2022.9.21 本会議(6日目)~一般質問

 9月21日 10:00から、藤沢市議会9月定例会(6日目)が開催され、引き続き一般質問が行われました。

※一般質問は、質問者と市側で答弁調整をしているため、質問・答弁のメモをとるのが難しいことから、これまでは、質問の抜粋のみを掲載していました。しかし、議長・副議長は議事運営をする立場なので、質問の要旨、答弁の原稿が手元にあることから、そこから抜粋・要約して掲載します。関心のある質疑については、インターネット中継録画、議事録等をご覧ください。

通告14番 土屋議員

1. 人と環境に優しいまちづくりについて

(1)高齢者の移動支援について

 高齢者の移動支援の必要性について、市の認識は?⇒高齢者の移動支援は、高齢者が交流できる場所や機会を創り出すことで外出するきっかけを促すもので、日々の健康を維持し、介護予防やフレイル予防につなげていく点から、その必要性は高いと認識している。こうした中、本市としては、今後の外出支援策として、交通手段等の移動支援に特化することなく、自宅近くに活動の場を設けるなど、外出の動機づけを行うことが特に重要であると捉え、外出支援の全般について、施策を充実させたいと考えている。

 現在、本市で行っている高齢者の移動支援の取り組み状況は?⇒3か所の老人福祉センターそれぞれから、交通の不便な地域を中心に無料巡回送迎バス「湘南すまいるバス」を運行している。利便性の向上のため、運行ルートの拡充や乗降場所の変更など、可能な限り利用者のご意見をうかがいながら設定しており、今後、さらに利用を促進するための検討を進めていく。

 今後の取組は?⇒本年11月に藤沢市高齢者保健福祉計画の次期計画策定に向けたアンケート調査を実施する予定。この中の「外出しやすい環境」などについての項目の調査結果を受け、コロナ禍における外出の状況やニーズなどを分析し、より効果的な外出支援について検討を進めていく。

 運転に不安を感じるようになった高齢者が、運転免許証を「自主返納」しやすい環境づくりについて、市の考えは?⇒令和3年中の全国の交通死亡事故発生件数は、統計によると2,583件で、75歳以上の高齢ドライバーが占める割合が、約13.4%という状況。この状況に鑑みて、高齢者の運転免許証の自主返納は大きな課題の一つと捉えているす。自主返納しやすい環境づくりについては、様々な視点から検討する必要があるので、本市においては、11月に実施予定のアンケート調査で、高齢者の行動や考え方などの傾向を把握し、必要な環境づくりについて検討していく。

 高齢者の移動支援を充実させることにより、高齢者の社会参加や健康増進のほか、経済的効果やCo2の削減、税収など様々な効果に繋がっていくと考えるが、市の見解は?⇒繰り返しになりるが、高齢者の移動支援については、健康の維持増進を主な目的とする外出支援を進めていくことが重要であると考えており、藤沢型地域包括ケアシステムの中でも、多様な主体と連携し、外出支援について検討を進めているところ。引き続き、地域の実情に応じた効果的な外出支援のあり方について、当事者のご意見をうかがいながら、関係部局や関係機関と協議していきたい。

 クロスセクター効果についても試算すべきだが?⇒クロスセクター効果とは、地域公共交通が廃止となった場合に必要となる、医療・商業・教育などの分野ごとに代替の施策を実施した際の費用を算出し、地域公共交通の運行に対して行政が負担している費用とを比較することにより把握できる多面的な効果。例えば、コミュニティバス路線が廃止となった場合、通学や通院、買物などで利用している人たちに対して、スクールバスや病院送迎バス、買物バスなど、代替の施策を実施する際にかかる費用を算出し、コミュニティバスの運行に対して行政が負担している費用と比較するもの。有効性の高い手法ではあるが、財政支出を比較し、代替の費用が大きいときにクロスセクター効果が認められることから、本市の交通ネットワークにおける現状に鑑みて、クロスセクター効果の算出はなじまないと考えている。

 一部門の取り組みというより全庁的に取り組むべき課題だが?⇒クロスセクター効果については、本市の現状に当てはめて考えることは難しいものと捉えているが、高齢者の移動支援は、様々な分野と関連があり、密接な連携が必要であると認識しているので、全庁的な課題として協議を進めていきたい。

 高齢者の移動支援について、経済的支援と交通網のさらなる整備充実を行うべきだが?⇒高齢者の移動支援については、外出支援策の一つとして、ニーズを把握するとともに、将来を見据えながら健康維持や介護予防、フレイル予防、生きがいづくりの観点から、関係部局や関係機関、さらには地域団体等とも連携し、引き続き検討していく。

 乗合タクシーなどの事業について、クロスセクター効果を算出し、分野別代替費用の兼ね合いの中で、市の財政支援をさらに増やし、利用料・市民負担を抑えるべきではないか?⇒クロスセクター効果については、地域公共交通の運行に対して行政が負担している費用と、それを廃止した時の追加的な費用のコスト比較を行い、行政の負担が単なる赤字補填ではなく、地域を支える効果的な支出であると考える手法。のりあい善行などの乗合タクシーは、地域組織が運行主体となり、交通事業者に運行を委託している。市においては、「藤沢市地域提案型交通システム導入支援補助金交付要綱」に基づき、地域特性に応じた持続可能な交通サービスの確保に係る地域住民の取組に対し、毎年度、車両リース費に相当する額と運営費として赤字分の2分の1に相当する額を支援している。従って、市は運行を継続するために、運行主体である地域組織に支援しており、クロスセクター効果で言う地域を支える効果的な支出であると考えている。
 また、利用料金については、運営費の収支や乗車需要などを考慮して設定している。今後についても、市としては、法的手続きや補助要綱に基づいた支援などを行い、安定して継続的な運行が行われるよう取り組んでいく。

