南部地域では路線バスが進入出来ない狭あいな道路が多く、善行など坂が多い場所ではバス停へのアクセスが困難であるなど、バス交通が利用しにくい地域では、交通環境の改善が必要と考えている。そのため、本市では、これまで地域提案型バスとして14路線を新設するとともに、乗合タクシーとして、善行や六会地区に導入を図り、現在、長後地区では実証運行を進めているところ。今後も、地域住民、交通事業者、本市が連携する中で、地域特性に応じた移動しやすい交通体系の実現に向けた取組を進めていく。

3. まちづくりについて

(1)藤沢石川線の整備について

 都市計画道路藤沢石川線の整備について、まず、現在工事着手している藤沢本町駅周辺の藤沢652号線道路改良事業についての進捗状況は?⇒(北村道路河川部長)藤沢652号線の道路改良事業については、自転車駐輪場の移設に引き続き、道路工事に着手している。今年度は、藤沢652号線の拡幅に伴い、西側に隣接する藤沢314号線の切り回し及び下水道の移設工事を行っており、来年度以降は地下埋設物の移設を含めた藤沢652号線の道路改良工事を進め、早期の完成を目指している。

 藤沢石川線の善行南工区の事業について、建設経済常任委員会の陳情でもあったが、地権者の方々へ事業内容などについて、説明の機会を設けると
のことだった。善行南工区では、善行大橋交差点、いわゆる五差路の危険性について、地域の方々から指摘を受けている。そこで、日頃から地域の方々が見守りを行い、通学児童などの安全対策をしている自治町内会や交通安全対策協議会などの方々へも、説明会や検討会を開催する必要があると考えるが?⇒(北村道路河川部長)藤沢石川線の未整備区間である善行南工区については、平成27年度に策定した「藤沢市道路整備プログラム」において、おおむね10年以内の事業着手を目指す優先着手区間に位置づけていることから、「公有地の拡大の推進に関する法律」、いわゆる「公拡法」により、用地の取得を進めているところ。善行大橋交差点の五差路付近の安全対策については、通学路の安全点検でも要望を頂いており、信号待ちの待機場所の確保や歩道拡幅、変則五差路を解消するための交通処理の検討が必要と考えている。
 今後は、地権者の方々への説明はもちろんのこと、「善行駅周辺地区バリアフリー化事業」と同様に、市民センターと連携しながら、郷土づくり推進会議をはじめ、自治会連合会や交通安全対策協議会などの方々と、意見交換を行いながら、検討していきたいと考えている。

 藤沢石川線善行南工区の今後のスケジュールと来年度の予定は?⇒(北村道路河川部長)今後の事業着手に向けて、現在の道路や民有地、河川などと、計画道路との位置関係を把握するため、まずは現況測量をする必要がある。来年度から現況測量に入れるよう準備をしているので、その準備を進めるとともに、地権者の方々をはじめ、地域住民の方々へ、丁寧に事業説明をしていきたいと考えている。

(2)藤沢本町駅並びに駅周辺再整備について

 藤沢本町駅の駅前にある藤沢本町1号踏切道の廃止、それに伴う東西自由通路及び西口改札の整備について、現在の検討状況は?⇒(北村道路河川部長)藤沢本町1号踏切道については、地域の方々との意見交換や、関係機関との協議を重ね、令和3年3月に、踏切道廃止を含めた「地方踏切道改良計画」を国土交通大臣に提出している。この計画に基づき、藤沢本町1号踏切道の廃止、東西自由通路及びエレベーターの設置、西口改札の新設について、現在、交通管理者及び鉄道事業者と協議をしており、これら整備の実現に向けた検討を進めているところ。

 藤沢本町駅周辺の整備については、地域の方々にとって非常に関心が高いと認識している。今後は、道路計画検討会議を中心に、さらに積極的な意見交換を行い、市民や利用者の思いを形にしていくことが不可欠だと思う。より丁寧な声の吸い上げで市民や利用者、地域の方々の声を集め、その声をもとに交通管理者や鉄道事業者と協議をする必要があると思うが?⇒(北村道路河川部長)藤沢本町1号踏切道の廃止を含めた藤沢本町駅周辺の整備方針については、これまで沿道の自治会・町内会、商店街、郷土づくり推進会議の方々で構成する道路計画検討会議を開催し、意見交換を行ってきたところ。現在、交通管理者や鉄道事業者と協議を進めている計画案についても、地域の意見、要望を反映した計画案となっているが、今後については、例えば、道路計画検討会議の開催回数を増やすなど、より丁寧な説明を心掛け、事業を進めていきたいと考えている。

 藤沢本町駅は市民病院の最寄りの駅であり、駅利用者に対するバリアフリー化に取り組むべきと考える。その中でタクシーの乗り入れスペースの確保などの計画はあるか?⇒(北村道路河川部長)鉄道駅利用者の利便性向上や、バリアフリーの面からも、駅周辺での一般車両やタクシーの乗り入れスペースの必要性については、認識をしている。しかし、藤沢本町駅周辺は土地利用の状況や、地形的な制約もあり、それらのスペースを全て確保していくのは困難な状況。このため現在は、藤沢652号線の整備に伴い、本路線に障がい者用停車スペースを設置する計画で、交通管理者と協議を行っているところ。

 藤沢本町駅周辺の新設自転車駐車場については、2か所とも10月から供用開始した。無料の頃に比べ全体の自転車の台数が減ったこと、2段ラックの上段については利用する方が少ないと感じる。オープンから約2か月経過したが、自転車駐車場の利用状況、利用者からの意見、駅周辺の放置自転車などの状況は?⇒(北村道路河川部長)これまでは4か所の無料自転車駐車場があり、平日では、概ね1,000台程度の自転車が駐車していた。有料化に伴い、これまでの実績やアンケート結果から、継続利用は概ね7割程度となることから、新設自転車駐車場は、2か所合わせて収容台数680台の整備を行い、供用を開始した。供用開始後2か月が経過したが、その利用状況は、藤沢本町駅自転車駐車場では、平日では約80%、土日では約45%、藤沢本町駅第2自転車駐車場では、土日を含めた平均でほぼ満車の状況となっており、2つの駐車場を合わせた2か月の平日晴天日の平均では約640台、94%の利用となっている。
 次に、利用者からの意見は、供用開始直後は精算機や2段ラックの操作についての問い合わせがあったが、指定管理者による係員の配置などの対策を行った結果、現在問い合わせはほとんどない。また、有料化に伴い、藤沢本町駅周辺を自転車等放置禁止区域に指定し、巡回等を行っているが、現時点で、放置自転車が増えている状況は確認できていない。

 現在2か所の自転車駐車場は一時利用で運用しているが、定期利用についての考えは?⇒(北村道路河川部長)藤沢市内の定期利用ができるほかの自転車駐車場の利用状況を確認すると、定期の契約台数に対し、利用率が平均8割程度となっており、毎日平均約2割程度が駐車されていない状況が確認されている。現在の藤沢本町駅周辺の自転車駐車場の利用状況を考えると、定期利用を導入した際、ピーク時に現在の利用台数を収容しきれなくなる恐れがあるため、現時点では定期利用を導入することは考えていない。今後も利用状況について分析し、指定管理者と協議を行い、利用者に使いやすい自転車駐車場運営を行っていきたいと考えている。

(3)南消防署本町出張所について

 南消防署本町出張所改築整備事業について、今年度については、仮設庁舎建設予定地において埋蔵文化財の試掘調査が行われたと聞いている。全体スケジュールは?⇒(衛守消防局長)本町出張所改築整備事業については、今年度、仮設庁舎予定地の「埋蔵文化財試掘調査」及び現庁舎の「敷地
測量調査」を行い、順調に進んでいるところ。今後のスケジュールは、令和5年度に本設の設計委託を行い、年度末の令和6年3月に、仮設庁舎への引越し及び運用の開始を予定している。さらに、令和6年度に現庁舎の解体工事、令和7年度の埋蔵文化財調査を経て、令和8年度に新築工事を行い、令和9年度の供用開始を予定している。

