2016.3.9 本会議(3日目)~採決・代表質問

 3月9日 10:00より、藤沢市議会2月定例会(3日目)が開催されました。本日は、各常任委員会委員長より、常任委員会での審査状況の報告がされた後、議案の採決と代表質問が行われました。内容の抜粋は次の通りです。

 

議案第68号 市道の認定について(鵠沼917号線ほか11路線)

議案第69号 市道の廃止について(鵠沼913号線ほか7路線)

議案第88号 藤沢市みどり基金条例の一部改正について

 上記3議案は、全会一致で可決されました。

 

議案第85号 藤沢市介護保険指定地域密着型サービスの基準に関する条例及び藤沢市介護保険指定地域密着型介護予防サービスの基準に関する条例の一部改正について

 この議案は、全会一致で可決されました。

 

議案第74号 藤沢市人事行政の運営等の状況の公表に関する条例等の一部改正について 

 この議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。

 

議案第76号 藤沢市職員の降給に関する条例の制定について

 この議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。

 

議案第75号 藤沢市職員の退職管理に関する条例の制定について 

 この議案は、全会一致で可決されました。

 

議案第89号 平成27年度藤沢市一般会計補正予算(第7号)

議案第90号 平成27年度藤沢市北部第二(三地区)土地区画整理事業費特別会計補正予算(第1号)

議案第93号 平成27年度藤沢市国民健康保険事業費特別会計補正予算(第1号)

議案第94号 平成27年度藤沢市柄沢特定土地区画整理事業費特別会計補正予算(第2号)

議案第95号 平成27年度藤沢市介護保険事業費特別会計補正予算(第2号)

議案第96号 平成27年度藤沢市後期高齢者医療事業費特別会計補正予算(第1号)

議案第97号 平成27年度藤沢市下水道事業費特別会計補正予算(第2号)

 上記7議案は、共産党が反対しましたが、賛成多数で可決されました。

 

議案第91号 平成27年度藤沢市競輪事業費特別会計補正予算(第1号)

議案第92号 平成27年度藤沢市墓園事業費特別会計補正予算(第1号) 

議案第98号 平成27年度藤沢市市民病院事業会計補正予算(第1号)

 上記3議案は、全会一致で可決されました。

 

ここから、平成28年度一般会計予算ほか16議案に対する代表質問

 ※なお、代表質問については、今回は、私が所属する「かわせみクラブ」の質問は質問~答弁の概要を掲載し、その他の代表質問は、件名・要旨のみ掲載することとします(質問~答弁は割愛)。

 

1. 柳田秀憲議員 (かわせみクラブ 質問持ち時間 70分)

 

(1) 投票率について ①市長の認識について 

 前回より得票を伸ばし、今回の市長選挙の総投票数94,361のうち鈴木恒夫候補の得票は68,600で、得票率は約72%と他候補を圧倒しました。これで、鈴木市政の足下は固まりました。二期目は更なる飛躍が期待されます。残念だったのは投票率で、27.81%と非常に低かった。有権者の約4人に1人しか投票に行かなかったという結果でした。そこで、投票率について、質問します。市長選挙の投票率が低かったことについての理由や感想など、市長としてどのような認識をお持ちか、お聞きします。

【答弁】 鈴木市長

 前回より約7ポイント下回る結果となった。投票日のあいにくの天候も影響があった。今夏の参議院選挙から選挙権が18歳になる予定であり、若い人たちにも市政運営に興味を持ってもらうことが重要。先の市長選挙では、1期目を十分評価していただき、2期目の信任を賜ったと認識しており、今後の4年間も、市民の皆さんと行政との信頼関係を強め、市政運営のかじ取りを任せられた重責を全力で果たしていく。

 

(1) 投票率について ②主権者教育について 

 私は選挙には「争点」が明確であることが必要だと思っています。有権者にとって、候補者を選ぶ基準は様々あるでしょうが、いずれにせよ争点がないと、何のための選挙なのか、ということになります。争点がない選挙だと、あとは信任投票、という意義が残るだけになります。もちろん、現職に対する信任投票は、それまでの施政の通信簿のような意味合いとして重要であり、今回の市長選挙の結果はそのように見ることができると私は思います。