通告15番 桜井議員

1. 健康増進施策について

(1)各施策の取り組みと今後について

 市民が運動習慣を身につけることについて、今までの取組状況は?⇒本市では、健康増進計画に基づく、7つの分野ごとに健康施策を進めているが、その一つである「身体活動・運動」の分野においては、「日常生活の中で、意識して身体を動かす市民を増やす」ことを施策の目標としている。そして、「ひとり一人の身体活動・運動量を増やすための普及啓発」「日常生活の中で身体を動かしやすい環境整備」「身近な地域で身体活動・運動に取り組みやすいしくみづくり」の3つを施策の方向性に位置づけ、関係機関との連携において推進してきた。
 まず、一つ目の「普及啓発」といしては、いつもの生活に10分多く身体を動かす「プラス・テン」の考え方を推奨し、プラス・テン体操やラジオ体操の普及に取り組んできた。令和2年度からは、「ふじさわ歩くプロジェクト」を立ち上げ、令和3年度の「トクトク歩数チャレンジ」における実績では、2,136人、18事業所の参加があった。また、二つ目の「身体を動かしやすい環境整備」としては、歩きながら、おすすめスポットの写真をインスタグラムに投稿していただく取組や、若い世代などに対しては、親子で楽しみながら体を動かせる体力づくり教室やクイズ形式のウォークラリーなどを開催してきた。三つ目の「身体活動・運動に取り組みやすいしくみづくり」としては、現在、79団体の「からだ動かし隊」が活動を行っているが、本市では、その活動を支援するとともに、広く市民に参加を呼びかけている。
 一方、コロナ時代だからこそ好きな時間に、人目を気にせずこっそりトレーニングができる動画「こそトレ」のWEBを活用した啓発では、106人の方に参加いただき、一人でも、みんなでも取り組める、それぞれのニーズに応じた施策を推進しているところ。

 身体を動かすことの一つとして、ラジオ体操の普及について、今までの取組状況は?⇒ラジオ体操の普及啓発については、まず、ラジオ体操を正しく効果的に実践していただくため、市民センターや市内運動施設などにおいて、平成25年度から、ラジオ体操講習会を開催し、これまでに、のべ28回、1,498人の方々に参加いただいている。このほか、地域で身体を動かす団体への支援や、平成28年度からは、指導者講習会なども実施している。
 また、ラジオ体操は、身近な場で、だれでも気軽に取り組むことができるため、地域においては、自治会町内会や老人クラブ単位で、あるいは地域包括支援センターなどが、地域の高齢者に向けて、介護予防や見守りの一環として実践いただいている。このほか、先日も、NHKラジオで放送される、「巡回ラジオ体操・みんなの体操会」が、本市においても開催され、303人の子どもから高齢者まで幅広い世代に参加いただいた。

 ラジオ体操と同様、歩くことは誰でも気軽にできる効果的な健康づくりであり、市では、歩くことで健康の維持・増進を図ること推奨している。今年度の主な取組と、今後の取組は?⇒歩くことは、健康に効果的であると同時に、何か新たに始めることが面倒と考えている方や、時間がない方にと
っても、気軽に取り組める健康づくりの手段である。そのため、本市では、「ふじさわ歩くプロジェクト」を立ち上げ、普段意識して運動をしていない方にも、楽しみながら健康づくりを行う企画を実施してきた。今年度についても、10月から11月にかけて、歩数に応じて抽選により景品が当たるキャンペーン「トクトク歩数チャレンジ」を実施し、個人での参加のほか、事業所単位や仲間同士など、グループで参加し、励ましあい、楽しみながら健康づくりに役立てていただけることを狙いとしている。今後も、日頃、身体を動かすことを意識していない方を対象とし、身体活動の促進を図るなど、健康に関心のある方とない方との健康格差の解消に努めていく。

 健康寿命の延伸のためには、身体活動だけでなく、生活習慣病対策も重要と考える。生活習慣病といっても、高血圧、糖尿病など様々ある。今まで特に力を入れてきた取組は何か?⇒特に力を入れてきた取組は、糖尿病についての取組。糖尿病は、生活習慣病の中でも、自覚症状のないまま発症し、進行すること、さらに重症化することにより腎症や網膜症・神経障害などの合併症を引き起こし、患者本人のQOL(生活の質)の著しい低下を招くだけでなく、医療経済的な負担が社会全体にかかることから、特に力を入れて取り組んでいる。
 具体的な取組としては、糖尿病予防のための生活習慣の改善に向けた教室や個別相談、こくほ健康診査及び後期高齢者等健康診査における糖尿病性腎症ハイリスク者への保健指導や未治療者への受診勧奨など、それぞれの病態に応じた、きめ細やかな保健事業を実施している。併せて、広く多くの方へ糖尿病を知っていただくために、11月の世界糖尿病デイにちなんだ江の島シーキャンドルのブルーのライトアップや、広報ふじさわやメールマガジン、WEBによる講演会の開催など様々な媒体を活用した普及啓発を行っている。
 また、藤沢市健康づくり推進会議の専門部会として、医師会、歯科医師会、薬剤師会などの関係機関で構成する糖尿病対策部会を設置し、本市の糖尿病の現状や課題、各機関の取組などを共有するとともに、糖尿病患者の疾病コントロールに向けた糖尿病連携手帳の活用について検討を行うなど、関係機関との連携を図りながら糖尿病対策の総合的な推進に取り組んでいる。

 糖尿病の検査の一つであるヘモグロビンA1cについて、医師会からも要望がでていると思うが、糖尿病の早期発見・早期治療の観点から、こくほ健康診査や後期高齢者等健康診査において、受診者全員に実施すべきと考えるが?⇒糖尿病の検査項目であるヘモグロビンA1cは、過去1、2か月間の平均血糖値を反映するもので、糖尿病の早期発見および血糖コントロールの指標となっている。本市としては、糖尿病対策をさらに推進するにあたり、実施に向け、前向きに検討していく。

 糖尿病やヘモグロビンA1cなどは、当事者にならないとなかなか理解できない。健康な人にも糖尿病やその検査値であるヘモグロビンA1cなどについて理解を深めてもらうためには、動画を作成するなど、もっとわかりやすい啓発を行うべきだが?⇒現在、糖尿病やその検査値であるヘモグロビンA1c
を説明したリーフレットを糖尿病対策部会で作成し、医療機関だけでなく、薬局などでも配布している。今後は、WEBの活用なども含め、わかりやすい啓発に努めていく。

 生活習慣病は、若い世代から予防を図る必要がある。そのためには、その世代に興味を持ってもらえるよう、健診の重要性などについても、もっと啓発をしていく必要があると考える。そのための取り組みとして、今まで健康経営の推進を要望し続けてきた。健康経営を含め、若年層が若いうちから生活習慣病予防や恐ろしさを理解し、実効性のある予防行動に繋げることについて、現在の取組状況と、今後の啓発の考えは?⇒本市においては、40歳代から糖尿病の発症が増え、40歳~64歳の男性の約4割が肥満という状況。このような傾向からも、30歳代などの若い世代から、健診の重要性や、身体活動量を増やすこと、正しい食生活を送ることなどの生活習慣病の予防と改善に向けて、普及啓発に力を入れていきたいと考えている。
 令和4年度からの重点的な健康づくりの取組として、「働き世代へのアプローチ」を柱の一つとしている。質問の中に「健康経営」とありましたが、企業が定期的な健診を行うことはもとより、ストレスチェックや保健指導等、健康課題の把握を行う環境を整えることは、企業の業績向上や企業価値向上、優秀な人材確保にもつながり、経済産業省が推進している重要な施策の一つであると捉えている。今後は経済部と連携を強化し、健康づくりに関する講師派遣や情報提供など積極的に進め、健康経営拡充へ向け支援をしていく。