 昨年度は、辻堂出張所も開所したが、消防庁舎を建替える際の、消防施設の機能強化について、また、施設を利用する消防職団員の意見集約について、その考え方は?⇒(衛守消防局長)消防庁舎においては、現場到着時間を左右する適正な配置が重要な機能の一つとされており、本町出張所は幹線道路に面した優れた立地であることから、現庁舎敷地での建替えを計画した。また、迅速な出動を行うための動線の効率化や女性職員のための専用スペースの確保、さらには、近年大規模化多様化する災害への対応として、訓練施設の充実や大型化する消防車両を考慮した車庫等の設計としていく。次に、意見集約については、女性を含めた様々な職責の委員で構成された会議体の中で検討を重ねるとともに、消防団本部とも緊密に連携を図りながら消防施設の整備を進めているところ。いずれにしても、時代に則した適正な整備を計り、将来に渡る安定的な消防力の確保に努めていく。
ます。

通告10番 友田議員

1. 契約業務の考え方について

(1)手数料契約による事務事業の在り方について

 手数料の契約の基準、契約規則等、手数料契約を行う場合の条件等の状況は?⇒(山口財務部長)手数料は、市が特定の個人等より役務の提供を受けた場合において支払うもので、契約規則上は、2者以上から見積書を徴取し事業者を決定することとしており、契約課長通知により、さらに1者を加えた3者以上から見積書を徴取するよう指示しているところ。ただし、特段の事情があれば、1者からの徴取で足りる場合もある。

 手数料契約の件数と総額、そのうち、複数者見積もりをとるなどで、規則どおりに契約が行われているもの、行われてないものの何件は?⇒(山口財務部長)11月末日現在、今年度の手数料の執行件数は一般会計予算ベースで約1,500件、金額で約5億7千万円。そのうち、複数者による見積合わせを
行った件数については把握をしていない。

 本市の手数料契約における、その契約についての責任の所管課となるのは、どこにあたるのか、また、手数料についての見積徴取、事業内容、執行額等を含め、契約課では把握できず、所管課が全て決定しているというとなのか?⇒(山口財務部長)手数料の執行については、事業主管課が業務内容、事業者の選定等、全てを決定しており、責任の所在についても事業主管課となる。

 法令違反行為が発覚した事業者については、その後、公共事業の受託ができるのか?⇒(山口財務部長)法令違反等により、契約の相手方として不適当であると認められるときは、藤沢市競争入札参加資格者指名停止措置要綱における指名停止に該当する場合がある。

 湘南大庭スポーツ広場における手数料契約を手数料の執行とした理由を聞きたい。また、その際に3者見積もり徴取などを行ったのか?⇒(平井市民自治部長)湘南大庭スポーツ広場周囲の緑化ウォール内における雑木伐採や草刈作業については、「役務の提供に対する経費」であることから手数料として執行している。また、見積もり徴取については、作業を依頼した1者から行っている。

 今回のケースでは、1者の見積もり合わせで手数料として発注しているが、見積もり依頼書や仕様書などはあるのか?⇒(平井市民自治部長)作業の発注については、現地確認を行ったうえで、予算の範囲内で優先順位を設けており、作業エリアを特定し、造園業者に依頼している。そのため、雑木伐採や草刈作業にかかる見積もり依頼書、仕様書などはない。

 見積もり額と作業内容の妥当性は、どのような判断のもとで適正なものとして発注しているのか?⇒(平井市民自治部長)見積もり額については、これまで複数業者に作業を依頼してきており、過去の予算執行額から金額の妥当性を判断している。また、作業内容については、現場における雑木の伐採状況、雑草の刈込状況などの報告を受け、広場の利用者及び周囲に問題や影響が生じないことを確認している。

 以前、この件で問い合わせした際に、草葉の一般廃棄物について、処理まで依頼すると料金がかかることが理由であると聞いた。現地処分について改めて確認するが、見積もり書にある作業内容になった理由・経緯は?⇒(平井市民自治部長)グランドから一番離れた壁側には縁辺部があり、ここは通常の利用に影響がないため、刈り取った草葉を土に返すことでリサイクルになるとの認識があった。そのため、現地処分として、これまでと同様に周辺への影響や広場の利用に問題がないものと総合的に判断し、作業を行ってきた。

 コストカットを考えずに、通常通りの廃棄物処理をした場合の見積もりは取っているのか?⇒(平井市民自治部長)湘南大庭スポーツ広場における場内処分ではない「処理施設への持ち込み」等に要する見積もりは徴取していない。

 場内処分を行わない場合の見積もりを徴取していないとのことだが、元々コストカットを目的とした作業内容だったのではないか。金額の比較ができないのになぜそのような判断に至ったのか?⇒(平井市民自治部長)場内処分に至った経緯等について詳細に把握することは困難だが、前例を踏まえた中で判断してきたものと捉えている。

 作業で排出された草葉の一般廃棄物の処理を掘削による発生場内処理とする契約内容は、湘南大庭市民センターからの指示なのか、受託業者からの提案なのか?⇒(平井市民自治部長)場内処理とする契約内容についても同様に、従前より湘南大庭市民センターにおいて、広場の敷地を利用した場内処理をするよう依頼してきたものと捉えている。

 受託事業者は、これまで市や県の公共事業も受託しており、当然、一般廃棄物の処理の仕方、法令については熟知していると思われる。今回の一般廃棄物の発生現場内処理については、何か事業者から意見はなかったのか?⇒(平井市民自治部長)本件における発生現場内での処理に関して、事業者側から特段の意見はなかった。

 これまで湘南大庭スポーツ広場において、草葉の刈り込み作業を請け負った事業者は何者あるのか。また、一般廃棄物の埋め立てによる現場処理は、いつから行われ、今まで何者で何件行われているのか?⇒(平井市民自治部長)10年間に遡り伝票類を調査したところ、当該作業の請負は3者あり、そのうち埋め立てによる現場処理は、令和3年度までの間に1者で15件ほどあることを確認している。

 枝葉の廃棄物の処理について、事業者や、庁内職員へは、廃棄物における処理方法などの周知はどのように行っているのか?⇒(福室環境部長)廃棄物の処理方法の周知については、排出事業者責任に基づいた一般廃棄物の分別や適正処理について、事業者はホームページにより、庁内についてはポータル掲示板にて周知している。

 公共事業の枝葉などの一般廃棄物処理は、排出事業者責任は誰になるのか。事業者か依頼主 (管理者) か?⇒(福室環境部長)本市における排出者責任については、枝葉などの剪定等行い、廃棄物にした者が排出者となるため、管理者ではなく事業者が排出責任者となる。

 市の委託業務により、剪定作業で出た剪定ゴミなどの処理について、埋め立てて処理としている見積もり契約は、環境部で把握・認めている前例があるのか。また、市の委託業務のうち、廃棄物処理において埋め立て処理が、違法とならないケースがあるのか?⇒(福室環境部長)市の委託業務や民間を含めて、市内の剪定枝等の処理について、たい肥化する場合などを除き、埋め立て処理を認めている前例はない。また、最終処分場への埋め立て処理以外は、法律に抵触する。

 公共事業における契約業務において発生した、草葉の一般廃棄物の処理については、原則どのような処理を行うことが必要なのか?⇒(福室環境部長)公共施設の草葉などの剪定業務から発生した一般廃棄物の処理については、資源化可能な民間事業者での処理を行うこととなる。

 湘南大庭スポーツ広場において、剪定、刈り込み作業で出た草葉等を現地に埋めて処理を発注し、事業者により掘削の上で埋め立て処理したことにについて、具体的にどのような法令・条例違反となるのか、また、 罰則は?⇒(福室環境部長)今回のケースについては、排出者である事業者が草葉等を埋め立て処理しており、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に抵触すると考えられる。また、罰則については、周辺環境への影響などを考慮した上で判断されるものと考えている。

 発注者として、見積書・請求書で発生場内処理・掘削・整地工の記載があり、発注者である市による完了確認もされていることを踏まえると、市の責任と事業者の責任については、それぞれどのようなものになるか?⇒(福室環境部長)市については、土地の管理者として、事業者については排出者として両者に廃棄物の適正な処理責任があると考えられる。

 環境部としては、これらの行為に対して、どのような対応を行うのか?⇒(福室環境部長)今回のケースは、埋められたものが草葉のみであるため、周辺環境への影響が無いと考えられることや草葉が土となる長期間を引き続き市が管理していたことなどから、罰則の対象とはならないものと考えるが、市長及び事業者に対し、廃棄物の適正処理について行政指導を行う。