 さて、争点が明確な地方選挙というと思い浮かぶのが、沖縄です。国政レベル、それを超えた国際政治レベルである米軍基地問題が、自治体選挙の最大の争点になっています。沖縄の人々は、地方自治と国政、さらには国際政治との板挟みにあいながら、“自治とはなにか”ということを本土の私たちに投げかけつづけています。

 翻って、藤沢及び近隣市町において、湘南市構想が選挙の争点になったことがありました。湘南地方の合併の是非について、選挙を通して自治体の住民の意思が示され、湘南市構想は頓挫しました。国策だった市町村合併に対して、地方自治が機能した有意義な自治体選挙だったと思っています。

 これと反対に、市民の間で意見が分かれることをあえて争点にしない、という選挙戦術もあり得ますが、やはり選挙に打って出る政治家は、堂々と争点を掲げて有権者に信を問うべきです。でなければ有権者は判断材料がなくなってしまいます。本来争点になるはずの政策に対して、有権者が意思表示をすることができません。“争点隠し”は主権者としての意思表明の機会が奪われることを意味し、民主政治の否定になります。

 そして、その帰結として、有権者は投票する意義を見いだせず、ますます政治不信・政治離れを起こします。やはり、選挙というものは、根本的には政治家や政党が有権者に争点を示すことが出来るかどうかが問われているのではないでしょうか。自戒を込めて、そう申し上げたいと思います。

 一方、選挙に関して行政の役割についてです。市の選挙管理委員会としては、選挙を執行するとともに、選挙の啓発がその業務とされています。投票率の向上については、これまでも様々な取り組みがなされています。投票しやすい環境をどのようにつくるか、投票所を増やしたり時間を延長したり、期日前投票制度も導入されました。街頭キャンペーンなど様々な啓発・広報活動も行っています。それでも、投票率の低下には歯止めがかかりません。なかでも、若い人の投票率が低い。

 私が初めて運動員として国政選挙に携わったのは1995年の参院選挙で、まだ私は20代でした。その参院選の投票率は44.52%と過去最低で、中でも20代の投票率は25.15%と低さが際立っており、若者の政治への無関心が取りざたされました。

 しかし、20年後、20代だった私たちが40代になると、先の参院選の投票率は40歳代では50%を超えています。同じ人が、年をとると選挙にいくように変わるわけです。若い頃は、目前の仕事やレジャー活動に忙しく、社会全体を考える機会が少ないとしても、結婚して、子どもができて一家をかまえる。そのうち親の介護に直面します。自分が病気になることもあるかもしれませんが、今の社会はその支えが十分でしょうか。

 こうしてライフステージが進むにつれ、家庭や社会で様々な課題に直面し、政治に関心が高まるのでしょう。裏返して言えば、若い頃は政治に関心を持たなくても済む、ある意味で幸せな時代なのかもしれません。しかし、今、若い人たちの置かれている状況は大変厳しいものがあります。経済が低迷し、大学に行く費用を親に頼れず奨学金を借りて卒業しても安定した職がなかなか見つからない。正規の仕事に就けても奨学金の返済が重くのしかかり、借金があるので、付き合っている相手に結婚しようなんて言えない、という話も聞きました。 

 これでは、若い人も政治に関心を持たざるを得なくなる、と思うのですが、今の所は若い人たちの投票率は低いままです。いずれにせよ、将来の日本を支えて行く若者の声を政治に反映させなければ、この国の将来は暗いものになってしまいます。こうした中で、今年から18歳投票権がスタートします。世界では18歳になると投票権が持てるという国が主流で、ようやく日本もその仲間入りを果たしたわけです。こうした動きにあわせて、“主権者教育”という言葉がよく聞かれるようになりました。

