2011.8.23 自治労自治体議員連合総会

 8月23日 14:00より、長野県長野市において、私の出身組織である自治労の議員連合総会が開催され、参加しました。統一自治体選挙の結果など、経過報告、活動計画が確認された後、記念講演が行われました。記念講演の内容は、自然エネルギー関連で興味深いものでありましたので、報告します。

1.長野県における自然エネルギー普及の方向性(講師:天野輝芳氏 諏訪東京理科大教授)

 抜粋ポイント

①エネルギーの電源別単価については、原発はコスト面で安いとされている。一方で太陽光などはコスト面で課題があるとされている。具体的には、原発12円/kwに対して、太陽光45円と4倍近い。しかし、3月11日の大震災に伴う福島原発を考えれば、この事故の損害賠償はいくらになるのか?コストに事故の賠償責任まで含めれば、12円よりはるかに高くなる。逆に急速に進む技術進歩、同様に進めば、2030年には、太陽光の単価は7円になると専門機関が推定している。

②安曇野市の事例。安曇野市では、現在、高効率乾式メタン発酵システム実験事業を行っており、流れは、家庭ごみ・事業系ごみ・バイオマスなどの収集運搬システムを活用して、ストックヤード→乾式メタン発酵→バイオガス貯蔵タンク→ガスエンジン発電→電力活用というもの。

 安曇野市内の水力発電所は、9箇所。中でも宮城第一発電所は、1904年に運転開始し、当時製造されたドイツ製の発電機が100年経った現在も稼働している。

③茅野市の事例。茅野市では、クリーンエネルギー調査をした結果、今後の活用の考え方をまとめた。太陽光は、年間日照時間が全国平均1,900時間に対して、茅野市は2,200時間と高く、太陽光発電には適している。森林率は、全国平均65%に対して、茅野市は75%とバイオマスエネルギーについても、間伐材の搬出・加工・販売などの流通体系の構築、薪ストーブへの利用など適している。温泉施設が市内20箇所あり、温泉熱の有効利用も有効である。

 温泉熱利用は、北海道の洞爺湖温泉で実施されており、茅野市でも温泉排熱を利用したヒートポンプ設備の導入で、おおむね年間560トンのCo2削減が見込まれ、更に、灯油代も削減できる。現在、事業化に向けて検討中。

2.市民の意思あるお金で取り組む、自然エネルギーの普及促進(講師:原 亮弘氏 おひさま進歩エネルギー株式会社 代表取締役)

 抜粋ポイント

①飯田市は、豊富な日射量。40年くらい前から、太陽光パネルが農家の屋根上に設置される状況だった。しかし、これは、農家の生活改善が目的だった。汗まみれ、泥まみれ→お風呂。家族全員がきれいなお風呂に入れる。

②NPO南信州おひさま進歩を設立。2004年に寄付型で私立保育園に3kwの第一号のおひさま発電所を設置した。子どもの見える化の実感は、保護者に伝わった。連絡帳には、3歳児「夕方暗くなっても電気をつけようとせず、暗い部屋にいます。節電を心がけてるようです。」 4歳児「帰ってくるなり、電気は消さなくちゃいけないんだよ!お父さんにも、早く寝て、電気を消すに!と言っていました。」 お風呂の電気を消して、ペットボトルのろうそくで入った話しもありました。子どもと一緒に節約。家計簿をつけていれば、電気・ガス・水道の節約が一目瞭然。親は、そのことを黙っていられない!→地域に広がる。

③日本初の「おひさまファンド」の誕生。ファンドの仕組みは、出資の目的を明確にして、太陽光発電事業と省エネ事業に出資してもらい配当を2%に設定。

 地域の小さな電力会社をつくり、出資金で、飯田市内の保育園・公民館など公共施設に5~10kwの太陽光発電システムを37箇所設置、計208kw。公共施設に電気代を払ってもらい、余剰電力は中部電力に売電する。小規模でないと電力単価が安くなってしまうので、小規模分散型が重要。

 成功には、飯田市の前例にとらわれない行政の決断があった。20年という長期契約と22円/kwの単価契約。これにより、出資者も安心して出資が出来る。また、出資者も出資することにより、社会貢献できることや、地球温暖化防止に協力しているという意識が高まる。通常の出資では、もしかすると、自分の意に反したところに投資されているかも知れないが。ファンドは順調に推移し、配当も当初計画通りに配分された。

④おひさまゼロ円システム。これは、太陽光パネルの設置について、当初設置にかかる費用をゼロ円にするというもの。ただし、月々19,800円を9年間支払うことになります。しかし、節電をして、余剰電力を売電すれば、もっと安くなるということ。10年目以降は、譲渡されるので、売電収入は純粋な収入に。太陽光パネル設置に補助があっても約200万くらいはかかる。どうしても必要なものではないので、普及しない。自動車みたいに無くては困るものであれば200万でも買う。だから、ゼロ円システムが成功した。

感想

 長野という自然豊かな環境にあるからこそ、自然エネルギーを活用した、地産地消の推進やファンドといった発想も出来るのだと思いました。長野県の面積は、神奈川県の約5.6倍。単純に、これを神奈川県に置き換えることはできませんが、神奈川県にも、丹沢・大山・箱根といった山川の自然、温泉も数多くある。何か良いアイデアで自然エネルギーを活用できないものか。

 

 

 

 

 


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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