10月8日 10:30より、藤沢市議会9月定例会(10日目)が開催されました。内容の抜粋は次の通りです。
令和6年度決算にあたり、各会派から賛成・反対討論のあと採決となりました。なお、私が所属する「民主クラブ」からは、柳田議員が、賛成の立場で討論を行いました。内容は次の通りです(全文)。
「民主クラブ」令和6年度決算討論
みなさん、こんにちは。民主クラブ柳田あゆです。令和6年度藤沢市一般会計歳入歳出決算の認定について、ほか6特別会計決算の認定について、また、議案第38号令和6年度藤沢市下水道事業費特別会計剰余金の処分及び決算の認定について、民主クラブの賛成討論をおこないます。
【多文化共生・共生社会について】
いま藤沢には7,000人に及ぶ外国籍の市民や、それに匹敵する「外国につながりを持つ」市民が暮らしています。それらの方々は藤沢市の一員として工場や商店、学校や医療・介護などの分野で市民生活を支えてくれています。
もちろん、言葉や文化、生活習慣の違う人たちが集えば、食い違いや軋轢も生まれます。しかしそれを解消する方法は違いをことさらに強調することではなく、藤沢で暮らすための丁寧なガイダンスや支援であり、藤沢がこの間取り組んできたような相互理解のための取り組みです。「問題」というなら、むしろそれらの支援が十分ではないことではないのでしょうか。
戦後の冷戦期にあっても、藤沢市民は中国国歌の作曲者であるニエアルの死を悼み、その記念碑を守ることによって国や民族を超えた人と人のつながりを守ってきました。一昨年改定された『ふじさわ人権文化をはぐくむまちづくり指針』は基本目標に「お互いの人権を尊重し、多様性を認めあう、さまざまな人々がともに支えあい、ともに生きるまち『インクルーシブ藤沢』の実現をめざします。」と掲げました。
外国につながる人たちだけではありません。障害の有無、出自や民族的背景、性的指向や性自認など、さまざまな人たちがありのままに自分らしく生きられることが「インクルーシブ」の意味です。市民が互いに顔の見える関係をつくり、互いに理解を深め、誰もが安心できる地域を築くことこそ自治体の役割だということを、私たちは強調しておきたいと思います。
【職員の賃金水準と人材確保について】
市政運営を担う職員の賃金水準と人材確保については、密接な関係があります。現に民間企業では、人材確保のための競争が激化し、若手人材の離職防止などを背景として、初任給も大幅に引き上げられている状況です。自治体職員の賃金水準についても、優秀な人材の確保もそうですが、欠員を生まない必要な人員確保に向けて、自治体間競争が激化し始めています。
近隣自治体では、この間、藤沢市議会でも指摘されていました、持ち家に係る住居手当について、廃止の動きがある一方、廃止する代わりに、国の指定する地域手当を独自で大幅に引き上げました。このことは、国が指定する藤沢市の地域手当に追いつかないと人材確保が出来ないという危機感の表れだと思います。
本市も、選ばれる藤沢市に向けて、近隣自治体と同様、もっと危機感を持つべきです。2月議会の代表質問に対しては、引き続き、市として主体的な判断を行いながら、人材確保に努めていく。との考えを示しましたが、これまでも職員の賃金については、人事院勧告を尊重しつつ、関係団体との協議・交渉を経て、市として主体的な判断をしてきました。
議会からは手当について、国が廃止したから廃止すべきというように、国にならえと指摘されますが、それは中央集権的な考えで、民間企業の歴史的な賃上げの流れの今こそ、地域主権を意識し、今後の人材確保、自治体間競争を勝ち抜いていく必要があります。職員がモチベーション高く働ける賃金水準とは何か、藤沢市を選んでもらうための賃金水準とは何かを重視して、近隣自治体が実施したような主体的な判断をするよう強く求めます。
【開発と保全について】
豊かで暮らしやすい社会をつくるには、「開発と保全」という、「あい反するものの両立」という非常に難しい課題に私たちは取り組まなければなりません。例えば、街の活力を維持しつつ、いかにして「街なみの継承」を図るかが問われます。良好な景観は街の個性、市民の誇りであり、市長が掲げる「郷土愛」に直結しますが、現実には景観が維持されていない事例が見られます。「街なみの継承」へ、一段の取り組みが必要だと指摘いたします。