 手数料の契約基準、規則等が守られていない状況についての現状を調査・把握し改善を図るよう取り組むべきと考える。また、違法、違反となる一般廃棄物処理の埋め立て処理の委託業務は大きな問題。長期にわたってこの埋め立て処理がなされてきた原因(きっかけ)調査や、これまでの公金の支出に対する考え方について、市の見解は?⇒(宮治副市長)今回の事案については、契約事務執行と一般廃棄物処理の2つの課題があると考えている。まず、契約事務に関しては、事業主管課が1者からの見積書の徴取で足りると認識していたことと考えており、今後、同様の事案が発生しないよう予算担当主任会議や庶務実務研修をはじめとした各種会議を通じて庁内周知するとともに、内部統制制度における事務点検「重点モニタリング」等を実施し、適正な契約事務執行となるよう努めていく。
 次に、一般廃棄物処理に関しても、行政として認識が希薄であり、長年にわたり不適切な業務執行につながったものと捉えているが、その原因については、行政指導を受けたのちに確認していく。また、公金の支出については、不適切な業務執行があったが、一連の請負作業の完了に伴う対価として履行されたもの。今後については、今回の事案を庁内で共有するとともに、一般廃棄物の分別や適正処理について、庁内周知に努めていく。

 今回の契約手続きに関する事務や廃棄物の処理に関する認識不足により発生した一連の不適切な事務処理について、市として責任の所在と対応、再発防止に向けてどのようするのか?⇒(和田副市長)市長に代わって、答弁させていただく。今回の一般廃棄物の不適切な事務処理について、行政指導を受けることとなったこと、並びにその契約事務についても適切に実施されていなかったことについては、法とモラルを守る本市においては、大変遺憾なことであると考えている。今回の事案を受け、改めて法令遵守を徹底し、適正な事務執行となるよう再発防止に努めていく。

通告11番 安藤議員

1. 市民生活を支える都市基盤整備について

(1)北部地域の都市計画道路について

 善行長後線(六会工区)の街路新設事業について、整備の内容と、工事の進捗状況き?⇒(北村道路河川部長)善行長後線(六会工区)街路新設事業につきましては、県道菖蒲沢戸塚から、北部第一区画整理事業区域境までの未整備区間約140mを整備する計画。工事の進捗は、令和3年度から着手し、これまで切土工事、擁壁工事、及び下水道工事を実施している。今年度は本線部の街路築造工事に着手しており、現在施工中。

 現在、湘南台方面から石川方面へ向かう道路として、湘南台291号線、湘南台297号線を通行している車両も多いのではないかと感じるが、善行長後線の完成後は、通行方法も変わると聞いている。各交差点がどのような通行方法になるのか?⇒(北村道路河川部長)【新設交差点】については、県道菖蒲沢戸塚と善行長後線の接続部分に、新たに信号機と横断歩道を設置し、交差点を整備する。これに伴い【既設交差点(不動前)】については、湘南台291号線から県道菖蒲沢戸塚への車両の通行を廃止するので、石川方面と湘南台方面を往来する車両については、新たに設置する【新設交差点】を通行していただく。併せて【既設交差点(不動前)】の信号機及び横断歩道についても廃止するため、歩行者が県道菖蒲沢戸塚を横断する場合も、この交差点を利用いただくことになる。また、【変則交差点】については、湘南台247号線と湘南台291号線を本線と直角に接続させることで、現在の変則的な交差点の形状を改良し、歩行者の安全な通行と、車両の円滑な通行が図られるようにする。

 通学児童の安全な通行や、地域交通の円滑化、各鉄道駅へのアクセス向上などが期待され、早期の完成が望まれるが、善行長後線六会工区の開通時期の予定は?⇒(北村道路河川部長)今年度の街路築造工事に引き続き、令和5年度は県道菖蒲沢戸塚の拡幅工事と交差点改良、令和6年度は湘南台291号線などの整備を行い、令和6年の開通を目途に事業を進めている。

 北部第二(三地区)土地区画整理事業区域内の都市計画道路石川下土棚線について、今年度になって、県道横浜伊勢原線、夏苅交差点の北側で大規模な工事に着手している状況が見受けられる。石川下土棚線の整備にあたっては、長後駅方面へ向かうバスルートの切り回しも同時に行うと聞いている。現在のバスルートは交通量も多いが、歩道がないことから、石川下土棚線の早期整備が期待されている。石川下土棚線の現在の進捗状況と今後の予定及び完成時期は?⇒(川﨑都市整備部長)藤沢北警察署前交差点から諏訪ノ棚の事業区域境までの1,570mうち、夏苅交差点から北側、約240mの区間が未整備となっている。工事に当たっては、埋蔵文化財調査と並行して進めるため、A・B、ふたつの工区に分けて整備する計画としている。進捗状況は、A工区は、夏苅交差点から北側約900mの本線部分と長後駅方面へ向かうバスルートの切り回し部分、約170mを合わせた約260mの区間で、昨年度から道路造成工事に着手している。今後の予定は、次年度以降、上下水道の整備及び道路築造工事を順次進める予定で、令和7年度の開通を目指して取り組んでいる。A工区の完成後、引き続き、B工区となる、綾瀬市側の残りの本線部分、約150mの区間の工事に着手する計画としている。
 なお、完成時期については、今後の埋蔵文化財調査に4年程度の期間を要することから、令和9年度から始まる、北部第二(三地区)土地区画整理事業の5ケ年整備計画第Ⅲ期内での完成を目指していく。

 県道横浜伊勢原線の国道467号との交差点では横浜方面から来る車で朝夕問わず日中も渋滞している。この県道横浜伊勢原線は都市計画道路横浜伊勢原線として計画されているが、計画の内容と整備の状況は?⇒(北村道路河川部長)都市計画道路横浜伊勢原線は藤沢市高倉の横浜市境西側の高鎌橋交差点から国道467号と交差し、藤沢市用田の綾瀬市境までつながる全長約6.9kmの都市計画道路。議員指摘の箇所となる高鎌橋交差点から国道467号までの区間については、計画どおり、県道として神奈川県が整備し、平成2年に供用開始されている。

 供用開始されて30年以上が経過する中で、圏央道の開通や綾瀬スマートインターチェンジの設置、さらには、藤沢市北部地域の土地利用の発展など、周辺の状況が変わってきており、県道横浜伊勢原線の交通状況も変わり、交通渋滞が発生していると思う。現状発生している交通渋滞の対応について、市から県道の管理者である神奈川県への働きかけも必要と考えるが?⇒(北村道路河川部長)さきほど答弁したとおり、横浜伊勢原線は、都市計画道路としては、整備が完了している。渋滞対策としては、交通ネットワーク形成による交通の分散化を図る必要があるが、都市計画道路の整備には時間を要す。そのため、交通状況等の現状を把握した上で、現在発生している交通渋滞について、道路改良や信号処理などによる解消策を道路管理者である神奈川県や交通管理者と協議していきたいと考えている。

(2)下土棚遊水地について

 令和元年9月の一般質問で、引地川の下土棚遊水地の整備計画や進捗状況、上部利用計画(案)の概要や整備スケジュールについて聞き、令和2年度の供用開始を目指しているとの答弁だった。約3年が経ったが、その後の進捗状況は?⇒(川﨑都市整備部長)令和2年度に、池を取囲む堤防の整備が完了し、堤防の一部を低くし洪水時に一部分を遊水地に流し込むための越流堤から流水を安全に貯留できるようになり、下土棚遊水地の供用を開始している。その後、令和3年度には、遠方監視施設や遊水地を管理する管理棟の整備が完了し、現在、河川管理用通路や排水構造物、遊水地内部の残土搬出等を行っていると神奈川県から聞いている。

 地域住民の関心の高い遊水地整備後の上部利用については、公園など市民に親しまれる施設整備が望まれていると思うが、上部利用施設の利用方針と今後の整備スケジュールは?⇒(川﨑都市整備部長)下土棚遊水地については、湘南台高校北側から引地川上流に向けて、A、B、C、Dの4つの池で構成されている。この4つの池の利用方針については、平成26年3月に地域の意見等に基づき策定された「下土棚遊水地上部利用計画(案)」に位置づけられており、A池を憩いの広場や活動芝生広場、活動グランドとして、B池を親水広場やビオトープ、C池を多目的スポーツ広場、D池を散歩広場や活動広場として整備する予定。今後の上部利用に向けた整備スケジュールは、令和4年度は、A池の園路や広場などの整備を進め、令和5年度中での広場施設の完成を目指していると聞いている。なお、残りの池については、A池完成後、順次整備に着手すると聞いている。

