2016.8.1~8.2 藤沢市議会・松本市議会 姉妹都市交流事業

 8月1日から2日にかけて、姉妹都市提携55周年となる松本市との交流事業として、松本市議会を訪れました。松本市議会との交流は、統一地方選挙(市議会議員選挙)の翌年に藤沢市議会が松本市を訪れ、その翌年に松本市議会が藤沢市を訪れる日程で行われています。交流事業の内容の抜粋は次の通りです。

1. 研修会
 今回の研修会は、【「18歳選挙時代」における若者の社会参加】というテーマで、信州大学教職支援センターの「新井英次郎」准教授より、講演を受けました。

(1) 「18歳選挙権」をめぐる論点
 
 ここでは、ずっと凍結されてきた教育における「政治教育」の変遷について説明がされました。教員が個人的な主義主張を避けて公正な態度で臨むべきという昭和44年通知により、政治に触れることを遠ざけてきたこと、生徒の政治活動は学校外であっても望ましくないとしてきた。それが180度転換する「18歳選挙権」となった。これに対して教員が、政治的中立性を確保して、政治的見解を示し、議論の材料を提供できるのかが重要で、争点がどこにあるのか?争点をめぐって、どのような合意や調整の方法があるのか?生徒が自ら判断できる教育が必要。としました。

(2) 子どもの現在

 ここでは、子どもがおかれている環境の推移や子育て支援の必要性、体力・学力の推移、学習指導要領の変遷などに触れ、「18歳選挙権」により、初等中等教育修了までに、主体的な社会参画や自立した生活に必要な力を身につけることが必要となる。国は、18歳までに身に付けるべき力を明確にするとともに、幼・小・中・高それぞれの段階において、どこまでの力を身に付けるべきかを明確化する方向で検討している。とのことでした。
 「長野県青少年生活意識調査報告書」によると、自己効力感、自己肯定感、自尊感情の低下が指摘されている。米韓中の生徒に比べて、「自分を価値ある人間だ」という自尊心を持っている割合が半分以下、「自らの参加により社会現象が変えられるかもしれない」という意識も低い。とのことでした。

(3) 大学側の反応

 ここでは、「18歳選挙権」を受けて大学側がどのような取り組みをしているか説明がありましたが、現在のところ、ポスター掲示など広報にとどまっており、大学主導の動きは見られないとのことでした。

(4) 大学生の意識

 「長野県内の高校生意識アンケート」では、政治に対する関心は高いが、若者の意見の政策反映は反映されていないが86%を占めている。投票に行くは85%と高いが、その理由としては、若者の意見を反映させたい、権利だと思う、義務だと思うがほとんどを占めている。一方で、投票に行かない理由は、政治に関心がない、その他が高い。その他には、実家から下宿している学生は住民票を移動していないため、選挙に投票するために交通費をかけなければならない、そこまでして行く生徒はいない。政治活動に対する関心はないが多くを占めている、これは、政治活動とは何なのか、分かっていない表れだと思う。このようなアンケート結果の分析・説明を受けました。そして、参議院選挙の投票のハードルの高さについて、大学生になって初めてのテスト・レポートに追われている時期で選挙どころではない、各試験やイベントもあり、誰に、どこに投票していいか考える時間・余裕がないタイミングであったとのことでした。
 最後にゴール(目的)は何か?が最も重要である。と締めくくりました。

(5) 所感
 
 今回の講演を聞いて、18歳選挙権についての教育はどうあるべきか?を考えることは、とても大切だと思いました。一方で、大人が選挙の争点や論点、政党や立候補者の考えや方向性を理解していることが前提となっていることに疑問を感じました。多くの有権者は、新聞・マスコミ報道で、なんとなく投票している、または、政党支持、投票依頼により、マニフェストの詳細を把握しないで投票しているのではないでしょうか?
 私は、ここに大きな問題があると思います。例えば、国政選挙であれば、政党のマニフェストは勿論、政党設立の経緯、政党の変遷、主要な政策の比較など。そして、私たち市議会議員であれば、各議員が、どのような質問をしているのか?そこには、既に説明を受けて、分かり切っている事を質問している場合もありますし、重複した質問もあります。また、質問をすれば良いわけではなく、分かっているから質問を必要としないケースもあります。本会議中の居眠り、今回の講演中にも、居眠りをしている失礼な議員もいました。そのようなことを、どうしたら市民(有権者)に伝えられるのか?伝える役割はどこなのか?
 若者の社会参加について、1番の関心は奨学金制度でした。私は、若者向けの政策と言いますが、実際には課題や困りごとに直面して初めて政策が必要になるわけと考えます。ですから、漠然と若者に具体的な政策を聞いても答えが返ってこないと思うのです。日頃の学生生活において、学食の値段が高いとか、下宿の家賃が高いとか、アルバイトの時給が安いとか、なんとかならないか?それが政治の関わりの1歩だと思うのです。もちろん、下宿していれば、ゴミ出しの課題もあるかもしれませんが、大人より、直面する課題は少ないはずです。だから、将来関わるだろう課題を考えるのだと思います。国会議員、県会議員、市議会議員の考えや行動をいかに有権者に伝えるか、それは議員個々の取組みなのか、18歳選挙権を踏まえて、教育で取り組むべきなのか?結論は出せませんが、少なくとも、議会中に居眠りしている議員やいい加減な議員が選ばれないような、情報の提供が必要だと思います。

2. 上高地視察

 8月11日は初めての「山の日」の祝日となります。その祝日に、山の日全国大会が上高地で開催されることとなりました。そこで、開催地の上高地を訪ねることになりました。藤沢市では暑かったかもしれませんが、上高地は肌寒いくらいの気温でした。第1回のイベントとして上高地は相応しい場所だと感じましたが、全国大会の定着にむけて重要な役割を担うこととなります。ぜひ成功してほしいと切に思います。
 上高地の観光客は年間120万人と低下していると聞きました。今回訪れましたが、中国や韓国からの観光客も多く訪れていました。藤沢市民も含めて多くの観光客が訪れることを期待します。
 松本市直営の「アルペンホテル」で昼食をいただきました。このホテルは松本市民は3割引きで泊まることができます。そして、姉妹都市である藤沢市民も同様に3割引きで泊まれるのです。ぜひ、市民の皆さん、上高地に行った時には姉妹都市のメリットを活かして、お得な宿泊をしていただきたいと思います。

 以上、報告とします。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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