また、気候や生物多様性は人間の生活・生存そのものと切っても切れない関係です。そのために、カーボンニュートラルとネイチャーポジティブは「同時に実現すべきもの」との理解が広がってきています。ネイチャーポジティブ、とは、生物多様性が損なわれ続けているという流れを止めて、回復に反転させることです。その際、カーボンニュートラルとネイチャーポジティブの同時実現も目標となっています。カーボンニュートラルのために、生物多様性が損なわれてはならない、ということで、当然のことなのですが、メガソーラーや風力発電が環境破壊に繋がることもあり、生物多様性を考慮しないカーボンニュートラルは許容されない、というものです。
今後、この考え方にもとづき、都市マスタープランや環境基本計画をはじめとした既存計画が改定されるのだと思いますが、市内に残された貴重な生態系の保全とその先の回復のために、ぜひ職員体制を強化して頂きたいと要望します。
【SNS被害対策について】
デジタル機器の取り扱い方法を学ぶ機会や相談機能を設置するならば、SNSなどによる詐欺被害が深刻になっている状況を鑑み、あわせて安全対策を学ぶ機会をお願いします。
【人権教育について】
本市は、多様な主体と連携しながら、市民の人権意識の向上を図っています。一方で、なかなか根付きづらいのが人権ではないでしょうか。権利とは他者との関係性の中で成り立ちます。自分を大切にするからこそ他者を大切にできる。そのような「人権教育」にもっと取り組むべきだと考えます。社会全体で共有できるよう、工夫をしながら啓発していただけるよう要望します。
【おくやみ手続き支援窓口について】
おくやみ手続支援窓口は利便性が高い一方、年間対応は死亡届件数に比べ不足しており、今後の利用増に備え人的シフトによる体制強化が必要です。
【選挙の利便性向上について】
投票所に関して、合理的配慮の取り組みにより、誰もが投票しやすい環境づくりをすすめていました。更に近隣市のように商業施設など投票場所を拡げていただけるよう検討をお願いします。
【災害対策について】
災害対策は、初動対応の迅速さが生命を守る鍵となります。そのためには市民が瞬時に判断できる「わかりやすさ」が求められます。防災政策課と災害対策課の業務分担や事業名から読み取れる内容の分かりにくさが、市民にとって防災政策を理解しにくくしています。組織名や事業名は行政内部での整理にとどまらず、市民に対しても明確に説明され、政策の意図が伝わるようにすべきです。
個別避難計画の作成支援や自主防災組織との連携は前進していますが、件数拡大だけでなく実効性確保にはさらなる活性化と継続的フォローが必要です。市内防災士のスキルアップ勉強会は、自助・共助を強化する先進的取り組みとして注目されます。育成された防災士が防災訓練や講演に関与し始め、行政負担を軽減し市民への「わかりやすさ」を前進させています。今後もこの方向を推進するよう望みます。
住宅耐震化については、木造住宅耐震改修補助を2000年基準前の住宅に対象を広げたことで申請が加速しました。予算枠の拡充を含めた制度強化が必要です。橋りょうでは主要52橋のうち9橋が未耐震化であり、大庭大橋は長大橋(ちょうだいきょう)で設計解析や対策実施に時間を要するので早期着手を図るべきです。防火水槽も約2,200基の3割が未耐震であり、改修を優先する方向には賛成です。
【スズメバチ対策について】
スズメバチの巣撤去事業廃止は市民にとって唐突すぎ、市民負担が高額となる事例が報告されています。相談窓口設置や民間業者との協定など、市民が安心して迅速に対応できる仕組みを早急に整備すべきです。
【オスプレイ情報について】
オスプレイは、今年8月佐賀駐屯地の飛行訓練が行われ、全国的にますます広がっています。引き続き、基地に隣接する自治体とともに連携を強め、国や米軍に働きかけをするとともに、丁寧な情報提供をお願いします。
【養育費確保について】
養育費の取り決めをおこなったにもかかわらず、民事執行手続にまでには至らない、不払いになるケースがあります。このような受け取り困難なケースに関して、市が代わりに申請をおこなう丁寧なサポート体制を構築している市もあります。養育費確保に対してより一層の充実を求めます。