2. スポーツ行政について

(1)各施策の取り組みと今後について

 昨年の東京2020大会では、多くの日本人選手が活躍され、スポーツに対する関心が高まった。中でも新種目のサーフィンにおいて藤沢市在住の都筑有夢路選手が活躍され、大いに盛り上がった。これまでも、本市から日本や世界で活躍される選手が多く出てきているが、トップアスリートを育成していくには、選手を支え、育成する基盤が重要。これからも、本市から継続してトップアスリートを輩出していくための取り組みについて、市の見解は?⇒従来から国や都道府県単位で、将来有望な選手を発掘し、育成するプログラムを実施している。トップアスリートを輩出していくためには、幼少期からスポーツに親しむ環境を整えることが重要と考える。
 本市では、各種目協会の活動をはじめ、スポーツ少年団と協力し、子どもたちが様々なスポーツに触れる機会の提供に努めている。また、スポーツに触れる機会の充実に加え、ジュニアアスリートを支える指導者や保護者を対象とした「ジュニアのためのスポーツ栄養講座」を継続的に開催するなど、側面的に支援をしていく取組も進めているところ。

 高齢者が気軽に参加できる種目としてゲートボールやグランドゴルフ、ターゲットバードゴルフなどが人気と思うが、市内で活動場所が少ない。高齢化社会に向けたスポーツ環境整備について、市の見解は?⇒本市としては、スポーツ都市宣言の理念の一つに「健康寿命日本一の推進」を掲げており、高齢者が気軽にスポーツ・レクリエーション活動を楽しめる機会の創出を図るため、市有地や民間企業が保有する施設等をスポーツ活動の場として利用できるよう、調整を図っているところ。今後も引き続き、身近な場所でスポーツができる環境づくりに努めていく。

 パラスポーツの普及に向けた取り組みやパラアスリートの育成についても取り組むべきであると思うが、取組状況と今後の展開は?⇒パラスポーツの普及については、藤沢市障がい者スポーツ連絡協議会や藤沢市みらい創造財団と連携を図りながら、パラスポーツフェスタやボッチャ大会、車いすバスケットボール体験会を開催し、より多くの市民にその魅力を知っていただくよう取組を進めている。
 本市としても、今後も継続的にパラスポーツに触れる機会を提供するとともに、環境面の充実を図るなどの取組を進めることで、パラアスリートの育成につながるよう努めていく。

 スポーツ都市宣言の理念に基づく新規事業として、藤沢駅前で「FUJISAWA SPORTS PARK」が実施されている。参加された方の意見や当日の様子を見ても、市と民間が連携してとても良い取り組みになっていると思う。更なる事業の充実化を見据えて、市としてこの事業をどう評価しているのか?⇒現在本市では、スポーツ都市宣言の理念に基づき策定した「スポーツ推進計画2029」により、各種スポーツ施策を推進しているところ。藤沢駅周辺地区エリアマネジメントと連携し、駅前等のスペースを活用した「FUJISAWA SPORTS PARK」の取組は、従来のスポーツ施設を使用した事業とは異なり、多くの市民が気軽に参加できるスポーツイベントとなっており、スポーツ都市宣言の市民周知とまちのにぎわい創出に寄与していると捉えている。

 昨年10月にスポーツ都市宣言を行い、スポーツ都市宣言の4つの理念である「健康寿命日本一の推進」「スポーツ活動の充実」「共生社会の推進」「まちのにぎわい創出」を実現させる取組を着実に進めていると思う。今後、スポーツ都市宣言にふさわしい取組をさらに充実してほしいと思っているが、今後の方針は?⇒スポーツ都市宣言の理念を浸透させるために、今後も様々な取組を進めていくことが重要。多様化する環境の変化への対応や、時代に即した施設の在り方を検討するとともに、インクルーシブな視点で誰もが利用しやすい施設への改修など、市民の日常的なスポーツ活動を支える環境の充実に努めていく。
 また、「する」「見る」「支える」スポーツを推進するうえで、従来のスポーツ施設を中心とした事業だけでなく、普段スポーツに接する機会がない方々が気軽にスポーツに親しんでもらうことや、プロスポーツチームへの支援などの取組、パラスポーツに触れる機会の充実などを実施していく。
いずれにしても、藤沢のまちが、スポーツを楽しむ市民であふれ、生き生きとした、にぎわい豊かなまちになるよう、ハード・ソフト両面での取組を進め、スポーツ都市宣言の理念である「健康で豊かなスポーツライフの実現」を目指していく。

 下土棚遊水地の進捗状況とスポーツ利用の考えは?⇒下土棚遊水地は、湘南台高校北側から引地川上流に向けて、A、B、C、Dの池で構成されており、現在、神奈川県により整備が進められている。この4つの池の利用方針については、平成26年3月に地域の意見等に基づき策定された「下土棚遊水地上部利用計画(案)」に位置づけられており、A池を自由利用のできる広場、B池を親水広場やビオトープ、C池を多目的スポーツ広場、D池を散歩広場、活動広場として整備する予定。
 進捗状況は、今年度については、A池の園路や広場などの整備を、残りの3つの池は、遊水地内部の残土搬出や管理通路の整備を行っていると県から聞いている。なお、A池の施設整備については、早期の完成を目指しているとのこと。スポーツ利用についは、C池が多目的スポーツ広場として位置づけられており、地域の皆様の意見を色々と聞いた中で、ひとつの競技に限定することなく、野球やサッカーのほか、ゲートボールやターゲットバードゴルフなど、様々な競技ができる広場として整備していきたいと考えている。

3. 長後地区について

(1)各事業の進捗と今後について

 高倉下長後線の事業実施に向け関係機関との協議や都市計画案の縦覧等、都市計画変更の手続きを進めたとのことだ、進捗状況と今後の見通しは?⇒高倉下長後線の進捗状況は、昨年度までに、都市計画変更の手続きに必要となる、道路線形の変更等に関する交通管理者協議や、地権者への個別説明、素案の閲覧、公告・法定縦覧などが完了した。今年度は、5月27日に市の都市計画審議会、7月29日に神奈川県の都市計画審議会を経て、8月23日付
けで告示を行い、高倉下長後線の都市計画変更の手続きは完了し。今後は、事業計画書を作成するとともに特定財源の確保に努め、令和5年度からの事業着手に向け、取り組んでいきたいと考えています。

