百条委員会 中間報告

 12月14日、12月議会の最終日に、善行地区における地域コミュニティ活動事業用地取得に関する調査について、特別調査委員会(百条委員会)から、中間報告がされました。中間報告のポイントは次の通りです。なお、経過等は省き、現時点としての百条委員会としての判断と改善点をお伝えします。

1.百条委員会としての判断

(1)土地の取得について

①住民の総意について。本件土地の取得が、自治連の陳情に端を発した以上、平成20年9月18日に自治連から提出された陳情が住民の総意か否かは大きな焦点である。これまで市当局は、総務、建設常任委員会及び連合審査会における答弁で、「善行地区の総意として、陳情が出されたので、この土地を購入した。」との説明を繰り返してきた。

 しかし、百条委員会での複数の証言から、この陳情は、自治連の役員会でも全く諮られておらず、陳情内容の検討・討議・確認もないまま、板垣自治連会長が陳情を作成し、複数の自治連役員に陳情提出の同行を求め、陳情提出をした。同行を求められた役員は、陳情当日、初めて陳情書を見せられた事実が判明。従って、陳情は住民の総意ではないことが明らかとなった。

 板垣自治連会長は、この土地の取得について、新聞報道で初めて知ったと証言していたが、11/4の百条委員会では、土地を買っているという話しは聞いていると、証言を二転三転させた。また、平成20年12月に土地購入が決まった後、当時の舘野市民自治部長からの指示で行われた、当時の鈴木善行市民センター長との打合せは、この土地を特定して行われており、新聞報道で知ったという証言は、責任を逃れようとした疑いが強い。結果として、陳情書の提出は、住民の総意を装い、この土地の購入を正当化するために、行ったものと判断する。

②土地の特定と取得決定の時期について。9/18の陳情に関連して行ったとされる土地の特定については、陳情の場に出席した役員全員が、土地の特定はしていないと証言が一致している。しかし、9/22には、当時の沖山経済部長に、土地が特定された地図と陳情書の写しが渡されている。9/20.21が土日であることから、土地の特定は9/19か9/22にされたこととなる。

 しかし、この土地については、陳情前の7月頃に、前矢島市議からの要望に対して、新井副市長がこの土地を確認している。この点について、新井副市長は、「7月時点で確認した土地と、この陳情の土地が同一なのは偶然であり、土地取得は、陳情を受けてから検討を始めた。」と証言していたが、最終的には、「陳情とは関係なく、購入を考えた。陳情は、取得の一つの要素に過ぎない。」旨の証言をしている。

 当時の舘野市民自治部長は、「市民農園の陳情を経済部に橋渡しするためには、土地の特定が必要なので、陳情者に土地の特定をしてもらった。」「土地の特定は9月19日である。」旨の証言をしている。

 結果としては、7月時点で、土地を確認した市及び、土地開発公社には、図面・登記簿謄本・公図の写しなどの関係書類が揃っており、更に、当時の財政課職員・土地開発公社職員・農業委員会職員の証言からも、陳情提出以前の7月~8月の時期にすでに土地の取得を決めていたと判断できる。

 また、土地の特定がされたとしている9/19について当時の鈴木センター長は、9/19ではなく、10月31日と証言。鈴木センター長から提出された10/31を裏付ける手帳の信憑性の高さに加え、他の証言は、あいまいで、一貫性がないのに、「9月19日」の記憶のみが鮮明で、9/19と断言している当時の志村自治連副会長の証言の不自然さなどを考慮すると、9月19日に土地が特定されたことは疑わしいと判断される。

 更に、市長によって、土地取得の最終的な意志決定がされたとされる10月10日以降であれば、陳情の回答はいつでも可能であったのに、回答が11月11日になったのは、自治連から場所の特定がされた形を作れなかった可能性があり、10月31日に土地を特定する場を設定した上で、回答したと推察できる。

  以上のことから、9月19日に土地の特定がされたとは判断できない。陳情とは無関係に土地が特定されたと判断するのが極めて妥当である。更に、土地を特定した場にいた者の誰かが、土地の特定を行ったことから、前土地所有者の松本氏、口利きをした矢島前市議、市、自治連会長など、関係者の都合をもって、土地が特定され、購入に至ったことは明らかである。

③土地取得の必要性及び市の関与について。海老根市長は、百条委員会において、「この土地は、大変駅に近く、開発される。緊急性というより必要性を強く感じた。」と証言している。