【保育行政について】
市の待機児童数および保留児童数は、近年増加傾向にあります。本年4月1日時点では、待機児童数が17人、保留児童数が584人と深刻な状況です。市は、令和8年4月までに221人分の受入れ枠増加を計画している一方で、本年4月1日現在、116施設中13施設が保育士不足により受入れ制限を行っており、その数は166人分に上っています。
この保育士不足が、せっかく増やした受入れ枠を十分に活用できない事態を招き、市民のニーズに応えられない状況が続くことを懸念いたします。また、新卒減少や潜在保育士確保が課題であり、柔軟な働き方導入や育成型の確保策を拡充する必要があります。
そこで、待機児童・保留児童の解消と、市民が安心できる保育環境の確保に向け、以下4点の要望をいたします。
1点目は、潜在保育士の積極的な掘り起こしと、職場復帰支援の強化策として、短時間勤務制度の推進やブランクのある保育士向けの再研修、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの充実を図り、潜在保育士の活用を加速させること。
2点目は、保育士の定着率向上に向けた働き方改革と処遇改善のための施策として、既存の助成制度に加え、保育士の業務負担軽減のためのICT化支援や事務職員・保育補助員のさらなる配置促進など、より現場の実情に即した労働環境の改善を支援すること。
3点目は、保育士不足による受入れ制限が著しい施設に対して、事情を丁寧に聞き取りながら、具体的な改善計画の策定や保育の質の確保と職員の定着に向けた支援をすること。
4点目は、待機児童・保留児童数に加え、保育士不足による施設ごとの受入れ制限の状況について、市民への定期的な情報開示を行い、保育行政の透明性をさらに高めること。
【地域子どもの家について】
令和6年度の利用者数は伸びている状況で、多世代が利用できる藤沢自慢の子どもたちの居場所です。遊具は修理をしてくれないとの声もあることから、十分な予算措置をしているとは思えません。大規模修繕から小規模修繕まで、長く使用できるよう子どもたちに寄り添う環境整備の計画をお願いします。
【こども家庭センターについて】
こども家庭センターが設置され、切れ目のない包括的な支援を実施しています。こどもが主体となり課題解決するためには、管理・指導型ではない、包摂性のある「関係をつなぎ直す」視点が必要ではないでしょうか。大人が勝手に議論しない「人権侵害」に陥らない、子どもの権利相談としての機能を求めます。さらに、誰もがアクセスしやすい「愛称」をつけて環境を整えることも意見として申し添えます。
【医療体制の充実について】
災害時医療救護体制については、災害協力病院・地域救護病院への人材確保や、医薬品、医療機器の事前配備に対する具体的な財政支援策について明確化することを求めます。
また、災害の多様化やパンデミックのリスクを踏まえ、これらの病院における医療機器の事前配備や人材確保策について、具体的な品目、数量、費用を改めて関係団体と共同で算定し、必要な財政支援策を確立することを要望いたします。
高齢者救急医療体制については、救急医療体制を維持するために創設した「病床確保対策補助金」の具体的な効果を早期に検証することと、物価高騰や人件費上昇に対応できるよう、補助金制度を恒常的かつ柔軟に見直す仕組みを確立し、重症患者を受け入れられる体制を維持することを要望いたします。
休日夜間急病診療所については、南北診療所の診療科目・診療時間の見直しと、新たな感染症に対応するための具体的な改修計画を速やかに策定し、これに必要な改修費用や運営費用について具体的な市の財政支援策を明確にすることを要望いたします。
在宅当番医制については、眼科在宅当番医補助金単価についても、外科と同様に高騰する運営コストを適切に反映した速やかな見直しを要望いたします。
【食品ロス対策について】
食品ロスについては減少傾向にあるものの依然数千トン規模で発生しており、規格外食品の活用や事業者連携を強化すべきです。廃食用油(ゆ)は収集量の半数が燃料に活用されていますが、さらに利活用拡大を図るべきです。