 歩行者等の安全性向上を目的とした、長後725号線の歩道整備に向け、長後市民センター東西の一部の区間について、用地測量等を実施したとのことだが、整備の状況と今後の見通しは?⇒長後725号線は、長後駅西口入口交差点から長後市民センター前交差点を結ぶ全長約380メートルの、一部の区間を除いて歩道のない道路。この道路の歩行者の安全性向上を図るため、道路の北側に幅員約2.5メートルの歩道を整備する事業として、令和元年度から用地取得に着手し、昨年度までに既存の歩道部を含めて約130メートルの整備が完了している。
 今後の見通しは、今年度は、昨年度に用地取得した約35メートルの区間について歩道整備工事を予定しており、整備率は約54%となる見込み。合わせて、6件の建物等の支障物件調査を行い、来年度以降、その調査結果を踏まえて用地交渉を進めていきたいと考えている。

 都市計画道路善行長後線は、現在工事が進められている六会工区の整備が完了すると、県道横浜伊勢原線から長後駅までの間だけが残る形となる。長後駅の西口に直結する現在の都市計画の線形について、以前、見直しも検討されていたように聞いているが、その後の検討状況は?⇒善行長後線の残りの工区となる、県道22号横浜伊勢原から北側部分については、現在の都市計画では、長後駅の西口駅前広場に直接、接続する線形となっており、通過交通を駅前広場に呼び込んでしまうため、過去に線形の見直しについて検討を行った経過がある。しかし、長後地区の喫緊の課題である駅北側の
踏切前後の道路の渋滞解消と、駅西口から市民センターを結ぶ道路の歩行者の安全性向上を図るため、先ずは、高倉下長後線と長後725号線の整備に注力していく。この2つの事業にある程度の目途が付いた段階で、善行長後線や駅西口の整備について検討していく。

 7月に長後地区整備事務所が湘南台の藤沢市まちづくり協会ビルに移転した。事務所の建物は、現在、解体工事が進められているようだが、今後の跡地利用の考えは?⇒この土地は藤沢市土地開発公社が保有しており、解体工事が完了した後は、更地の状態で公社に返却することとなっている。今後、高倉下長後線や長後725号線といった長後地区の整備をはじめ、公共事業用地の取得において必要となった際には、代替地として活用していきたいと考えている。

 長後地区で実証運行している乗合タクシーの現状と今後の予定は?⇒長後地区では交通空白地の解消を図るため、地元組織が運行主体となる乗合タクシーの導入を検討してきた。一方、本市では、地元組織と連携して需要を把握するためのアンケートを実施し、双方で需要が見込めると判断したことから、令和3年10月から令和4年9月末までの期間、実証運行を行っている。しかし、運行開始直後から想定を下回る利用者数で推移していたため、実証運行の利用状況や利用者等へのヒアリングを踏まえ、地元組織と協議の上、令和4年6月に1ルートを追加し、既存の運行ルートの変更を実施した。
 その結果、1日当たりの平均利用者数は変更前の約13人から変更後は約23人へと増加傾向にあるものの、運行ルート等を変更してからの実証期間が短く、現時点では本格運行移行への判断が難しいため、実証運行を令和5年3月まで延長することで地元組織と調整を進めている。

通告16番 神村議員

1. 暮らしを支える社会基盤の構築について

(1)家庭裁判所の誘致について

 施政方針に謳われた藤沢簡易裁判所に家庭裁判所出張所を併設することについて、現在の取組状況は?⇒神奈川県弁護士会、庁内関係部及び出張所の同一管内となる近隣市町の事務担当者と現状の確認、情報共有を図り、今後の進め方などについて協議を進めているところ。

 現在の横浜家庭裁判所の家事事案の内容の傾向と、横浜家庭裁判所本庁管轄地域全体の人口に対する併設された場合の件数はどのような
傾向になると想定しているか?⇒横浜家庭裁判所の家事事件の傾向は、県弁護士会の資料によると、調停事件の新受件数は平成元年から令和2年までの約30年で倍増し、新受件数の総数は約4倍に増加している。また、本市に出張所があった場合の件数については、横浜家庭裁判所本庁の事件数の詳細内訳は公表されていないが、管轄となる5市1町の人口は120万人を優に超えており、横浜家庭裁判所本庁の管内人口約514万人の23%となることから、相当の件数を扱うことになると考えている。

 コロナによる影響と、併設にかかる所轄自治体のメリットは?⇒新型コロナウイルス感染症まん延の影響については、在宅勤務や学校休校等の対策措置が取られたことにより、家族でいる時間が増え、マイナス側面として離婚や児童虐待などといった問題が起きていることは報道などで把握しているが、本市の無料法律相談の状況では、相談件数の増加には結びついておらず、正確には捉えられていない。
 併設にかかるメリットは、横浜家庭裁判所本庁で取り扱う家事事件を分散させることになるので、家事事件の適正かつ迅速な処理につながる期待している。また、本市では、特に距離的に近くなることが市民にとっての最大のメリットと考えている。

 併設に向けた本市の推進体制と今後のスケジュールは?⇒本市の推進体制は、市民自治部を中心に関係部と連携して進めているところ。また、今後のスケジュールは、まずは、本市や県弁護士会を中心に家庭裁判所出張所の誘致を求めるための発起人会を立ち上げ、関係する自治体や団体と調整を図りながら、年度内を目途に、要望をまとめるための協議会を設置していきたいと考えている。

(2)養育費の確保に対する補助事業について

 養育費は「子どもの監護や教育のために必要な費用」であり、親として支払義務を負うとされている。しかし、その義務に対して法的な強制力がないため、離婚時に養育費について取り決めを行い、その内容を書面に残すことが推奨されている。こうしたことを踏まえ、本市の制度内容と現在の進捗状況は?⇒養育費確保支援事業の内容は、取り決めを促進するための債務名義取得に要する費用補助と不払い養育費の強制執行申立てに要する費用補助の2本立てになっている。
 一つ目の公正証書等の債務名義取得に要する費用補助については、公証人手数料や調停申立て等に要する収入印紙代、戸籍謄本等添付書類の取得費用、公的機関が求める郵便切手代などの実費が対象で、上限は5万円。二つ目の不払い養育費の強制執行申立てに要する費用補助は、収入印紙代や郵便切手代などの実費、及び弁護士、司法書士等に依頼した場合の着手金が対象で、上限は15万円。
 進捗状況は、補助金の要綱作成や法テラスとの調整、国庫補助申請に係る事業計画書の提出等を終えて8月から事業を開始しており、問い合わせも十数件ある。申請受付状況は、8月末時点で、債務名義取得に要する費用補助の申請が1件、強制執行申立てに要する費用補助の事前相談が1件あった。