 神奈川県では、シチズンシップ教育という名称で、主権者教育を進めています。シチズンシップ、市民意識・公民意識とでも訳すのでしょうか、一言で言えば「将来の良き市民を育てる」事を目標にしています。各県立高校において、政治参加教育、司法参加教育、消費者教育、そして道徳教育という4本柱で取り組んでいます。このシチズンシップ教育の教育研究推進校、つまりモデル校の一つが湘南台高校で、先進的な取り組みを行い全国的にも注目されています。私たち市議会としても、湘南台高校と連携し、政治参加教育で何かお役に立てないか、検討を始めたところです。先月、私は広報広聴委員会の委員長として、同校にうかがい授業を見学させて頂きました。

 生徒が、新聞記事から自分が興味を持ったテーマを選び、パソコンを用いてweb siteを閲覧して多方面から調査し、最後は自分で価値判断をして文章を書く、という授業でした。目標は新聞に投書することで、実際に同校の生徒の文章が新聞の読者投書欄に掲載されており、所期の目的を達成しています。

 この授業は、チームティーチングといって複数の先生が担当することが特徴です。社会科の先生が全体をみて、国語の先生が文章の書き方を教える、というもので、生徒は自分の考えを隣の席の子に10分で説明するように、と指示をされていました。生徒達は、自分の考えを説明して、そして人の説明を聞く。そうして、自分の考えがまとまっていく訳です。実に良く考えられた授業だと感じました。

 シチズンシップ教育は、社会科・公民が中心になりますが、ここでは教科の枠を超えた広義のシチズンシップ教育を掲げて、学校全体で取り組むこととしています。私たちに説明をしてくれた川口校長先生は「先生だって市民、主権者でもある。生徒の質問に対して『自分は理科の教師だから政治はよく分からない』じゃ困るのです」と仰っていました。

「その際、教師が生徒に自らの価値判断を披露することは、その影響力を考えると、慎重にならなければならない」「賛否両論あることを示して、生徒自身が結論を出せるように導く指導を心がけている」とのことでした。ただし「戦争はイカン!ということだけは、私はハッキリと言います」これには賛否はない、という事でしょうか。このように、社会問題を自ら主体的に考えることが出来るような教育を行うことが、市民の政治意識を高める王道なのだと思います。

 そこで、質問です。

 総務省は、駅前などに“共通投票所”制度を創設するなど、投票環境の向上を打ち出しています。このような環境整備は、投票率向上に有効であり、課題も多いと聞きますが、ぜひ実施するべきです。そして、やはり王道は主権者教育ではないでしょうか。選挙権年齢の18歳への引き下げにともない、よりいっそう若年層への選挙啓発が重要で、他市では、若い人が投票率向上のための実行委員会を組織している例もあります。藤沢市選挙管理委員会としても、教育委員会などと連携し、積極的に主権者教育に取り組むべきだと思います。考えをお聞きします。

【答弁】 高橋選挙管理委員会事務局長

 現在、高校の教育現場では、総務省と文部科学省が作成した副教材を活用し、選挙に関する主権者教育が進められていると認識している。選挙管理委員会としても、この機会を若年層の投票率向上につなげたいと考え、高校と協調して啓発ができるよう、学校側と協議してきた。2月には、市内の私立高校に職員が出向き、18歳選挙権及び公職選挙法についての出前講座を実施した。

 次に教育委員会と連煙いた取組ですが、小学校では、1月から新たに6年生を対象にした「ふじさわ選挙教室」の中で、模擬投票を体験してもらった。今後、複数の小学校で実施していく予定。中学校では、選挙器材の貸し出しを継続するとともに、学校側から要請があれば、選挙関係資料の提供もしていきたい。この他、市内4大学へは今回の市長選挙から、投票日周知ポスターを掲示してもらい、今後、選挙公報の配架などもお願いていく。

 