 市の提出資料によれば、地区内の住民が、コミュニティづくりのための活動に利用できる場を確保することの重要性から、新井副市長が、周辺の土地との一体的整備を指示、これを受けて、市民自治部として一定の考え方を整理し、報告を行った。とされているが、

(ア)指示から報告まで4日間という短期間なうえ、検討経過・報告に関する文書が一切存在しない。

(イ)通常行われる、基本構想の策定、計画書の策定、事業名などを示す文書が全く存在していない

(ウ)市民自治推進課が担当課であるにもかかわらず、土地の価格について、全て財政課の判断に従っており、積算根拠の確認もしないなど、主体性をもった検討をしていない

(エ)この土地の場所は善行駅から近く、善行地区の中心ではあるものの、かなりの高低差があり、障がい者や高齢者の利用は困難なうえ、進入路も極めて狭いため利用が困難。

(オ)この土地は、無道路地であり、事業用地で活用するためには、駐車場の確保、各種資機材の置き場、水道などのライフラインの設置について、隣接地所有者の協力が必要不可欠。

(カ)一体的整備を指示されたのに、事業の予算額や総事業費を検討した形跡がなく、関連する文書も一切存在しない。

(キ)当時の市民自治推進課職員の証言からも、舘野部長の指示により、土地の取得を前提とした考え方の整理であった

 以上の事から、市民自治部・市民自治推進課は、土地開発公社へのこの土地の先行取得依頼までに、利用形態を含めて十分な検討、考え方の整理を行ったとは判断できない。

 一方、陳情の趣旨である、「市民農園の設置要望」について、「出来ない」とした経済部・農業水産課の対応は、土地の現地調査をした上で、経済部として策定した「市民農園整備に関する基本的な考え方」と照らし合わせ、回答。一連の経過についても、記録に残すなど、適正な事務執行であったと判断できる。

 また、この土地は、隣接する土地の所有者の協力なくして利用は困難であるにもかかわらず、隣接地の所有者に無断で土地取得を進め、その結果、隣接地所有者からの反発を招き、現在に至っても、市と極めて不安定な関係となっている。このことが、取得後に巨額な投資が必要となる、新たな道路築造計画の検討まで行わざるを得なかったなど、大きな問題の発生につながっていったことも明らかである。

④土地取得の緊急性について。この土地の隣接地は、民間では取得しがたい生産緑地であり、更に無道路地でもあるため、隣接地の所有者の協力なしでは、利用価値は全くない。このことから、一般的な不動産市場では、買い手がつかない土地と断定できる

 事実、前土地所有者である松本氏は、隣接土地所有者から購入を断られた後、売却先を見つけることが出来なかった。また、百条委員会の証人として出頭した、土地開発公社職員や不動産鑑定士も、無道路地の売買取引は、隣接地の所有者以外には、みたことがないと証言している。

 従って、この土地も、隣接する土地も相続が発生していない状況の中では、早急な取得の必要性・緊急性があったと判断することは到底できない。加えて、陳情当日、地元の矢島前市議が陳情の場に、自治連役員を案内した事実も踏まえると、その介在により、取得決定が早まったことも想定され得る。

土地取得に関する判断。以上のとおり、この土地は、生産緑地に囲まれた無道路地であり、市民農園としての利用にも適していない。他の目的での利用であっても利便性が極めて悪いなど、単独では利用価値のない土地と言える。また、この土地の取得については、その前提となる善行地区内住民の総意がなかったこと、取得の必要性・緊急性も見当たらず、最初から取得ありきで進められた案件でもある。

 仮に、この土地の利用価値を見出し得たとしても、本来、地区内住民の総意に基づき、事業構想、事業計画などを十分検討し、隣接土地所有者の協力を得たうえで、適切な時期に購入するべきだったが、そのことを一切行わないまま、土地の取得が性急に進められた。

 以上のことから、百条委員会としては、この土地の取得は不当であったと判断する。

 なお、土地取得の違法性、取得を決定した海老根市長、取得に向けて主導した新井前副市長、舘野前部長の責任等については、今後も百条委員会として、法的措置を含めて、引き続き検討していく