 整備後、誰がどのような管理を行っていくのか、また、A池の完成後は、市民に開放するのか?⇒(川﨑都市整備部長)整備後については、引地川親水公園の大庭遊水地と同様に、本市が都市公園として管理していく。そのため、現在、上部利用を本市の考えにより主体的に活用できるよう、神奈川県と管理協定等に関する協議を進めている。また、A池の完成後は、施設等の利用方法が決まり次第、他の池の完成を待たずに、速やかに開放していきたいと考えている。

 この様な整備状況については、随時、地域の方々に説明することが重要であると考える。これまでに地域の方々へどの様な説明をし、どのような意見があったか?⇒(川﨑都市整備部長)平成30年度から、長後地区と湘南台地区に説明を行った。その後、新型コロナウィルス感染症の拡大により中止になった年もあったが、令和4年度については、6月に「長後地区郷土づくり推進会議定例会」、7月に「湘南台地区郷土づくり推進会議定例会」において、神奈川県と本市が出席した中で、事業の説明を行い、地域住民の皆様と意見交換を行った。また、12月に入り、長後地区と湘南台地区で開催さ
れた全体集会の中でも、地域の皆様に事業の進捗状況を説明し、意見交換を行った。意見の主な内容は、地域から過去に要望された下土棚遊水地への桜の植栽や、4つの池の上部に設置されるトイレ、駐車場に関するものだった。

 地域からの要望である桜の植栽やトイレの設置、駐車場の整備は、地域の皆様の関心、また、思いが非常に強いと思う。どのような方向性か?⇒(川﨑都市整備部長)桜の植栽については、遊水地の上部利用施設整備と合わせて、遊水地機能に影響を与えない範囲で植栽することに向け、神奈川県と協議をしている。また、トイレの設置や駐車場整備についても、上部利用計画(案)に基づき、県と協議を行っている。いずれにしても、下土棚遊水地の上部利用施設については、4つの池の整備状況を見ながら地域の皆様の期待にそえるよう、しっかりと県と協議を行っていきたいと考えている。

2. 安全で住みやすい街ふじさわについて

(1)電気自動車導入促進と民間との防災連携について

 昨年度の一般質問において、市内における電気自動車の導入促進に努める旨の答弁があったが、現在の取組状況は?⇒(福室環境部長)本市における電気自動車の導入促進に向けた今年度の取組は、導入に係る補助件数を昨年度の倍の80台に拡充して、対応を図ったが、5月に、低価格の軽自動車の受注が開始されたことに伴い、6月には予定件数に到達するなど大きな反響があった。また、環境フェアをはじめとする各種事業のほか、市ホームページや環境ポータルサイト「ふじさわエコ日和」などにおいて、本補助制度のほか、温室効果ガスの排出削減効果などについて周知啓発を行い、電気自動車の普及促進に努めている。

 6月には補助上限件数に達しているとのことだったが、電気自動車を導入する方は増加傾向にある。市は、このような機会を捉えて普及促進を一気に進める必要があると考えるが?⇒(福室環境部長)国は、令和3年度に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「2035年までに、乗用車新車販売で電動車 100%を実現できるよう、包括的な措置を講じる」とし、この10年間は電気自動車の導入を強力に進めることを示してることから、本市においても、こうした取組を重点的に推進していくこととしている。そのため、来年度については、さらに補助件数を増やして導入促進に努めるほか、一般の方も利用できる充電設備の設置に対する支援を実施し、インフラ整備を進めることで利便性の向上を図ることなどを検討している。

 この夏に、同僚議員と本市職員で、EVパッカー車を導入している厚木市の取組を視察した。本市でもゼロカーボンの実現に向けてEVパッカー車の導入を検討していると聞いたが、進捗状況は?⇒(福室環境部長)本市では、ごみの収集を戸別方式により実施していることから、厚木市のような大型EVパッカー車の導入は難しいと考えている。そのため、引き続き、自動車メーカーにおける技術開発の動向を注視し、早期の導入に向けた検討を行うとともに、まずは、本市でも使用できるEVトラックについて、令和5年度に環境事業センターへ導入することを検討している。

 本市へEVトラックなどが導入されても化石燃料由来の電力で走行するのでは本末転倒である。充電設備も含めたインフラ整備についての考えは?⇒(福室環境部長)充電設備とその電力については、現在、改築を進めている環境事業センターの敷地内に充電設備1台を設置し、本市のごみ焼却発電に伴う電力の地産地消による排出係数0の電力を活用することとしている。また、EV車両の増車に合わせて、今後、充電設備を増設していくこととなるが、その電力についてもごみ焼却発電による電力のほか、令和5年度には、敷地内に太陽光発電設備を増設することを検討しており、ゼロカーボンに向けた取組を進めていきたいと考えている。

 公用車全体に占める電気自動車の割合はどの程度なのか。また、他市の電気自動車の公用車への導入状況は?⇒(山口財務部長)公用車における電気自動車の割合は、消防車両を除く公用車327台のうち5台で、割合にして1.5%となっている。また、他市の公用電気自動車の導入状況は、令和4年9月の調査だが、平塚市が222台のうち2台で全体の0.9%、鎌倉市が154台のうち7台で全体の4.5%、小田原市が213台のうち1台で全体の0.5%、茅ケ崎市が243台のうち3台で全体の1.2%となっている。

 公用車の適正な台数の把握状況と公用車の電気自動車の導入計画は?⇒(山口財務部長)管財課が管理する軽自動車74台の稼働状況について、現在、実際の稼働時間や走行距離などのデータを収集し、詳細な分析を進めている。こうした取組を行う中で、令和5年度を目途として、公用車が必要な時に使用できる体制を維持しながら、公用車の削減も含め、適正な台数で運用していく。また、電気自動車についてはガソリン車の更新時に導入したいと考えているが、電気自動車を増車した場合、導入経費や充電設備の増設などの課題もあることから、これらの課題も含めて環境部とも連携しながら検討していく。

 朝日町駐車場での事業者によるカーシェアリングでは電気自動車は1台と聞いているが、このカーシェアリングの電気自動車の増車と公用車へのカーシェアリングの導入についての考えは?⇒(山口財務部長)朝日町駐車場でのカーシェアリングにおける電気自動車の増車については、充電設備のスペースの確保や増設にかかる経費などの課題もあるが、朝日町駐車場を管理している民間事業者に増車の要望をしていく。また、公用車へのカーシェアリングの導入については、現在、一部で試行的に進めているが、引き続き公用車の適正化と併せて拡大を検討していく。

 昨年の12月の一般質問で災害時における電力事業者との連携について、災害対策基本法に基づく指定公共機関である、東京電力パワーグリッド株式会社とは、藤沢市防災会議の構成員でもあることから、日頃から連絡を密にしており、ホットラインの共有やリエゾンの派遣など、迅速な復旧対応ができる連携体制を構築しているとの答弁があり1年経過したが、現在の状況は?⇒(斎藤防災安全部長)本市においても、災害の激甚化による大規模停電の長期化は十分想定されるので、民間企業や団体等との連携により、被災者の様々なニーズに適切かつスピーディーに対応できるよう、取組の強化・拡充を図っていきたいと考えている。このことから、電力の早期復旧を図ることを想定して、現在、東京電力パワーグリッド株式会社との連携による、停電復旧作業等に関する協定の締結に向けて取り組んでいるところ。

 近年、頻発している台風や地震、大雨などの自然災害によって発生する停電に対しての不安や BCP対策への課題を抱えている自治体が多くあると思われる。特に災害時には、ライフラインの損壊も甚大なものになることが想定される。そこで避難生活を安定させることが必要と考えるが、現在の電力確保の状況と自動車会社との連携状況は?⇒(斎藤防災安全部長)地区防災拠点本部等の電力確保対策として、自家発電装置や、発電機、ソーラーパネル付きポータブル蓄電池等を整備している。また、災害時の更なる電力確保に向けては、避難所等の非常用電源として活用することを目的に「災害時における電動車両等の支援に関する協定」を自動車販売会社等と締結している。加えて、近年、技術的進歩が著しい電気自動車の活用を拡大するため、給電に利用できる車両を提供いただける事業者との、新たな協定締結交渉を進めている。災害時の電力確保については、市民生活や都市機能の命綱であるライフラインとして、非常に重要な課題であると認識している。このことから、今後についても、自然災害が起こる中での電力インフラの強靭性を高め、電力供給体制の強化につながるよう、民間事業者等との連携による災害時協定の充実を図っていく。

