2019.1.31 議会改革検討会視察(岐阜県可児市)

 1月31日 藤沢市議会議会改革検討会で、岐阜県可児市議会を視察しました。視察のテーマは、議会改革で、特に「高校生議会」の取組みについて、川上議員から、お話を聞かせてもらいました。

1. 可児市の議会改革(抜粋)

(1)そもそも住民は議会へ何を期待しているのか?

 ➀権力により集められた税金の使い方が正しいか?

 ➁集められた税金がどのように使われているのか?その効果は?

 ➂不正や無駄はないか?

 ➃市民の声は市政に反映されているか?

※住民は首長・議員を直接選ぶことはできるが、職員を選ぶ権利はない。

(2)議会と市長の関係(二元代表制)

 二元代表制は、車の両輪ではだめ。市長がアクセルを踏みすぎれば、議会がブレーキを踏む存在。

(3)議会の提言による成果

 ご当地ナンバー「東美濃」の導入検討がされ、可児市を含む7市町の首長、議長、商工会議所で、東美濃ナンバー実現協議会を結成。しかし、可児市内住民アンケートでは、賛成30.0%・反対40.5%、可児市内事業者アンケートでも賛成32.9%・反対42.5%と、市民の意見は、市執行部の考えと違うことが分かりました。

 そこで、可児市議会として、東美濃ナンバー実現協議会の脱退を議会運営委員会で決定。平成30年3月定例会において、実現協議会への負担金300万円を当初予算から削除、東美濃観光政策周知のためのパンフレット等作成費を増額したとのことでした。これは、市民の意見を議会が受け止め、議会の意思で予算案(議案)を修正したものであり、議会の本来の役割を果たしたと言える成果だと思います。

(4)反問権

 議員の質疑・質問に対し、執行機関が議長または委員長の許可で、その根拠や理由を確認したり、論点を明確にするために反問の権利を保障しているとのことです。
※藤沢市議会では、理事者に反問権はあるものの、実際には実施されていません。私は、議員の質問の中に、ニーズの把握によらない根拠に乏しい質問が多いと日頃から感じています。ぜひ、可児市議会のような反問権を執行機関に与えて、議員の資質向上を図っていくべきと考えます。

(5)ママさん議会

 平成28年に「ママさん議会」を開催。建設中の駅前子育て拠点施設について、銀行ATMの設置、施設内の飲食コーナーでのアルコール類の提供などの要望が出されて実現したもので、この要望は市側では気が付くものではなかったとのことでした。

(6)予算決算委員会からの附帯決議

 平成24年度当初予算案に対して、「いじめ防止関連予算に対し条例整備を要望」という附帯決議がされ、日本で初めての子どもいじめ防止条例が、同9月議会で上程・可決され、10月に施行されたとのことでした。

(7)委員会代表質問

 委員会として代表質問する仕組みがあり、災害時の情報発信の問題について、委員会代表質問を行ったところ、メール配信サービスのホームページでの確認が可能になったり、地域FMの割込放送、エリアメールの開始につながったとのことでした。

2. 高校生議会

(1)平成26年2月 高校生議会

 専門職である主任ケアマネ、保健師などの地域課題に取組む専門職に加えて、議員や高校生などの若い世代が地域の課題を一緒に話し合い、認識を深めるため、議場での活動報告の後に、介護ケア事例を題材に意見交換を行った。ここで、作成された意見書は次の通りです。

 ➀医療や福祉、介護を始めとした地域課題を、『大人』の皆さまが立場を越えて共有し、話し合える『場』を設けること。

 ➁地域の課題を話し合う『場』に、高校生はもちろん、大学生や中学生など多くの世代が参加できるようにすること。

(2)平成26年7月 地域課題懇談会(職員11名・医師9名・議員19名・生徒23名)

 可児市議会が主催。医師会長の講演会と『健康づくり』をテーマに意見交換を実施。

(3)平成27年2月 高校生議会(市長・職員8名・議員21名・子育て支援10名・生徒24名)