【ユースサポート・ユースワークふじさわについて】
ユースサポート・ユースワークふじさわについては、不登校から約2割近くが引きこもってしまう傾向があるそうです。不登校児童生徒の増加を鑑みると、残念ながら、この先も必要な機能になってしまい、若者だけの問題ではなくなる可能性が色濃くあります。また、サポートが必要な若者から、就労準備となるワークも必要となるでしょう。従って、これからは若者でも仕事にも限らない人たちが増えていることを考え、当事者の声をしっかりと聞きつつ、サポート体制を強めてくださるようお願いします。
【勤労者住宅資金等利子補助金について】
決算特別委員会の中で、教育資金利子補助金、いわゆる教育ローンの利子補助について質疑がされました。住宅ローンの利子補助と同様に、中央労働金庫に限った利子補助は廃止すべきというもので、市としては、ほかの金融機関にも同様の貸し付けがあること、また、国の給付型奨学金制度も出来たこともあり、住宅ローンの利子補助廃止と同じスキームで廃止していきたいとのことでした。本当にそれでよいのでしょうか。おそらく廃止を求めた委員も中央労働金庫に限った補助はおかしいと指摘したのであり、子育て世帯への経済的支援を止めるよう求めたのではないと思います。
国の給付型奨学金を受けるのには条件があり、全ての子どもが受けられわけではありません。だから金融機関の教育ローンを利用するわけです。子育て世帯への経済的支援として、また、子どもが進学を諦めないで、夢と希望が持てるようにと、本市では国に先駆けて給付型奨学金制度を導入したのではないでしょうか。そんな藤沢市なら、金融機関が限定されているから廃止ではなく、同様の教育ローンを行なっている金融機関に制度を拡充する方向性を出すべきです。
経済部の答弁だったので、勤労者視点になるのは仕方ないと思いますが、少なくとも子ども青少年部と連携して、藤沢市としてどう支援していくか、改めて検討するよう求めます。
【技能の継承について】
近年多くの中小企業で技能者の後継者不足が深刻な問題となっており、地域経済を支えるものづくり産業においても、技能の継承については大きな課題となっております。その中で子どもたちを対象とした、ものづくり体験教室などを実施している企業と積極的に連携し、将来を担う子どもたちに、ものづくりの魅力や大切さを身近に感じ、興味、関心を持ってもらえるよう技能継承につなげ、将来の職業選択のきっかけとなるように引き続き取り組んで頂きたいと思います。
【農業基盤の強化と災害対策について】
湘南藤沢地方卸売市場関連棟の老朽化が深刻です。近隣のやすらぎ荘と一体的に官民共創で再整備すべきです。さらに、城・稲荷地区でライスセンターを新設して農業基盤を強化し、市場周辺は「防災道の駅」的施設を整備し、一帯を平時は農業・商業・観光を結びつけた地域拠点、災害時は物資拠点とすることを提案します。
【誘客宣伝について】
「エノシマトレジャー」などのイベントが経済効果を生んでいます。今後は自然や景観に加え、2年後に来日150年を迎えるエドワード・モースゆかりの史跡などを観光ルートに組み込み、経済効果と文化的価値を両立させる施策を進めてください。
【新産業の森について】
新産業の森地区における産業拠点の整備は、西北部地域の活性化や将来にわたる税収の安定的な確保につながるなど、未来を見据えた投資として捉えております。「新産業の森 西部地区」については、いまある緑地などの周辺環境とも調和を図りつつ、都市基盤の整備により、住環境の向上や安全で安心な地区の形成にもつながる「新たな産業拠点」の整備に向けた取組を要望いたします。
【空家対策について】
空家対策関係費については、法改正に基づく「管理不全空家等」の認定も始まっており、相談体制や利活用支援を強化すべきです。
【市営住宅の保証人について】
市営住宅における保証人の廃止については、近年、単身世帯が増加し、2040年には全世帯の約4割を占めることが予測されています。多様な生き方・働き方がある中で、生涯未婚率の上昇も見込まれており、特に高齢期における孤立や生活支援の課題が深刻化することが懸念されています。厚生労働省の「地域共生社会の在り方検討会議」では、身寄りのない高齢者等への対応も含めた中間とりまとめが行われ、法改正をも視野に公的支援体制に向けた検討がなされております。入居支援、見守り、生活支援、権利擁護、財産管理、終活支援、死後対応、残置物処分など、福祉分野を超えた多角的な支援が求められていることが指摘されています。