 厚生労働省などの資料によると、離婚時に養育費の取り決めをしているひとり親世帯は半数未満に過ぎず、そのうち約56%養育費を受け取ることができていない状況。母子世帯においては、現在も養育費を受けている割合は24.3%にとどまり、いわゆる貧困のリスクそのものと考える。この制度が果たす役割とは何か?⇒ひとり親世帯の生活困窮の要因は様々だが、その一つが養育費の不払いと言われている。養育費の確保を確実なものにするためには、離婚時に養育費に関して取り決めをし、支払いが担保される公的な書類に残しておくことが大切。また、債務名義を有する養育費の不払いに対しては強制執行の申立てが可能だが、手続きには専門用語も多く、弁護士等に依頼した場合には費用が高額になるため、あきらめてしまうケースもあ
ると思われる。市としては、取り決めを促進するため、債務名義取得に係る費用補助を行うとともに、不払い時には強制執行申立てに係る費用補助を行うという、「取り決め」と「受け取り」の両輪で支援していくことで、養育費を確実にかつ継続的に受け取ることができる仕組みを促進し、ひとり親家庭の生活の安定と子どもの健やかな成長を支援することができるものと考えている。

 来年度には子ども家庭庁が設置されるが、養育費の問題をはじめとする子どもの貧困に係る対策も、もはや子ども青少年部だけの取組ではないと思う。縦割りではない関係部局との政策連携など、子ども真ん中社会の構築に向けて、理事者の考えは?⇒子どもの貧困の問題は、その子どもをとりまく大人の貧困によるものであり、数々の問題や課題が複合的に関連しあっているものと捉えており、その解決には分野横断的かつ中長期的な取組が必要であるものと認識している。本市では、個々のケースや課題の対応について、子ども青少年部のみならず、福祉部、教育部、健康医療部等、各分野を所管する部署が連携しながら、日々の業務にあたっている。また、「藤沢市子ども共育計画」の関係各課で構成する「藤沢市子ども若者庁内連携会議」をとおして、組織横断的な連携や、取組を進めている。
 来年度の子ども家庭庁創設を機に、子どもや家庭が抱える様々な複合する課題に対し、これまで以上に、制度や組織による縦割りの壁、年齢の壁を克服した切れ目ない包括的な支援を行っていきます。さらに、より予防的な関わりを強化し、必要な子どもや家庭に支援が確実に届くようなプッシュ型支援、アウトリーチ型支援への転換を図っていく。
 本市は、全世代・全対象型地域包括ケアの取組を進めるため、組織横断的かつ分野横断的な執行体制を敷いており、子ども家庭庁へ対応するための素地が既に確立され、機能している。こうした本市の強みを十分に活かして、子ども真ん中社会の実現に向け、「子育て支援に終わりはない~エンドレス チャイルドケアサポート」をポリシーとして、子どもを一人の人間として尊重し、子どもの視点に立ち、子どもの最善の利益のために、全庁を挙げて取り組んでいく。

(3)アフターコロナの地域活動について

 新型コロナウイルス感染症の蔓延は、地域団体活動の停止や休止を招き、様々な暮らしの課題を表出させた。自治会や郷土づくりは徐々に動きを取り戻しつつあると思うが、依然として高齢化や担い手不足の課題は解決していない。地域活動は暮らしの課題に向かっていけるよう、地域活動の在り方など見直しも必要になると思うが?⇒コロナ禍における地域活動の停滞の影響は大きいと認識をしている一方で、オンライン会議やSNSを活用した活動が見受けられ、従前には見られなかった新しい層の参加があるなど、デジタル化の進展も含めた明るい兆しも一部では見えていると捉えている。地域での祭事など、新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら実施を検討する団体も増える中、高齢化や担い手不足の課題に加え、単身世帯の増加というライフスタイルの変化を鑑み、これからの地域団体や地域活動は、社会的包摂という概念のもと、よりテーマ型コミュニティの側面を重視した、開放的なネットワークが重要になると認識している。
 こうした中で、新たな課題への取組として、デジタルデバイド対策のモデル事業「スマホ何でも相談窓口」をチーム FUJISAWA2020を活用し実施しているところ。社会情勢を捉えた活動を展開しながら、これまでの取組に新しい発想を取り入れ、長期的な視点を持って活動をつなげていくなど、地域活動の在り方を検討していきたい。

 以前から会派で質疑しているが、市民センター・公民館のコミュニティセンター化について、検討状況と今後のスケジュール感は?⇒市民センター長・公民館長会議などにおいて、地域コミュニティの拠点施設として、また住民自治の実現の場として、今後の考え方や方向性などを意見交換してきた。意見交換では、公民館の社会教育施設としての位置づけやデジタル化の推進に合わせた市民の利便性の向上、地域づくりへのマネジメント力の強化など、市民センター・公民館のこれからの在り方について、共通認識を持つことができた。
 現在は、さらにその共通認識を市民センター・公民館の全職員で共有するため、課内会議等において議論を進めており、市民自治部としての考え方を整理しているところ。
 今後は、様々な部局の施策の方向性や課題等も共有する必要があることから、全庁で議論する場を早期に設け、次期組織改正を見据えて検討を進めていきたい。