(2)AEDの設置状況について

 AEDは、突然の心停止に有効であることから、市民の安全安心のため、より多く設置し、万一の事態に備えたほうが良いと考える。藤沢市内の、市が独自で設置しているAEDと民間企業や店舗が設置しているAEDの状況は?⇒(衛守消防局長)本市では市民の皆様が利用されるほぼすべての市施設195箇所にAEDを設置しており、市役所本庁舎などの大規模な施設には複数台設置しているほか、学校など一般開放している施設には屋外設置をするなど、市民の皆様が使用しやすい環境を整えている。次に、民間施設のAEDについては、設置の報告義務がないため全数の把握はできていないが、救急医療振興財団のホームページでは410箇所と報告されている。主な設置施設としては、公共交通機関や商業施設、スポーツ施設等の公共性の高い場所、さらには病院・診療所等の医療機関や高齢者施設等に設置されている。

 実際に心肺停止状態の方に対し、応急手当の実施率やAEDが使用された割合について、全国と比較してどうか?⇒(衛守消防局長)全国のデータが出ている令和2年中の比較となるが、心肺停止になった傷病者に対して、市民が、何らかの応急手当を実施した割合は全国の58.1%に対し本市は79.8%、そのうち実際にAEDが使われた割合は、全国の4.2%に対し本市では5.6%%といずれも本市が上回っている。これは、本市が応急手当の普及啓発を強く推進しており、市民の方の救命講習受講率が高く維持されていることが要因だと認識している。

 応急手当の実施率は80%近いが、AEDの使用率は5%ほどで、まだまだAEDが使用されている事例は少ない。AEDの設置数が増えれば、さらに助かる人が増えると思うが、消防局の取組だけでは、限界があると思う。現在、民間企業はESGの観点から、社会貢献が必須であるともいわれているが、民間企業との連携について消防局の考えは?⇒(衛守消防局長)消防局では、救命講習やイベントの際にAEDの必要性を広く伝えている。
 また、民間企業との連携については、AEDの設置と正しい応急手当の技術取得を一体にした救急セーフティーステーションの拡充を推進しているところ。今後についても地域や社会への貢献に関心を持つ民間企業と協力しながら、救命効果のさらなる向上を目指し、市民の安全安心を確保していきたいと考えている。

通告12番 東木議員

1. 活気あふれる藤沢の未来づくりについて

(1)不妊治療等少子化対策について

 不妊治療を受けている方への支援の状況と、相談対応の状況は?⇒(齋藤健康医療部長)支援実績は、特定不妊治療に対する助成事業を行い、令和3年度が458人、令和4年度は11月
までで420人に対し助成を行っている。また、不妊・不育に関する相談については、きわめて専門性が高く、治療内容を含む場合があることから、県が設置している「不妊・不育専門相談センター」を案内している。このセンターでは、助産師による電話相談、医師・臨床心理士による面接相談を行っており、令和3年度からはオンラインでの相談も開始している。

 「妊活」という言葉が一般化しているが、不妊の悩みはなかなか人に言えない、人知れず苦しんでいるもの。不妊・不育に関し、本市でも一人一人にきめ細かい対応を行うべきと考えるが?⇒(齋藤健康医療部長)不妊治療に関する様々な悩みに対し、一人一人に寄り添った対応を行う必要性については認識している。一方、不妊に関する相談については、その性質上、医学的な知識やアプローチなど、きわめて専門性が高いスキルを必要としている。現在、案内をしている、県の不妊・不育専門相談センターについては、10年以上の相談実績があり、治療方法や心の悩み等の相談にも対応できる環境が整っている。現状においては、相談者にとって、より効果的な対応が可能である県の不妊・不育専門相談センターへの案内を継続していきたいと考えている。なお、相談者が治療以外で求めている情報の把握も必要と考えており、ニーズ把握を行うため、藤沢市医師会等関係機関との連携を検討し、治療をされている方に寄り添った対応ができるよう努めていく。

 不妊治療が保険適用となったものの、負担が重くなっている方も多い。そうした課題についてどのように把握しているか。また、横須賀市では足りない部分を補う新たな助成金事業を始めており、東京都でも先進医療について支援を始めるとのこと。本市においても必要と考えるが?⇒(齋藤健康医療部長)これまでの高額な治療については、保険適用化によって自己負担が3割となり、高額療養費制度も利用できることから、経済的負担が大幅に減となるが、治療内容によっては、これまでの助成金制度を利用したほうが、経済的負担が少ないケースがあることも聞き及んでいる。本市における新たな助成制度については、保険適用後、間もない状況であるので、国・県の動向を注視しつつ、今後の治療内容等を勘案し、検討していきたいと考えている。

 晩婚・晩産化は止まらない。少子化対策が最重要課題になっている現実。これまで、現在も子育て支援が少子化対策と思ってきたが、より課題を明確にした少子化対策を練り上げていくことが必要と考える。例えば少子化対策の部署の設置や、専門の担当の配置などの考えはあるか?⇒(宮原企画政策部長)少子化の進行は、わが国の社会経済に多大な影響を及ぼす極めて危機的な状況であると認識している。人口増が続く本市も年少人口は減少傾向にあり、今後の人口構造の変化は持続的なまちづくりの妨げとなり、また市内のマーケットは縮小していくことが予想される。少子化対策は、まず結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくることが必要となる。雇用、賃金、結婚、働き方や暮らし方改革、教育にかかる費用負担など課題は山積している。これら、特に経済的な課題に自治体単独で抜本的な対策を進めることは困難であるものの、市では今後、こども家庭庁の創設に対応し、実施する施策の優先順位を定め、すべての妊産婦や子育て世帯が当然の権利として、多様な支援を受けられるよう「こども家庭センター」を組織し、福祉・子育て支援、保健、教育の有機的連携を深化させ、トータルサポートを充実させていく。いずれにしても、国の少子化対策に関する動向を注視しつつ、次期の総合指針には、子育てに夢や希望を感じられる温かい社会づくり・機運醸成など、少子化、人口構造の変化に対応するための新たな視点を加えていくとともに課題に応じた組織体制づくりについて検討していく。

(2)若者支援について

 不登校の増加の要因についてどのようにとらえているか。また、不登校に対する社会・保護者の認識が変化していることはいいことと思うが、その受け皿が大切である。具体的にはどのように学びの場・機会を確保しているのか?⇒(峯教育部長)不登校の増加の要因については、国が行っている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果からは、小・中学校とも「無気力、不安」や「生活リズムの乱れ」が多いほか、学校、家庭及び本人に係る状況において、要因が複雑化・多様化している状況がある。この背景には、コロナ禍の影響により、生活リズムが乱れやすい状況や、学校生活において様々な制限がある中で登校する意欲がわきにくい状況があったと受け止めている。さらに、児童生徒の将来の社会的自立を目指し、学校以外の場も含めて教育機会を保障することが大切であるという理解が進んでいることも考えられる。また、不登校児童生徒の受け皿としては、具体的には、学校内の別室、相談支援教室、ICTを活用した学習支援のほか、フリースクール等の民間施設との連携など、学校、家庭、教育委員会、地域、関係機関等が、不登校児童生徒を中心に、一人ひとりの状況に応じた学びの場の確保に努められるよう取り組んでいるところ。

 不登校になったときの保護者の向き合い方が大事。保護者の心のゆとりや考え方を子どもも敏感に感じ取る。そのために、教育委員会では、保護者同士の交流の機会を作ってこられたと思う。その取組状況と不登校の方への支援を進めるにあたって、様々な連携強化を図ることが必要と思うが、考えは?⇒(峯教育部長)不登校児童生徒を抱える保護者の交流の場として、教育委員会では年4回「おしゃべりひろば」を開催している。「おしゃべりひろば」は、日頃保護者が一人で悩んでいることや困っていることなどを共有することで、保護者の精神的なサポートにつながるほか、必要に応じて、個別相談を行い、進路や関係機関等について情報提供を行うなど家庭への支援の場ともなっている。
 また、連携強化については、これまで教育委員会では、フリースクール等の民間施設とも情報交換会を行ってきているが、今年度から児童生徒の支援に携わる学校教職員も交えた連携を進めるなど工夫を図っている。不登校の要因や支援ニーズは多岐にわたることから、今後も、関係機関等とも密接に連携を図っていけるよう、関係構築に努めていく。