このような国の議論を踏まえると、例えば、住まいの課題についても、保証人がいないと住まいを借りることができない現状は、早急に見直すべきです。誰もが安心して住み暮らし続けられる社会の実現に向けて、市営住宅における保証人制度の廃止を強く要望いたします。また、古里住宅の再整備の際には最大限、現住民の要望を取り入れるよう努力してください。
【消防救急課題について】
救急分野では、熱中症搬送件数が増加し、救急出動件数も高止まりしています。軽症抑制と重症時の迅速要請のため、「♯7119」などの周知と予防救急の普及を進めるとともに、AIによる需要予測や救急隊増隊の検討を続けてください。
【過大規模校対策について】
藤沢は「少子化」どころか神奈川県下でも有数の過大規模校を抱えた地域です。過大規模校の解消に向けて地域の皆さんとの話し合いを進めるとともに、状況によっては学校の新設や、期限を定めた分校の設置も選択肢から排除せず、抜本的な取り組みを進めてください。
白浜養護学校の施設の不足も深刻です。現在の小学部の児童がいずれ中学部、高等部と進級していくことを考えれば、早晩(そうばん)教室が足りなくなることは明らかです。特別支援学級の充実とあわせ、早期の対策を要望します。しかし、白浜養護や特別支援学級の増設だけが解決の道なのでしょうか。特別支援教育の現場からは、「本来、一定の合理的配慮があれば、普通学級に通うことも十分可能と思われる児童生徒が養護学校や特別支援学級に就学しているケースもある」との声も聞こえてきます。普通学級で「共に学び・共に育つ」インクルーシブ教育の推進も、ぜひ積極的に進めてください。
【学校の安全対策について】
児童8人が刺殺され、児童および教職員15人が重軽傷を負わせられた池田小学校事件から四半世紀が経ちました。しかし、あのような事件には至らないまでも、学校への侵入事件は今でも後を断ちません。池田小学校事件を「過去の問題」とするのではなく、引き続き緊張感をもって学校安全に取り組んでください。
各学校に防犯カメラが設置されると共に「防犯カメラ作動中」という表示が掲出されるようになったことは、一定の抑止効果があったと思いますが、校舎の玄関などの施錠の問題にはセキュリティホールがあるのではないかと危惧しています。現状では、来校者がインターホンで職員室などに来意を伝えた際、職員が玄関まで出てきてカギを開けるという対応になっています。しかしその煩雑さや、そもそもの教職員の人手不足から、カギの施錠がおろそかになったりするケースも出ていないでしょうか。職員室からカギの施錠・解錠を遠隔操作できるようなシステムの検討を要望します。
【いじめ課題について】
「Stopいじめ!中学生のつどい」が例年開催されてきたことは、とても意味のあることだと思います。生徒の皆さんが「どうすればいじめがなくなるか」「いじめに出会ったときにはどうすれば良いのか」について、真剣に考え、議論している姿に触れ、非常に貴重なことだと感じています。ただ、各学校の取り組みに差があることも感じます。特に、生徒が必ずしも正解のない「葛藤教材」をもとにひとり1人悩み、考えている学校もあれば、いまだに「いじめをなくすためのとりくみが『あいさつ運動』」というような学校もありました。「あいさつ」自体は大切ですが、それだけでいじめの解決につながることなどあり得ません。
いじめに出会ったときにどのように対応すれば良いのか、教員の感性と力量を高めるための研修の充実を要望します。なお、「いじめ防止対策推進法」が制定された際の論議でも確認されたように、いじめの「解決」とはけっして処罰や処分などの管理的手法で実現できるものではありません。必要なのは子どもたちの声に耳を傾け、「関係をつなぎ直す」ことだということを強調しておきます。