 市では令和4年度に人口推計を行い、結果を共有し未来への潮流を創造する取組に活用するとある。また、デジタル化などの進展を上手に活用しながら、これからの時代をコミュニティの時代として、住民本位の自治を進化させるとあるが、地域活動の再活性化、コミュニティセンター化に向けて理事者の思いは?⇒私(鈴木市長)は、政策の実現にあたっては、職員が知識と経験を生かして市民の思いに寄り添い、市民それぞれの心にある藤沢を大切にしたいという思いを、共に醸成することが重要であると考えている。こうした思いの積み重ねにより、昨年の夏、想定よりも早く本市の推計人口が44万人に到達し、民間の「本当に住みやすい街大賞」では、辻堂が1位になるなど、多くの方の藤沢を愛する思いが形になっていると捉えている。
 全国的に進む人口減少や少子超高齢化の進展、新型コロナウイルス感染症による価値観の変化により、住民自治や地域活動は、担い手不足の課題や頻発する大規模災害への対応などの不安定要素が顕在化している。こうした時代の変化を的確に捉え、複雑化する地域課題や多様化する住民ニーズに応えるためには、必要な地域活動へシフトするための支援や、将来に向けてあるべき共助の姿を問い直し再構築する必要があると考えている。
 また、地域コミュニティ拠点施設の在り方については、地域での機動的で柔軟な施策を実現していくことや、地域づくりと学びの連動などを効果的に推進していくことをテーマに、総合的な行政を担う組織、位置づけとして、共生社会の実現、地域防災や自治体DXの更なる進展に向けて、求められる業務や機能の整理・強化を図っていく。
 いずれにしても、これからの時代をコミュニティの時代として、13地区それぞれの特性を活かし、地域に応じた誰一人取り残さないコミュニティの推進など、「藤沢らしさ」をさらに創造しながら、未来に向けた持続可能なまちづくりに取り組んでいく。

通告17番 山内議員

1. 藤沢のまちづくりについて

(1)藤沢駅前・周辺部開発と問題点

 辻堂・村岡も含め利便性の高い駅近への人口集中について、その予測は?⇒人口動向の予測は、平成27年国勢調査をもとに本市が実施した将来人口推計において、13地区別の推計として示している。指摘の辻堂エリアについては、辻堂駅周辺に該当する明治地区では大規模開発を想定し「増加の傾向で推移する」としている一方で、辻堂地区では「ほぼ横ばいで推移する」と推計している。また、村岡地区や藤沢地区は、「増加の傾向で推移する」と推計している。

 中心部と周辺部の「格差」についての検討状況は?⇒本市では、中心部と周辺部というような考え方はないが、6つの都市拠点を定め、拠点間の機能分担とネットワークを推進することにより、バランスの良いまちづくりを進めている。一般論として駅の近くなど便利な地域は、居住ニーズも高く、集合住宅や店舗等の立地が多くなる傾向があり、お住まいの地域によっては利便性に差が生じるものと認識している。
 市としては、そのような状況においても昨今のコロナ禍による東京一極集中などの緩和傾向や、都市機能の本質である交流と定住を踏まえ、誰もが住みやすいまちとなるよう、地域の課題特性に応じた施策を検討していく。

 以前、総合指針作成の際に質問したが、新型コロナ危機の影響を踏まえた「コンパクトシティの見直し」について、国土交通省の検討状況は?⇒国土交通省では、新型コロナ危機の影響を踏まえ、今後の都市政策はどうあるべきかについて検討するため、「デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会」を設置し、令和3年4月に「中間とりまとめ報告書」を作成した。この報告書における「コンパクトシティの見直し」については、「都市は、経済活動に必要な資金・人材・技術等を集積することで経済活動の中核を担うほか、一定の人口密度を保つことで生活サービス機能を維持するなど、集積によってその機能を果たしており、このような機能を有する都市の重要性は基本的に変化していない。」としている。このことから、これまでの都市圏レベルで都市機能の高度化を図る取組の1つである「コンパクト・プラス・ネットワーク」の必要性は、新型コロナ危機を経ても何ら変わるものではないとしている。

 国土交通省の動向や、新型コロナ危機の影響を受け、藤沢市の都市計画の見直し検討はどうなるのか?⇒本市の都市計画においては、今後も当面、現在の人口規模の維持が想定されることから、各拠点における、更なる都市機能の誘導を図り、日常的な生活サービス機能を維持していく。加えて、少子超高齢社会を踏まえ、各拠点間における公共交通等によるネットワーク形成を図るとともに、歩行空間の整備、改善による、自家用車に依拠しない、地元生活圏の形成等を図ることでコンパクトシティ化を進めている。
 更に、新型コロナ危機を契機に市民の「働き方」や「暮らし方」が多様化していることから、例えば、自宅以外のワークプレイスの整備、多様な使い方が可能となる、ゆとりあるオープンスペースの構築など、ニューノーマルに対応したまちづくりについて検討していく。

 藤沢駅南口から藤ヶ谷の時間帯別バス所要時間の現状はどうなっているか?⇒藤沢駅南口駅前広場から藤ヶ谷バス停までの時間帯別の所要時間の現状について、バス事業者へのヒアリングから、令和4年8月の月間集計における平日及び土休日の所要時間は、藤沢駅南口駅前広場から藤ヶ谷バス停へ向かう下り路線は、計画所要時間5分に対し、平日及び土休日ともに、最大で3分から4分の遅れとなっている。藤ヶ谷バス停から藤沢駅南口駅前広場へ向かう上り路線としては、計画所要時間10分に対し、平日は最大で約7分の遅れ、土休日は最大で約3分の遅れとなっている。

 国道 467 号の混雑解消策としての道路の見通しについて、市の考えは?⇒国道467号を含む藤沢駅周辺の交通混雑解消に向けては、藤沢駅周辺に集中する交通の分散化が必要。そのためには、都市計画道路横浜藤沢線などの整備が重要。横浜藤沢線については、横浜地域と湘南地域を結ぶ都市間を連絡する広域的な主要幹線道路であり、現在、事業主体である神奈川県と連携し整備促進に努めている。藤沢駅周辺の交通混雑解消に向けて、これら都市計画道路の早期整備に向けた取組を進めていきたい。

 国道467号市役所近くのJRの線路下の歩道の拡張についての考えは?⇒指摘の歩道の拡幅は、国道467号を管理する神奈川県からは、前後の区間に比べて幅員が若干狭いものの、両側に歩道があり、歩行者が車道にはみ出さないよう横断防止柵も設置されていることから、一定の安全性は確保されているものと考えており、現状では、拡幅する計画はないとのこと。仮に、拡幅しようとした場合には、日本有数の輸送力を担う東海道線の橋台が支障になることや、現場の土地利用の状況などから制約が非常に多いため、高度な技術を必要とする難工事になり、費用も膨大になることが見込まれる。
 このような状況を踏まえると本市としても、現時点で事業化は困難だと考えるが、円滑な歩行空間の確保に向け、県とともに、必要な対策を検討していく。