 閉塞した空気、気持ちが落ち込んでいるとき、自宅にいても落ち着かないとき、ホッとできる居場所が必要と、前向きな答弁をいただいた。その後の検討状況は?⇒(三ツ橋子ども青少年部長)若者の居場所については、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、感染拡大防止の観点から各公共施設で利用制限を設けていたことから、新たな居場所を設置することは、困難な状況でありながらも、本庁舎5階の青少年自習室を若者の居場所として開放してきた。本市としては、若者が安心して活動できる居場所は重要と考えているので、今後も関係課と連携して居場所の確保に努めていく。また、庁舎内における若者の居場所の充実としては、関係課と協議を行い5階の市民ラウンジの利用の在り方や青少年自習室の増設などについて検討していきたいと考えている。

 ユースサポート・ユースワークふじさわのサポートにより自立や就労が叶ったケースや、その件数について聞きたい。また、(相談・支援に)オンラインを活用する時代を迎えているが、もともと家から出られない方と繋がることに効果的なケースや、これまでの相談や支援の在り方と、オンラインを活かした相談・支援との変化についての状況は?⇒(饗庭経済部長)ユースサポート・ユースワークふじさわの相談件数は、令和3年度が2,023件、今年度は、9月までの半年間で940件となっている。その中で、約20年間引きこもっていた方が、親の定年退職を機に自身の就職を考えるようになり、ハローワークを経由してユースワークでの支援につながり、就職に結びついたケースや、数年間引きこもっていた方が、インターネット検索でユースワークを知ったことで相談がスタートし、支援を重ねる中で自身の特性を理解し、最終的に障がい者の雇用枠で就職した例もあった。ユースワークでは、専門スタッフが相談者の特性やニーズに合わせ、就労準備から就労後の定着まできめ細かな支援を行っており、令和3年度には105人の進路決定につながった。
 また、コロナ禍においては、電話相談やオンライン相談を活用することで支援の継続を図っているが、このことは、外出に困難を抱える方や、対面による相談に心理的に抵抗がある方などにとっても、安心できる環境での相談につながっていると捉えている。最近では、相談者の約1割がオンライン相談を希望していることから、今後もオンラインを活用した相談体制を継続するとともに、インターネットを活用した就労支援プログラムなども充実させるなど、相談者の置かれた環境に、配慮したサービス提供ができるよう工夫を重ねていく。

 「ユースサポートふじさわ」は若い世代やメンタルに課題のある方々の支援をされてきた。コロナの発生などの環境の変化により、その重要性が増していると思う。なるべく早い段階でこのサポートにつながることが大事と考えるが、教職員への周知等の状況と、当事者世代と親世代に広く周知を図るためには、様々な工夫が必要と考える。市の考えは?⇒(峯教育部長)学校においては、生徒一人ひとりの状況に応じて、希望に沿った進路の実現を目指し、適切な情報提供に努め、進路指導に取り組んでいるところ。教育委員会としては、様々な困難を抱え、卒業の時点で進路が決められなかった生徒を、子ども青少年部と連携して、「ユースサポートふじさわ」等につなぐことも、サポートの一つとして大切であるととらえている。昨年度、児童・生徒指導担当者会において、自立支援の一つとしてこの取組を紹介している。今後も引き続き学校への周知に努めていく。
 (三ツ橋子ども青少年部長)社会生活を円滑に営むうえで困難を抱える若者を早期の支援につなげるには、「ユースサポートふじさわ」などの相談できる場をいかに知ってもらうかが重要と考えている。現在、義務教育課程を修了する中学3年生を対象に「ユースサポートふじさわ」のチラシを配布するほか、年に1回、広報ふじさわの特集記事として掲載し周知を図っている。今後は、当事者世代には、市公式のLINEやFacebookページ、カラフルフジサワなどSNSの様々な媒体での周知、親世代には、これに加え紙ベースも効果的と考えるので自治会回覧を活用し、さらなる周知に努めていく。

 交付税措置となっている奨学金返済助成制度については、他自治体で取組が進められている。本市においても、若者支援という視点で、この制度を活用し、保育現場や介護現場をはじめ、人材不足となっている人材確保策を進めてはいかがか?⇒(三ツ橋子ども青少年部長)議員の提案の奨学金返済助成制度は、東京圏への一極集中が継続し、地方においては、とりわけ生産年齢人口の減少が顕著であることに鑑みて、就職等を機会に、若者が地方に定着することを目的として制度化されたもの。財源措置は、特別交付税により講じられ、活用にあたっては、地方版総合戦略への位置づけが必要とされている。本市では、今年度、政策や施策の基礎データとなる将来人口の推計を実施しており、令和5年度には推計結果を示す予定。この結果を踏まえ、本市の将来人口に対する政策を考察し、地方版総合戦略である「ふじさわ「まち・ひと・しごと」ビジョン」に、若者の本市への定着支援の明確化ならびに、すでに実施している保育士、幼稚園人材の確保策だけではなく、奨学金返済助成を活用したその他の職域における人材確保についても、今後、経済部など他部門と連携し、検討をしていきたいと考えている。

 特に企業は人材不足で本当に困っている。奨学金の「代理返還制度」における企業支援分は、対象となる社員の給与所得とならないため、税や社会保険料の増加につながらず、また企業にとっては、損金算入の対象となることから法人税の軽減につながるものであり、また一定の要件を満たせば、法人税の税額控除も可能である。市内で導入している企業の状況と、また、知らない企業も多いと思われるが、商工会議所などを通じて広く周知を図るべきだと考えるが?⇒(饗庭経済部長)現時点において、奨学金の代理返還制度を利用している市内企業等の情報は、把握していない。しかし、昨年の制度変更により、雇用する社員の奨学金を、企業が日本学生支援機構に直接送金できるようになった本制度は、税や保険料の取り扱いに関して、企業側にも社員側にもメリットがあり得るほか、機構のウェブサイトに社名や支援の目的などを掲載することによる採用活動でのPRや、奨学金の返済を行っている社員の金銭的、心理的な負担軽減による定着率の向上も期待される。このようなことから、就労者支援、企業の人材不足解消のいずれの観点からも、本制度を広く周知することは有効と考えるため、今後、商工会議所などとも連携し、周知啓発を図っていきたいと考えている。

2. 「魅力あふれるふじさわづくり」について

(1)北部・西北部のまちづくりについて

 病院が完成し、底地の公園が完成した。とても期待が大きくて遠藤地区の皆様が口々に言われることが、周辺道路の整備。工事の予定が中止の判断があったよう。もともとの外周道路も中止になる。病院が完成し公園が完成して、期待が高まっており曖昧にしてはいけない、明確に示しいただきたいが?⇒(川﨑都市整備部長)議員指摘の、遠藤笹窪集落周辺の道路である、市道遠藤225号線については、安全対策のため道路拡幅による歩道整備を前提に、平成28年に地元説明会を開催し、平成30年までに用地測量を実施した。しかし、道路拡幅にあたっては用地買収や建物等の補償に多額の費用と、多くの時間を要するものであることに加え、当該道路においては令和元年に実施した交通量調査の結果、総じて交通量が少ないことが判明している。従って、現在、西北部地域においては、健康と文化の森地区や、新産業の森地区のまちづくりをはじめ、遠藤葛原線の整備を最優先して進めていることから、
本路線については、これらの事業に、ある程度の目途が付いた段階で検討していきたいと考えている。なお、それまでの間は、視覚効果により速度抑制を促すイメージハンプの導入などの安全対策について、地域の方々と意見交換をしながら検討していく。