子どもたちの声に耳を傾けようとせず、一方的で威圧的な「指導」をするような前時代的なことはあってはなりません。生徒指導提要にも「子どもの権利条約」が位置づけられたことをふまえ、ぜひ旧来型の一方的で威圧的な指導ではなく、子どもたちの声にならないSOSをキャッチできるような生徒支援こそが必要です。改定された生徒指導提要の十分な周知をお願いします。
【体育(スポーツ)のあり方について】
いま、小中学生の3割が「体育が嫌い」と答えるなど、子どもたちの間で「体育嫌い」が増えていることが問題になっています。その原因は様々ありますが、勝利至上主義や前時代的な指導方法を見直さなければ、体育離れはますます進んで行くと思います。バレーボールの女子日本代表選手だった益子直美さんが、藤沢でも9回にわたって「監督が怒ってはいけない小学生バレー大会」を開催してくださったことは、「誰もがスポーツに親しめる」藤沢を作るために非常に重要なことだと思います。益子さんの訴えていらっしゃることを、ぜひ藤沢で幅広く共有してくださるようお願いします。
障害者スポーツが身体機能の優劣を競うだけのものであれば、重度の障害者にとってスポーツは永遠に無縁のものに終わります。もちろんスポーツですから、「競い」ということを全否定する必要はないと思いますが、障害者スポーツを発展させるためには物理的な合理的配慮だけでなく、健常者のスポーツとは異なる理念や価値観を持つことが必要ではないでしょうか。「勝敗ではなく、参加することに意味がある」というスペシャルオリンピックスの理念など参考に、障害者スポーツのあり方について、障害当事者や家族会などの意見をふまえ、検討を進めてください。
【給付型奨学金制度の充実について】
藤沢市の奨学金給付事業のうち児童養護施設の退所者などを対象とした奨学金制度は、家族の支援が期待できない子どもたちに「頑張れば大学にも進学できるのだ」という「未来への希望」を与えたものとして、評価しています。ただ彼ら・彼女らの直面する「困難」は金銭面だけではありません。まだ20歳にもならない若者がたった1人で社会に巣立っていかなければならないわけで、途中で挫折して中退してしまうケースも少なくありません。
藤沢市がそのような実態をふまえ、奨学金の給付だけではなく、定期的に面接するなどのアフターフォローをして来られたことは非常に貴重なことだと思います。ぜひ、今後とも「社会的養護」という観点の重要性を踏まえ、支援に取り組まれるよう要望します。
【子どもの権利相談機関について】
スクールカウンセラーの資格要件、面談対応に関して、職員の努力により実態を把握することができたことを評価します。発達段階によって、面談対応の割合が、中学生は小学生の3倍ほどでした。年齢が大きくなるほど、第三者の相談者が臨まれます。また、福祉面での青少年部と連携を強め、横串をさした相談機能の充実が必要です。さらに、子どもの人権条約を理念だけで終わらせない、実効性のある行動部隊として、子どもの権利相談機関を要望します。
【学校配当予算について】
教員不足は、大学の教育学部志願者数の状況をみれば、厳しさは増していき、明るい見通しはありません。さらに、物価高騰により備品や消耗品などの経費は増えています。先を見据えて、いまからできることを検討すべきです。先生の現場の負荷を軽減する、心身の余裕が最も大切であり、児童生徒にも影響を与えます。よって、現場の負担を軽減できるよう、ゆとりのある学校配分をお願いします。
【特別支援教育の充実について】
本市における特別支援教育への需要は、近年急速に高まっています。この需要増に対応するため、教育委員会は介助員の方々による支援を「不可欠なもの」と認識しています 。しかし、介助員の登録延べ人数は令和2年の509人から令和6年の523人へと微増にとどまっており、需要増に対応できる状態になっていません。
また、介助員の支援が不可欠であるにもかかわらず、その処遇は「1時間あたり900円の謝礼」であり、交通費の支給も無いという状況です。子どもの教育的ニーズが多様化する中で、特別支援教育を支える介助員の質と量を確保し続けるためには、単なる「検討」ではなく、具体的な処遇改善を伴う制度の抜本的な見直しが喫緊の課題です。そこで、特別支援教育の質を確保し、介助員制度を持続可能なものとするため、以下の施策を要望いたします。