 自動車 NOx・PM法では、藤沢市も指定地域である。呼吸器・気管支喘息患者救済のための情報支援をすべきだが?⇒市民からの大気汚染等の公害に関する相談については、本市の公害苦情相談において、なかなか解決が図られない場合、本市のホームページで、公害紛争処理法に基づく公害紛争処理制度を案内している。この制度は、公害紛争を処理する機関として、国に公害等調整委員会が、都道府県に公害等審査会等が置かれており、公害等調整委員会では、「大気汚染等により著しい被害が生じ、かつ多数の者に及ぶ事件」の調停・あっせん・仲裁のほか、全ての事件の因果関係や責任について裁定を行っている。また、民事訴訟に比べ手続きが柔軟で費用も少なくて済むなどの特長がある。本市としては、引き続き分かりやすい案内に努めていく。なお、呼吸器・気管支喘息に限らず、健康相談があった場合は、関係課と連携しながら対応をしていく。

 公用車の電動化の現状と将来の展望は?⇒電気自動車は、走行中のCo2排出量がゼロであり、現在、管財課では、4台の公用電気自動車を導入している。現行の「藤沢市地球温暖化対策実行計画」では、行政の取組の一つとして、「公用車への電気自動車やハイブリット車等を率先的に導入します」としている。また、国においては、2035年までに、新車販売の一部をガソリン車等から電動車へ切り替えることを表明している。このように、脱炭素化に向けた取組を推進していく必要はあるが、公用電気自動車を増車した場合、導入経費や充電設備の増設などの課題もある。
 このため、今後については、国や自動車メーカーの動向を注視するとともに、環境部とも連携しながら、公用電気自動車の新たな導入を検討していきたいと考えている。

 自動運転化やカーシェア等の普及により、駅前の駐車場も減ると考えるが、駐車場が空いた際の土地の活用についての考えは?⇒駅前の駐車場が空いた際の土地利用について、地方部では、駐車場の需要に比べて供給が過多となり、利用率の低い駐車場は土地利用転換がなされず、駅前が空洞化する例が見られる。そのような都市においては、駐車場の集約などを行い、従来駐車場であった土地については、広場など賑わいを生む空間としている事例がある。本市においては、駅前の土地利用の需要が高く、駐車場としての利用がなされない状況となれば、住宅や店舗などその時々の民間の需要に応じた土地利用がなされると思われる。

 近年、高層建物が増えてきているが、その様な建物で火災が発生した場合の消防の活動体制は?⇒市内の11階以上又は高さ31mを超える高層建物については、令和4年8月31日現在で252棟。この様な建物で、火災が発生した場合の活動体制等については、はしご車2台を含む消防隊等が13隊出動することとなっており、災害状況に応じ、段階的に部隊を増強する体制を確保している。また、人命危険が高い複合用途防火対象物や、高さ50メートルを超える建物などでは、予め各隊の動きを定めた警防活動計画を作成している。

 藤沢駅前に17階建ての建物が建設されると聞いているが、高層建物の建築に伴う消防用設備などの安全対策の状況は?⇒高層建物の安全対策は、消防法令で消防用設備等の設置基準が強化されており、具体には、自動火災報知設備やスプリンクラー設備の他、消防活動の支援として、高層階へ消火のための水を送る「連結送水管」、消防活動の電源を確保するための「非常コンセント設備」などが必要とされている。
 そのほか、建築基準法令による、非常用エレベーターの設置や条例等に基づいた消防水利の設置など、火災の初期段階から消防隊の活動時に至るまで、各段階で使用される設備等を設置することによって、建物の安全性が高められている。今後、ますます建物の高層化が予想されることから、効果的な警防活動体制の確立や、消防用設備の設置指導等を適切に実施していきたいと考えている。

(2)藤沢のまちづくりのあり方について

 「集中」から「分散化」の社会に変わりつつあるが、地域における「循環型経済」の考え方について、市の見解は?⇒東京一極集中型から地方分散型へと、社会構造の転換に向けた取組が進む中、今後、人的資源をはじめ、モノや資金の流れが地域の中で循環するような社会経済活動が発展していくことは、持続可能な社会の実現に向けた産業施策を進める上で、欠かせない観点であると考えている。

 個人や企業の活動として、地域において循環型経済につながる取組も行われている。このような活動を支援していくことは重要だと思うが、市の見解は?⇒社会環境が大きく変化する中、地域において、様々な課題の解決に向けた、個人や企業の主体的な事業活動を後押しすることは、新たな産業の創出につながる重要な取組であると。本市においては、 国の認定を受けた「創業支援等事業計画」に基づき、湘南産業振興財団、藤沢商工会議所と連携した窓口で起業相談を行うとともに、市内2か所のインキュベーション施設において、様々な分野で活動する入居者に対して、専門家による起業支援を総合的、積極的に行うなどの取組を進めてきた。今後も引き続き、様々な分野において、個人や企業の主体的な事業活動に対する支援を行い、多様化する地域課題の解決に取り組んでいく。

通告18番 西議員

1. 児童クラブについて

(1)指導監査について

 以前、「放課後児童クラブの運営について、監査や負担金の執行に関する調査が必要ではないか」という一般質問に対して、「指導監査等を実施することは必要なことであると捉えており、今後、具体的に運営指導を実施することに向けて、体制の整備、手法等も含め、他市の取組なども参考にしながら検討していきたい」との答弁であった。現在、放課後児童クラブの運営指導に向けた取組状況は?⇒まず、実地監査、運営状況等の調査を行っている自治体に手法、現状の課題などを確認した。その後、他市町村で実施している手法を参考に、本市で定めた放課後児童クラブに関する条例、要綱等に、児童クラブの運営状況等が適合しているかを自己点検するためのチェックシート案を作成し、7月末には本市で放課後児童クラブを運営する全10事業者に、運営指導についての説明会を実施した。
 現在は、チェックシートの最終確認を行っている段階で、今後の予定は、各クラブに令和3年度中の運営実績や状況について、チェックシートに基づいた自己点検を依頼する。改善が必要な部分については、事業者が改善案を提示し、市へ提出することとしている。その後、年度内を目途として、市から事業者に対して、提出された自己点検結果、改善案等について、助言や指導を行うことを考えている。

 今年度はチェックシートを用いて児童クラブが自己点検を行い、市がその結果に対する助言・指導等を実施するとのことだが、市が事業者に対して支出する負担金の執行についてのチェック機能を果たすこともできるのか?⇒チェックシートは、児童クラブの運営が児童福祉法や市の条例・要綱で定めた基準を満たしているかについて点検する項目のほかに、児童クラブ指導員の加配や処遇改善の実施、入所料減免の根拠についての確認等、負担金が適切に執行されているかについて点検する項目で構成されている。従って、運営事業者の適切な負担金の執行について、一定程度のチェック機能を果たすことができると考えている。