 御所見地区については、下水道の整備や排水機能も無い。大雨が降るたびに浸水する。都市基盤整備が遅れている現実をどう捉えているか?⇒(鈴木下水道部長)下水道の雨水整備については、本市では、総合的な内水浸水対策の計画である「藤沢市雨水管理総合計画」を策定し、市域全体を175のブロックに分け、土地の浸水しやすさなどのリスクを評価し、優先度の高いブロックから対策を行うこととしている。質問の御所見地区については、農工住が共存し、豊かな自然環境が守られている一方、近年、一部の農地等の転換など、保水機能の低下や降雨の局地化などにより、低地部において道路冠水などが発生していることと認識している。このような状況下、質問のエリアについては、優先度の評価から、抜本的なハード対策への集中投資は難しい状況であるが、比較的小規模な浸水被害については、各施設管理者の連携などにより、既存の施設の適正な維持管理や機能の向上を図ることで、被害の軽減に努めていく。

 御所見地区では、超高齢社会を迎え、交通・移動の課題は深刻。市として、御所見地区の交通の課題をどう捉えているのか。また、国の有識者会議で「ファーストワンマイル」、自宅からの最初の移動を見つめ直す考え方が示されたが、御所見地区でも、最優先で取り組んでいただきたいが?⇒(三上計画建築部長)御所見地区の課題については、鉄道駅がないため、自家用車に依拠する、あるいは、最寄り駅への移動はバス利用が大半を占めるため、駅への移動手段が限られたり、多くの時間を要する地域であると捉えている。国の「ファーストワンマイル」については、自宅から最初の移動の充実を図る考え方であるが、平成30年に実施されたパーソントリップ調査の結果からも、身近な移動が増えている傾向が確認できることから、国の考え方と同様に、自宅周辺の日常生活に着目した交通環境づくりの視点が必要と考えている。そのため、御所見地区におきましても、基幹的な役割を果たしているバスだけでなく、福祉部が行っている高齢者の外出支援の取組と連携するなど、あらゆる地域資源を活用し、誰もが移動しやすい環境整備に努めていく。

 少年の森の再整備について、先日の子ども文教常任委員会で報告があった。今後の可能性に期待をしている。民間のアイデアに負うところが多いと思うが、周辺には農業従事者も多い地域。農家との連携、農業の魅力や活性化につながるような、プランであってほしい。市のお考えは?⇒(三ツ橋子ども青少年部長)少年の森の再整備については、市内の中でも自然が豊富で農業などが盛んな魅力ある地域であることから、その特性を活かしながら北部地域の活性化に資する施設となるよう、市としても考えているところ。農業従事者が多い地域という特性からか、サウンディング型市場調査でも、農業体験や、地元で生産している野菜の販売など、農業に資するような意見をいただいており、施設の再整備に当たっては、今後も地域の方々から様々な意見を聞きながら、北部地域の活性化に資するシンボル的な施設となるよう基本方針・基本構想を策定していく。

 「暮らし」という点においては、御所見地域は唯一のスーパーマーケットも撤退。悲鳴を上げている。通信販売もある時代だから何とか凌いでいる。農家やショップの訪問販売だったり、医療機関がキッチンカーの乗り入れに協力するとか、現場で民間同士、助け合いの機能でカバーしている様子。高齢者の免許返納が続く今後に向けて、このままでいいと思えない。根本的な解決方法ではないが、地域共創のまちづくり等、住民の創意工夫を始め地域に存在する事業者など、社会資源の力を見つけ出して、暮らしを支える取り組みが必要ではないか?⇒(平井市民自治部長)市内でも高齢化率の高い御所見地区において、高齢者の買い物支援と移動支援は今後の大きな地域課題となっており、「御所見地区地域福祉活動計画2026」においても重点施策として位置付けられている。このような状況の中、スーパーマーケットが撤退した後には、一部生鮮食品を取り扱うドラッグストアができ、古里団地では週1回地域の農家や店舗による訪問販売が行われ、地区内の一部ではありますがイトーヨーカドー湘南台店からの移動販売も行われている。また、地域の組合員が生産する農畜産物の販売所「ごしょみ~な」の運営など地域資源を活かした様々な活動が行われている。今後、市としても、地域課題の解決に向けて、地域団体、地域住民、関係事業者等と連携を図りながら、藤沢市未来共創会議ワークショップの場なども活用し、地域の社会資源の力を見つけ出して、地域住民の暮らしを支える取り組みを進めていきたいと考えている。

 藤沢市は13地区に市民センター・公民館が設置され、職員も配置されている。各地区の拠点として有効であり、大変先見性があった。一方で地理的にも、都市基盤的にも極端に不便不利な地域がある。歴史的背景をもとに13地区を同じ物差しで評価し、サービス提供を行っていくと、今後の超高齢社会において、極端な格差が生じるのではないか。すべての住民の暮らしの質に極端な格差が出ないような対応をすべきと考えるが?⇒(宮原企画政策部長)北部・西北部地域のまちづくりについては、湘南台、健康と文化の森の2つを都市拠点と定めるとともに、御所見や長後といった隣接する地域も含めて安心して暮らせるよう道路整備や土地区画整理事業といった投資的事業を行い、地域経済の活性化に努めてきた。一方で、ハード整備によるまちづくりは時間がかかる面もある。少子超高齢社会の進展に対応し、全ての市民の方に住んでよかったと思っていただくためにも、全庁的に検討が必要な課題については、しっかりと受け止め、市民の皆様と共に解決を図っていくものと考えている。
 市民意識調査の結果にも示されているが、13地区それぞれに、現状に満足されている方も、またさらなる暮らしやすさを期待されている方もいる中で、13地区がそれぞれに豊かで価値や誇り、オリジナリティがないと市のダイバーシティは保てないと考えている。2040年に向けた持続可能なまちづくりに向けて議論を深め、求められる未来を描いていきたいと考えている。

 3年前、郷土づくり推進会議の方がエリアマネジメントを提案された。駅地下を対象とした全国の事例を示すなど、行政側がたたき台を作らないと、なかなか進まない。今後の進め方についての考え方、また、駅の魅力・小田急線改札口出ると目に飛び込んでくるのが柱の広告で印象が良くない。アートの柱にするなど一貫性をもった魅力的な設えにしないともったいないが、市の考えは?⇒(平井市民自治部長)エリアマネジメントについては、本年8月と11月の「湘南台駅地下アートスクエア運営委員会」において、「地域の多様な主体が連携し管理運営を行うものであること」や、その負担や運営方法等の課題について共有を図ったところ。今後については、議員指摘の通り、エリアマネジメントのイメージがわかない部分もあるかと思うので、まずは、地域の皆様に理解いただけるよう、勉強会等の開催を検討していきたいと考えている。
 また、小田急線改札口前の柱広告については、平成24年に本市と(株)小田急エージェンシーで「広告媒体の取扱いに関する協定書」を締結し、希望する広告主からの依頼に基づき掲出しており、現在も一定の広告料収入を特定財源として計上しているもので、現行協定を継続していきたいと考えている。

 また、その背景には国の道路政策の転換という後押しもあったと思う。例えば「ほこみち」という制度が生まれて「人が主役」の道路空間を創る。びっくりするようなキーワードが飛び交って全国的にも人が賑わう社会実験が始まっている。住民の皆様からは駅地下から東口の湘南台公園に向かっての広い道を(通りが広いのに寂しいとの声)活用して新しい空間を創るよう要望をうかがっている。その前にまずは湘南台駅構内全体を利活用することかと思うが、国の道路空間の利活用に対するビジョンなども参考にする、あるいは制度を活用して新たな賑わいや魅力づくりを進めていただきたいが?⇒(北村道路河川部長)まちの利便性を高めるための施設の設置や、まちのにぎわいを創出するためのイベントの開催等については、これまで道路の敷地外に余地がないためやむを得ない場合のみ許可ができる、いわゆる無余地性の基準が適用されていた。したがって道路の占用許可は、縁日、祭礼など特定の催し物に限定されており、湘南台駅地下構内も道路であるため、活用が難しい状況にあった。近年、賑わい創出のためのイベントの場やオープンカフェとしての道路の活用など、道路空間の利活用への期待が高まりつつある。令和2年には新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店等を支援するため、沿道飲食店等の路上利用の占用許可基準を緩和する特例措置が国から示されるなど、法令や制度の改正、緩和が行われてきた。本市では、平成27年に道路占用許可基準を見直し、路上イベントなどの場として道路空間を活用できるよう、弾力的な道路占用許可を行っており、湘南台駅地下構内や円行東大通り線においても、活用されてきている。人が主役の道路空間の創出や人々が滞在し交流できる道路空間づくりなど様々な取組が全国的に進んでおり、歩行者利便増進道路制度「通称ほこみち」を活用することも賑わいを創出するための一つの手法と考えている。一般の方々の通行の確保など一定の条件はあるが、地域の方々から相談があれば、湘南台駅地下構内や円行東大通り線において、各種制度を活用した新しい空間づくりについて、関係各課と連携して、取り組んでいきたいと考えている。