1点目は、介助員の方々の責務、そして社会情勢を鑑み、謝礼を大幅に引き上げるとともに、交通費を支給すること。
2点目は、子どもの教育的ニーズの多様化に対応するため、研修制度を充実させることで介助員の専門性の向上を図ること。
3点目は、特別支援学級について、未設置の学校についても、地域的なバランスや今後予測される児童生徒の増加を考慮し、早期の設置を進めること。
【八ヶ岳野外体験教室について】
ここ3年、修繕費が高止まりしている中、令和2年度に策定した修繕計画から5年が経過し、今年度、計画を更新するとのことです。場当たり的な修繕ではなく、計画的に進めることで、トータルコストの削減と予算の平準化が期待されます。八ヶ岳野外体験教室は、子どもたちや市民にとって大切な施設です。長寿命化を図るための修繕計画の更新をお願いするとともに、今後はオフシーズンの活用や、市外の学校・家族も利用できるよう、対象や料金の検討を要望いたします。
【図書館の充実について】
図書館の「りんごの棚」事業は、大活字本や点字図書を集め誰もが読書機会を得られる環境を整えたものであり、読書バリアフリーの象徴的取り組みとして今後も拡充を求めます。
【無縁墳墓対策について】
多死社会、つながりが弱まる社会を背景に、引き取り手のないご遺体は年間163件に達し、無縁墳墓は1件あたり約50万円を要し年間数件しか対応できない状況です。計画的対策と市民への周知が求められます。
【介護認定審査期間の短縮について】
認定申請から結果がでるまでに、原則30日を大幅に超過している現状が続いています。期間を短縮するために様々な取り組みをしていましたが、更なる対応が必要です。事務作業は、課題を洗い出し、効率化により改善をすすめてから、人員の増加を図っていただくようお願いします。
【下水道の災害対策について】
下水道は市民生活を支える基盤であると同時に、災害関連死防止をはじめ災害対策の要でもあります。緊急度Ⅰ路線は速やかに改修し、令和9年度までに緊急輸送道路内のマンホールの浮上対策も完了してください。さらに、線状降水帯による浸水被害に備え、雨水貯留施設や浸透機能の強化を早急に進めるとともに、物価・人件費高騰を踏まえた中期経営計画を見直し、独立採算制のもと安定的経営を確保することが不可欠です。
【市民病院の充実について】
市民病院について、人件費や物価高騰の影響を受け、経営は厳しさを増しています。給食食材費は一定の金額内で納めようと苦労を察しますが、栄養価だけでは、市民の満足度や評判に悪影響を及ぼします。質と量の確保に留意していただくようお願いします。
市民病院は市内唯一の災害拠点病院として機器更新やDMAT養成を進めていますが、次世代人材育成と老朽施設再整備が課題です。西館再整備事業など「災害・感染症に強い病院」に向けた課題解消に一層努めてください。
※採決
認定第1号 令和6年度藤沢市一般会計歳入歳出決算の認定について
認定第2号 令和6年度藤沢市北部第二(三地区)土地区画整理事業費特別会計歳入歳出決算の認定について
認定第4号 令和6年度藤沢市国民健康保険事業費特別会計歳入歳出決算の認定について
認定第5号 令和6年度藤沢市介護保険事業費特別会計歳入歳出決算の認定について
認定第6号 令和6年度藤沢市後期高齢者医療事業費特別会計歳入歳出決算の認定について
※上記5認定は、共産党が反対しましたが、賛成多数で認定されました。
認定第3号 令和6年度藤沢市墓園事業費特別会計歳入歳出決算の認定について
認定第7号 令和6年度藤沢市民病院事業会計決算の認定について
※上記2認定は、全会一致で認定すべきものと決定しました。
議案第38号 令和6年度藤沢市下水道事業費特別会計剰余金の処分及び決算の認定について
※この議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決及び認定されました。
【追加議案】
議会議案第2号 藤沢市議会会議規則の一部改正について
地方自治法の一部改正の施行に伴う標準市議会会議規則の一部改正を踏まえて、議会に係る手続きについて、押印の廃止、オンライン化等に対応するため、所要の改正をするものです。
※この議案は、全会一致で可決されました。
※以上をもって、藤沢市議会9月定例会が閉会となりました。