(2)取得価格の妥当性について

 この土地は、平成15年5月2日に地元不動産会社を介して、前土地所有者の松本氏が売り主の希望価格であった3,000万円で取得その後、松本氏は、平成20年3月頃、この土地の隣接地の所有者に不動産会社を介して、購入依頼をしたが断られている。その時の売却希望価格は、6,000万円だったと松本氏の証言もある。

 土地開発公社による先行取得にあたって、不動産鑑定評価を実施したが、鑑定した小林鑑定士の証言から、この土地への進入路がないことについて、十分な確認をしないで鑑定評価を行った結果、1億850万円という価格で購入することとなった。

 一方、平成22年6月に議員有志で行った不動産鑑定評価によれば、4,250万円という評価額も算出されている。

 このように、この土地の売買価格や鑑定評価額には、大きな開きがあるため、百条委員会としては改めて、この土地の不動産鑑定評価を実施し、取得価格の妥当性について、継続して検討していく。

(3)議会への説明・対応等について 

 この土地の購入は、市の依頼により、平成21年1月7日に土地開発公社が先行取得したが、平成21年9月議会において、土地取得の経緯について疑義が指摘されるまで、議会に何ら説明・報告もされなかった。更に、平成21年10月以降に開催された、連合審査会等でこの土地に関する審査を行った際も、資料の提出、答弁でも不誠実な対応に終始したと言わざるを得ない。

 とりわけ、連合審査会等の開催前に、事実確認と称する会議が開催され、答弁調整を行ったこと。また、百条委員会において、当初は、会議の存在すら認めていなかった証人が、その後、他の証人の証言や新聞報道などにより、会議開催の事実が明らかになるにつれて、これを認める内容に証言を変えていったことは、まさに議会を軽視し、議会を愚弄したものと言わざるを得ない。

 この他にも、これまで行われた連合審査会等での答弁、百条委員会での証言を訂正することも多く、必ずしも真実を述べているとは思われない証人も見受けられる。このような議会に対する市側の行為は許し難く、海老根市長、新井前副市長をはじめとする市理事者の責任は極めて重大である。

 一方、自らが不利になるおそれがあるにもかかわらず、信憑性の高い証言を行った誠実な職員がいたことも特記しておく。

(4)告発について 

 百条委員会における証人喚問の結果、、多くの証人が、真実を述べる事を宣誓しているにもかかわらず、証言が二転三転し、証人間においての証言も大きく相違しているなど、矛盾点も多く、真実を証言しようとする姿勢が見受けられない証人すらいた。このような状況は極めて遺憾であり、百条委員会としては、最終的には告発も視野に入れ、厳格に対処していかなければならない。

 従って、市長をはじめとする一部の市職員や自治連会長など、証人の証言の中には、偽証に当たる可能性がある部分もあり、地方自治法第100条第9項の規定による告発に該当すると判断されるかどうか、今後、慎重に調査を進めていく必要がある。 

2.調査事項における改善点について 

(1)土地開発公社のあり方について

 議会の議決を経ることなく、土地開発公社が土地を取得することは、行政の透明性や説明責任からも大きな問題がある。この土地の取得については、国の通達からしても、土地開発公社の業務から逸脱しており、法令違反の疑いもある。こうしたことから、今後、土地開発公社の存続について、根本的な検討をする必要がある。

(2)風通しの良い組織体制と現場環境の構築について

 この件の発生原因として、組織や職員間の意思疎通や連携が不十分だったこと、全く意見が言えない職場環境だったこと、独立した組織である監査委員への不当な圧力があったことなどから、組織体制やトップマネージメント、人事異動のあり方を抜本的に見直し、職員が働きやすい環境づくりが必要。

(3)議会の対応と責任について

 この件については、連合審査会等で事実解明に努めてきたが、一定の限界があるとして、百条委員会設置を求める決議が3度提出されたが、いずれも可決をみなかった。本年4月の市議会選挙後の6月議会において、改めて決議が提出され、全会一致で可決、百条委員会が設置された。

 しかし、時間の経過により、記憶が薄れることや文書、書類等の保存期限等を考慮すれば、問題が表面化した段階で、直ちに百条委員会を設置し、調査を行うことが、より正確な事実の解明につなかったものと考えられ、この点については、議会としても反省しなければならない。

 今後、議会は、二元代表制の一翼を担い、市民の期待に応えられる機関として、行政の監視・チェック機能を更に強化していかなければならない。

 以上、中間報告の要旨として、報告します。

  

  

 

 

 


おおや徹

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