 生徒による活動報告と意見交換を実施。意見交換では『子育て支援』をテーマに話し合い、結果を発表。ここで、作成された意見書は次の通りです。

 ➀子育て支援や防災など、地域課題の解決をめざす様々なイベントや活動に、私たち高校生が企画の段階から参加できる機会を設けること。

(4)平成27年6月 地域課題懇談会(議員17名・金融協会13名・生徒66名)

 金融協会講演と意見交換を実施。意見交換では、『どんな街に住み続けたいか・自分でできること』をテーマに討議し発表。

(5)平成28年2月 高校生議会(市長・職員4名・議員22名・支援団体13名・生徒29名)

 生徒による活動報告と意見交換を実施。意見交換では『来年度のキャリア教育活動計画』について話し合い、結果を発表。ここで、作成された意見書は次の通りです。

 ➀地域課題の解決をめざす様々なイベントや活動に、小中高校生を含め、可児市民みんなが、多世代にわたって活動できる機会を設けること。

(6)平成28年7月 地域課題懇談会(高校生58名・商工会議所21名・議員20名)

 商工会議所会頭の講話後、「可児の担い手づくり」~企業が求める人材・高校生が求める企業~を課題としてディスカッションし発表。

(7)平成29年2月 高校生議会(市長・職員・議員・NPO緑塾・高校生)

 地域医療・子育て・税金(行政の取り組み)の各設問について、行政クロスロード手法により議論し、議場において発表した。

3. 可児高校における模擬選挙

(1)平成27年12月 地域課題懇談会(市長・選管4名・議員17名・NPO5名・生徒36名)

 18歳選挙権を課題に可児高校にて初めての出前講座として議会主催による講座を実施。市長、市選管、NPO緑塾の協力で講演と意見交換を実施。意見交換は、『どうしたら選挙に行くのか』をテーマに実施し、生徒が発表した。地域課題懇談会出前講座のアンケート結果では、参政意識の醸成がされていた。
 そして、なぜ若者の投票率が低いのかについては、たとえ投票意欲が高くても、「選び方」が分からない生徒がいるとのことで、生徒からの疑問である、どうやって選んだらいいの?についてグループディスカッションを導入したとのことでした。

 模擬選挙では、マニフェスト作成、立候補演説会、選挙公報・選挙ポスターの作成、投票というように、本物の選挙と同様の投票・開票を行ったとのことでした。模擬選挙のアンケートでは、模擬選挙を通じてマニフェストに触れ、議会・議員の役割を考える機会となったとの結果となりました。そして、驚いたことに、参議院選挙における可児高校生徒の投票率は90.1%だったとのことでした。

4. 視察での主な質疑

 高校生議会の対象学年は?⇒進学校なので3年生は対象外として、年間授業スケジュールを立てている。模擬選挙は2年に1度。

 政策形成サイクルについて、要綱などは定めているのか?⇒定めている。

 全会一致でまとまるのか?⇒対話で全会一致をめざす。全会一致となれば執行部は必ずやる。委員会代表質問は、全会一致でないとできない。

 PDCAしているが、忙しすぎるのでは?⇒執行する権限がないので、市民の声を集約する義務がある。

 NPO緑塾の関りが大きいのか?⇒緑塾が中心となり、若い世代とのネットワークづくりをお願いした。大学生を巻き込む力も持っている。今後は、地区センターの指定管理も担ってもらいたい。

5. 所感

 今回、可児市議会の議会改革の取組みを視察しましたが、とにかく先進的な取組をしていると感じました。更に、議会主導による高校生議会やママさん議会、地域課題懇談会の実施、その意見を市政に反映していく仕組みがあり、相当な時間と労力を費やさなければ出来ないと思いました。ここでは、緑塾というNPOが機能していることがポイントだったと思いますが、そのNPOの設立も議会がやったとのことでしたので、本当に積極的な取組であり、藤沢市議会としても見習う部分が多い視察でありました。

 
 

 


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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