(2) 市政運営について ①憲法集会について 

 藤沢市は、かつての葉山市長、革新市政時代に“平和、民主主義、基本的人権の尊重をうたった日本国憲法の精神をその基調におき、市民自治と市民生活優先の原則のうえに立って”と総合計画に明記し、憲法を市政にいかす施策展開を試みていました。革新市政の特徴として、非核反戦、福祉の充実、緑と環境保全、文化、そして市民自治の確立があげられます。これらは今になってみると、市行政として当然求められる政策をまっすぐに追求していた、オーソドックスなものにも思いますが、当時としては先進的であったかと思います。

 そして、日本国憲法の理念、三原則を中心に、憲法は抽象的なものではなく暮らしに関わりが深いのだ、ということを市民と共有するために毎年集会を開催していました。“憲法記念市民のつどい”と銘打って、葉山市長が就任した昭和47年から市長が替わった後も続けられていましたが、平成20年、前市政の時に打ち切られました。理由として、憲法の精神は浸透したので「憲法記念市民のつどい」は役割を終えた、という説明です。まず“この憲法記念市民のつどい”の評価について、見解をうかがいます。

【答弁】 竹村企画政策部長

 「憲法記念市民のつどい」は、憲法の制定を記念し、憲法を身近なものとすることを目的に、講演を中心として、昭和47年度から平成20年度までの36年間で38回開催された。このことで、多くの方々が憲法を身近に感じ、重要性を認識いただけたものと考える。また、平和の輪をひろげる実行委員会はもとより、様々な市民の方々と共同して事業を実施する中でも、憲法の精神が浸透したものと捉え、「憲法記念市民のつどい」は、当時の整理として、一定の役割を終えたとされたもの。

 

ひきつづき質問 

 私は、戦後70年が経ち、首相が憲法改正に意欲を示し、国のあり方を転換しようとしている今こそ、日本国憲法の意義、とりわけ平和・民主主義・基本的人権の尊重について、多くの国民、市民が、再認識する時だと考えます。

 私たちは、我が党の阿部とも子衆議院議員が音頭をとり、昨年9月から“憲法フォーラム”と題した講演会をおこなっています。これまで3回開催し、それぞれ憲法学者の先生、歴史家の先生、そして現職の代議士を招き講演していただきました。3回とも多くの聴衆が訪れ、市民の関心の高さを実感しています。この催しは私たち政党人が行う集会ですので、当然ながら政治色丸出しで、現政権に対しては批判的な立場が明らかなものです。また、過去の革新市政時代の、市主催の“憲法記念市民の集い”については、極端な政治色はなかったかと思いますが、“護憲”という政治的立場は明確でした。 

 これまで、憲法を巡る議論になると、どうしても“改憲”“護憲”という、いわば観念的な対立構造になるのは避けられませんでしたが、昨年の安保法制を巡る議論から、新たな争点が生まれました。“立憲主義”がそれです。現政権は憲法第9条の“解釈の変更”により、戦争放棄を掲げているわが国が、他国とともに戦うという“集団的自衛権”を行使できることにしました。

 このことが、憲法にもとづく政治、法の支配という近代以降の国家運営の常識、すなわち立憲主義にもとる、と批判をよんだわけです。こうして、“立憲主義”が憲法議論の中心に躍り出てきました。従来の改憲、護憲ということではなく、立憲主義とは何か、そもそも憲法とは何か、ということに関心が高まったのが、この間の議論の特徴だと思います。憲法についての国民的関心を高めた、これは現政権の功績だと私はある面で評価をしているところです。

 首相が意欲を示す憲法改正は、国会議員の2/3の賛成で発議され、国民投票にかけられます。憲法を改正するのか、しないのか。最後は国民にゆだねられるのです。発議後、60日から180日以内に投票日が設定されますが、その間に国民投票運動が行われます。改正に賛成、反対、さまざまな意見が表明され、国民の判断材料になるわけです。

