2017.6.25 家族のケアを担う子ども(ヤングケアラー)に関する意見交換会

 6月25日 10:00より、藤沢市明治市民センターにおいて、「家族のケアを担うこども(ヤングケアラー)に関する意見交換会」が開催され、参加しました。内容の抜粋は次の通りです。

1. 講演 「ヤングケアラー 藤沢市 家族のケアを担うこども 」 講師:日本ケアラー連盟ヤングケアラープロジェクト

 ヤングケアラーとは、家族にケアを必要な人がいて、本来大人が担うようなケアの責任を担っている18歳未満の子どものことです。子どもたちが担っていることは、家事(料理・洗濯・掃除など)/一般的ケア(投薬管理・着替え、移動の介助など)/情緒面のサポート(見守り、声かけ、励ましなど)/身辺ケア(入浴やトイレの介助)/きょうだいの世話(世話や見守り)/その他(金銭管理、通院の付き添い、家計を支える労働、家族のための通訳など)です。

 2015年南魚沼市でヤングケアラー調査が行われましたが、国内で2番目に行われた「藤沢市」の調査で得られた傾向等について報告がされました。調査は、藤沢市の公立小学校・中学校・特別支援学校全55校の教員を対象に、1,812人の教員に対して行われ、1,098人から回答を得ています。主な特徴は次の通りです(重複あり)。

(1)ヤングケアラーという言葉を聞いたことがあるか?⇒ある448人/ない634人

(2)今年度、教員として関わった児童・生徒でケアラーではないかと感じた児童・生徒はいるか?⇒いる307人/いない736人

(3)過去に感じた児童・生徒はいるか?⇒いた570人/いなかった707人

(4)ケアをしている子どもの学年と性別⇒ケアをしている子どもは、小学生高学年頃から増え、小学6年から中学3年にかけての学年が多く、男女の比率は男4:女6となりました。

(5)子どもがケアしている相手⇒母41.7%/父9.87%/きょうだい47.0%/祖母3.0%/祖父1.8%

(6)家族構成⇒母と子ども40.0%/父と子ども4.9%/母と子どもと祖父母4.3%/父と子どもと祖父母1.2%/ふたり親と子ども35.0%。

(7)子どもがケアしている内容⇒最も多かったのは、家事ときょうだいの世話。

(8)どのようなに気付いたか?⇒多かったのは、子ども本人の話、学校を休む、保護者の話、家庭訪問など。

(9)子どもの学校生活絵の影響⇒多かったのは、欠席、学力がふるわない、遅刻、宿題をしてこない、忘れ物など。

2. 地域で「見守る」「支えあう」ためには・・・私たちができること

 以上の報告があった後、ヤングケアラーに対して、どのような支援が必要なのか、できるのか等について、ワークショップ形式によるグループでの話し合いが行われました。

 6グループでの話し合いが行われましたが、本日参加した方々は、地域で支えていただいている福祉団体関係者、市の福祉関係に従事する職員、学校教育相談センターの方々などでした。ヤングケアラーの実態調査を受けた学校関係者、一番情報をキャッチできる教育委員会の方々の参加があれば、更に有意義な意見交換になったのではないかと思いました。

各グループからの発表が行われましたが、どこのグループも意見交換の時間が足りなかった感じでした。発表での主な内容は次の通りです。

・ある家族を想定した困りごとへの支援を考えで、伴走型の母の役割などが必要。
・それぞれの立場で支援してきた経験を踏まえて、何が支援できるのかを話し合った。
・ヤングケアーとして親に説明したときに、親を責めないか心配になる。差別への配慮が必要。民生委員、自治会・町内会にヤングケアラーを知ってもらう。
・学校24時間、コミュニティスクールは難しい。福祉とつながっている学校に差があり、校長会を通じての共有が必要。
・情報に関する支援について、支援するタイミングンが難しい。
・実際のケースで何ができるかを検討した。18歳以上の若者への支援も必要では。

 今回は、ヤングケアラーなど、福祉や子どもへの支援に対して意識の高い人たちの集まりでありました。今日のつながりをスタートとして、更なる広がりを期待して意見交換会を終了しました。

3. 所見

 福祉関係者同士のグループワークの報告を聞いて、私の発想とは全然違うなあと思いました。私がその場で、思いついたことは次の通りです。グループワークの視点と一致したところもありますが、福祉職場の経験がない私にとって、浅はかだなあと思うところも多かったです。

・日常生活やイベント時における必要な作業は想定できる。
・そのことをヤングケアラーから代替えするには、昔でいうと「お手伝いさん」。
・それは、シルバー人材センターや地区ボランティアセンターで担えないか。
・子育てを終えたシニアの女性が、ヤングケアラー家庭を担当できないか。
・子どもや親との信頼関係をつくるためには、家庭の担当制とするべき。
・親の意向とプライバシーへどこまで介入するべきか。
・地域での支援には限界がある。とりわけ集合住宅など、コミュニティの醸成は理想でできない。
・ICTを活用したロボット技術での支援が期待できる。 などです。

 ヤングケアラーといわれる子どもたちは、親などのケアのために、友達と遊ぶ時間、勉強の時間、趣味の時間などが奪われます。調査の結果、遅刻・欠席・学力低下も顕著となっています。そのことが結果として、進学や就職に影響がでて、将来の貧困につながるかも知れません。私たちの会派「民主クラブ」は、「子どもの貧困対策」に取組んでおり、ヤングケアラーもその要因の一つとして、社会的課題として取り組んでいく必要があると感じました。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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