 今年度はチェックシートによる自己点検を実施するとのことだが、今後の方向性は?⇒今回のチェックシートに基づく自己点検によって、事業者、児童クラブの現場で、市が定めた規程で守るべき事項や必要な手続き等について、具体的に検証することが出来ると考えている。今後の方向性として、今年度は、自己点検結果を分析し、課題の発見等に努めていく。
今回の自己点検は、市と事業者の間で、児童クラブの運営における課題や問題点を共有できる1つの機会であり、今後、市と事業者がやり取りを重ねていくことによって、児童クラブの運営の質の向上、確保につなげていきたいと考えている。

2. 教育行政について

(1)学校徴収金について

 学校徴収金として扱われる金額は、小学生、中学生それぞれどのくらいになるのか?⇒昨年度、学校に実施したアンケート調査を元に、1人当たりの年間平均徴収金額を算出すると、小学生が約9,600円、中学生が約23,000円。なお、この金額には、修学旅行費や直接購入する教材等は含まれていない。

 小学校において、児童が学校に教材費として現金を持参する手段が取られている。紛失、盗難のリスクがあり、また、教職員の大きな負担となっている。口座の引き落としやクレジット決済、一括徴収制度などを導入し業務効率化を図るべきと考えるが?⇒小学校の学校徴収金については、現金を持参することによる紛失や盗難のリスクがあることと認識している。また、教職員の働き方改革という視点でも、口座引き落としを活用することが改善の手法の一つと考えており、現在、藤沢市立学校教職員の働き方改革推進委員会で、口座引き落としの導入について検討を重ねているところ。

 公費で支払われるべきものが保護者からの徴収金(私費)で支払われていることはないか?また、そのチェックは?⇒学校における教育活動費の中で、学校施設設備に関する維持費や整備費、学校管理上で発生する義務的経費、また、教科指導に必要となる経費などは、公費で負担すべきものとされている。一方、児童生徒が学校生活を送る中で、修学旅行費や給食費など受益者負担とすべきものは私費として実費分の負担をお願いしている。従って、公費で負担すべきものが私費で負担されていることは、基本的にはないと認識している。
 次に、支払いのチェック体制は、この公費と私費の区分を前提に、会計事務における教職員の役割分担を明確にし、出納責任者である教頭が会計全般の状況把握を行い、校長が総括責任者として会計全般のチェックをしている。

 本来学校で購入すべき備品等を、PTA会費を使用して調達していることはないか?⇒学校運営や学校行事で必要なものは、学校や教育委員会で予算の確保に努めているが、教育予算にも限りがある。そのため、より教育活動の充実に寄与するものなどについて、PTAのご厚意により寄付や貸し出しをいただいているケースも一部あるように聞いているがが、こ
れはPTAにおいて検討をいただき、判断がされたうえでのことと認識している。

 公費と私費の負担区分について、明確な区分を示したものはあるか?⇒公費と私費の負担区分については、教育委員会で作成した「学校預り金会計の取り扱いの手引き」において具体的な費目や内容等を含めて示しており、この内容を各学校に周知している。

 保護者の金銭的負担軽減を行っているか?⇒保護者の金銭的負担軽減についても、「同手引き」において、保護者の負担軽減を最優先に考えるとともに、使途については、児童生徒に還元できるものであるかどうかを十分に検討することとしている。また、費用や金額については年度ごとに精査し、保護者負担の軽減が図れるよう、各学校で努めている。

 補助教材を個人で買うのではなく、学校で一括して購入して貸し出すといったことを行ってはどうか。保護者の負担軽減とともに、環境負荷軽減にもつながると思うが?⇒補助教材については、教育的見地から見て、有益で、適切と思われるものを児童生徒の実態等に応じて、活用している。一括購入か個人負担かの判断については、校長の責任の下、環境負荷軽減の視点も持ち合わせて、保護者が負担する費用をできる限り少なく抑えるように、適切かつ計画的な執行により経費節減を図ることとしている。

 保護者から集めたお金は私会計で、会計ルールが明らかではなく、全国的に見ると職員らの着服が問題になることがある。会計の透明化の確保と、保護者に対する説明責任の確保が必要だと考えるが?⇒学校徴収金は、学校が保護者に経済的負担を求め、その執行について保護者から信託を受けて預かっているお金であり、公金に準ずる慎重な取り扱いが求められる性質のものと考えている。チェック体制は、前述のとおり、教頭が会計全般の状況把握を行い、校長が総括責任者として会計全般の確認を行っている。また、徴収金の取扱については、適正かつ効率的な執行を図るとともに、保護者に対して十分な説明責任を果たすよう努める必要がある。そのため、徴収金にかかる会計処理の透明性をより高めるために、各学校では、学年だより、学級だより等を活用するなど、徴収金の目的や使途を保護者に対しお知らせしており、一定の説明責任を果たしているものと考えている。

 保護者は公費が見えないから私費でやるしかないと思いがち。横浜市のように学校のHP等で学校に関わる公費(学校配当予算)をオープンにするべきだが?⇒先ほど答弁したように、学校運営上の経費のうち、公費として支払うべきものと、私費とすべきものについて費目の区分けをしているので、まずは、私費として徴収することについて、公費の支出とは異なることを保護者に対して丁寧な説明に努めていく。また、学校配当予算の詳細を学校のホームページで公表することは、整理すべき課題があり、まずはその課題を整理していきたいと考えている。

 一部の自治体では、学校徴収金の一部公費化をしているが、全額公費化や一部公費化が行われれば保護者負担が軽減し、全額公費化であれば該当費目の学校徴収金事務はなくなり、多くの場合事務担当者になっている教員の負担、負担感が軽減される。学校徴収金の公費化に対する考え方は?⇒学校徴収金については、その使途の性質から、私費での取扱をするものと考えているが、他市で公費化している事例や国の動向等について注視していきたい。

 学校徴収金の公会計化をする自治体も出てきている。公会計により、透明性の向上、利便性の向上、安全性の向上、学校現場の多忙化解消につながる。学校徴収金の公会計化を検討するべきだと考えるが、市の見解は?⇒学校徴収金の公会計化については、透明性の確保や利便性の向上に資するものである一方で、導入にあたっては、全市で徴収金額を統一することにより、各学校の特色を生かした教育活動や児童生徒の実態に合った教材の選択がしづらくなる場合があることに加え、公会計を運営する執行体制の確保などの課題がある。今後は、先進事例を参考にするとともに、本市の実情に応じた対応策を検討していく。

※以上、報告とします。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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