 湘南台駅は2つの路線の最終駅である。「湘南台ブランド」を創出したい、駅前ロータリーから商店街、駅周辺全体を活性化したいと、住民の皆様は様々な思いを持っている。都市マスタープランにも記載があるとおり、湘南台駅周辺には「都市拠点にふさわしい魅力と仕掛け」が求められている。市では、最終駅にふさわしい賑わいについて、どう捉えているのか?⇒(三上計画建築部長)湘南台地区については、土地区画整理事業による都市基盤の整備を進め、小田急湘南台駅を核とした良好な市街地が形成されてきた。現在、湘南台駅は、鉄道3線が乗り入れるターミナル機能を有しており、駅周辺では、本市北部地域における商業・業務、行政サービス機能の中心地として都市空間が形成され、市民や大学・北部工業系市街地へ向かう人々などが交流する都市拠点に位置付けられている。しかし、この3線の改札口は地下にあり、乗降客が地上へ回遊せず駅周辺の賑わいが欠けていることから、都市拠点にふさわしい魅力と仕掛けが求められている。このことから、今後の湘南台地区のまちづくりにおいては、多様な使い方が可能となるオープンスペースや回遊空間の構築などが必要であると捉えており、この点も踏まえて関係各課と共に文化・交流拠点にふさわしいまちづくりを進めていきたいと考えている。

通告13番 北橋議員

1. 住みやすいまち藤沢の図書館について

(1)ネットワーク化について

 市民図書室のオンライン化が11月1日から始まり約1か月半が経過した。開始までの準備やスタート時の様子、また現在の状況は?⇒(板垣生涯学習部長)市民図書室においては、従来、利用者管理や資料管理を紙媒体で行っていたが、11月1日から図書館システムを導入した運用を行っている。図書室オンライン化に向けては、5月から順次、図書室業務員の研修や、10月中旬からは図書室を休室し、機器の導入やシステム検証、特別整理を兼ねた蔵書の確認作業を行ってきた。運用開始から現在において、大きな混乱はなく、順調な運営ができている。また、利用者からは、図書館ホームページから図書室資料を予約できるようになり、便利さを感じていただけるなど、好意的な意見をいただいている。

(2)電子図書について

 10月1日から電子図書サービスも開始され、市民図書室のオンライン化とあわせて、便利になった図書館をどうアピールしていくか?⇒(板垣生涯学習部長)藤沢市図書館では、10月1日から電子図書サービスが、11月1日から図書室オンライン化が開始したことにより、藤沢市図書館の運営方針である「いつでも、どこでも、だれでも、なんでも」というインクルーシブな図書館サービスのさらなる向上が図られた。引き続き、市民図書室のオンライン化による市民サービスの充実や、電子図書サービスのコンテンツにおいてさらなる拡充を図っていくことで、仕事や子育てなどで図書館に来ることが難しい方やヤングアダルト世代へのより一層の利用を促していきたいと考えている。今回の図書館サービスの向上により図書館・図書室の利用のしやすさや、利用者ご自身の端末から電子図書を読むことができる楽しさ、便利さをより多くの方に知っていただくために、図書館ホームページを始めとした様々な広報媒体を使い、図書館サービスのPRに努めていく。

2. 子どもと地域の連携について

(1)地域活動について

 地域には、その土地の「伝統文化や郷土歴史」があるが、次世代へ継承していくために、地域と交流しながら実践している学校行事や授業での取組状況は?⇒(峯教育部長)「伝統文化や郷土歴史」に関連した地域との交流について、学校は地域の人々の協力を得ながら、連携・協働し、交流や体験を伴う学習など創意工夫ある教育活動を推進している。各学校ではコロナ禍以前は、各教科等の授業や文化祭等において取り組んでいる事例として、箏や和太鼓の講師を招いての鑑賞や演奏体験のほか、凧作り、わらじづくりなど、地域の方と交流し学ぶ中で伝統文化に触れる取組を行っていた。コロナ禍においては、学校外の方との交流が少なくなったが、身近な地域を学習する際に、地域の神社やふじさわ宿交流館等の郷土資料に触れることのできる施設を訪問し、地域の方にインタビューをする活動を行った学校があった。また、学校運営協議会において、地域との交流を取り上げ、地域の指導者を招き、「ささら踊り」を体験する学校や、ふじさわ宿などの地域の特色をいかした体験学習を行っている学校もある。

 コロナ禍においても実施できた、地元商店の見学や職場体験学習など、地域社会と連携した取組状況は?⇒(峯教育部長)コロナ禍においても地域社会と連携し実施した取組事例について、小学校では、大学と連携し「地域活性化」を探求課題として、地域の方々と触れ合う中で歴史や街並みの移り変わりを学習する活動に取り組んでいる学校があり、地域とのつながりや藤沢への思いを深めたと聞いている。また、中学校では、地元の商店街と生徒がつながり、地域の活性化につなげるため、SDGsをテーマにした団体を訪問して取材を重ね、学習した成果を、地域の方々や取材団体を招き発表するといった取組を行い、学校、地域、団体をつなぐ架け橋となった事例もあった。このように、子どもたちが地域での体験や経験、交流を通して成長できるよう、各学校の実態に応じて、工夫した学習活動を行っている。

(2)タブレットと図書館の活用について

 これからの学習や読書には、電子図書などの導入が有効であり、タブレットを活用した読書活動の推進が期待されていると考える。今年度、電子図書を導入した総合市民図書館との連携や、蔵書管理のデータベース化の取組についての進捗状況は?⇒(峯教育部長)電子図書の導入に係る、総合市民図書館との連携については、多くの児童生徒が同時に電子図書を利用することによる総合市民図書館への影響や、利用登録手続きに要する学校への負担など、様々な課題の解決に向けて総合市民図書館とともに現在検討を重ねている。また、学校図書館における蔵書管理のデータベース化については、学校へのアンケート等を通して状況把握を行い、ソフトウェアの仕様やコスト、システムを扱うパソコン環境が統一されていないことが課題として見えてきた。現在その解決に向け、他の自治体の導入事例など情報収集を行っている。

 各校にある学校図書館は、コロナ禍で活動の制限や人員の確保に苦慮があったと聞いているが、学校図書館における地域人材の活用状況について、どう捉えているか?⇒(峯教育部長)地域人材の活用状況については、今年度6月時点で小中学校合わせて260名の方が図書ボランティアとして登録され、本の修理、書架の整理、読み聞かせなどの活動を行っている。また、コロナ禍で制限された活動も少しずつ実施できるようになり、図書ボランティアを対象に、学校図書館専門員や総合市民図書館の職員を講師として招くなど実務的な研修を実施している。今後も子どもたちの読書活動の推進に向けて、教職員、学校図書館専門員との情報共有や研修会の充実などにより地域人材と学校が連携を図ることが重要であると考えている。

 子どもたちが本に親しむ活動を推進していくためには情報機器や地域人材の活用が大切であると考える。学校図書館専門員の協力もあり、学校では特色ある読書活動を進めていると聞いているが、子どもたちの読書意欲を高めるために行われている取組や今後の方向性は?⇒(峯教育部長)学校では、基本的な読書活動に加え、特色ある取組として、本の紹介をしあい一番読みたくなった本を決めるビブリオバトル、図書ボランティアや地域の方などによる読み聞かせ、物語を語り聞かせるストーリーテリングといった本に親しめるような活動も行っている。また、子どもたちの主体的な取組としては、委員会活動で、お勧めの本が視覚的にすぐ分かるPOPやポスターを作り、本に興味を持たせる活動などが報告されている。
教育委員会としては、こうした取組を通して、子どもたちの読書意欲を高め、主体的な読書活動につながるよう、情報機器や地域人材も生かした各学校の取り組みの推進を支援していく。

※以上、報告とします。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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