 そうした状況も、現実味を帯びてきました。その時は、私は護憲の立場で運動することになるでしょうが、結果はどうあれ、国民が憲法について真剣に考える事は、私はこの国の民主主義にとって大変良いことだと思います。そして、その際、市の主催による憲法集会が果たす役割は非常に大きいと私は思います。私たちのような特定の政治的な立場に立たない、市行政が主催する憲法について啓発する集会、賛否双方の論者の意見をしっかり聞けるような政治的に中立な集会、どうしたらよいのかみんなで考えるような集会は、特定の支持政党を持たない、多くの市民が求めるものだと思います。

 市民が憲法について、今一度よく考える機会をもてるような、市主催の憲法集会を実施する好機だと考えます。市の見解をお聞きします。

【答弁】小野総務部長

 現在、本市では、憲法を考える機会の提供は検討していないが、憲法は98条に「この憲法は、国の最高法規」であると定められており、今後も憲法に関しては、法の枠組みの中で、国政の場で議論が進むものと考える。

 

(2) 市政運営について ②市政運営を担う職員について

 市職員の処遇、とりわけ賃金水準については、給与制度の総合的見直しを含めた人事院勧告の取り扱いについて、一定の給与水準を確保する内容の条例改正案が今議会に上程されました。全国的に見れば、給与制度の総合的見直しについては、本来あるべきではない国の介入により、多くの自治体で賃金水準が引き下げられておりますが、これまで、我が会派の大矢議員が指摘している通り、藤沢市として、一定の水準を確保する判断をしたことについては評価をするところです。

 しかし、市政運営を担っているのは、市だけではなく、市民、NPO団体、民間企業、大学、など、市長の仰るマルチパートナーシップにより運営がされており、とりわけ出資財団の役割は市に準ずるものと言えます。そこで質問です。市が出資している財団も市政運営において大きな役割を担っていると考えますが、市の認識を伺います。

【答弁】 小野総務部長

 本市が出資団体は、行政の補完的な役割を担う団体として、柔軟かつ効果的に市民サービスを提供することを目的として設立された団体。その後、平成15年の地方自治法の改正による指定管理者制度の導入や、平成18年の公益法人制度改革、出資団体の統廃合などの改革を経て、現在の姿となっている。各財団については、行政の補完的役割にとどまらず、公益法人として担っている、新たな公益的価値を創造できる存在と捉えている。

 

ひきつづき質問

 市と同様に公共を担う財団職員についても、市民サービスの向上のためにはモチベーションの確保が大切です。しかし、直接複数の団体職員から話を聞いたところ、平成26年度からの給与の見直しで、賃金水準の引き下げが行われ、出資団体職員のモチベーションは非常に低下している実態があります。というのも、出資団体職員の賃金水準は、市職員の給料表の現在の8号に当たる、2号下位に位置づけていました。

 しかし、給与の見直しにより市職員と同様の給与カットに加えて、ここが大きな問題ですが、市職員は1年で4号昇給するところ、財団職員は3号または2号しか昇給しないとされました。このような昇給抑制が510年と続くと、市職員と財団職員の給与格差がどんどん拡大し、市と同様に行政サービスを担っている財団職員のモチベーションが低下するのは当たり前です。

 更に、今回の市職員給与改定と同様の見直しを提案されたと聞きましたが、市職員の年齢構成と違い、財団が設立され新規採用してから、まだ定年退職者が出ていない、いわば年齢構成が一巡していない途上の組織なのです。つまり、市と同様の見直しの場合、現行の賃金水準が維持できない可能性があります。まずは、市職員の賃金水準と財団職員の格差を広げるような昇給抑制は廃止するべきです。そして、今回の見直しについても、財団職員の年齢構成を踏まえて、一定の賃金水準が確保されなければなりません。市の見解を伺います。

【答弁】 小野総務部長

 出資団体に対しては、健全経営を維持し、雇用の安定を図る観点から、独自の人事給与制度の構築を求めている。それぞれの団体が、主体的に本市職員の給与水準や団体の経営状況、民間同種同業者の状況などの総合的な観点から検討し、関係団体との協議により決定されるものと考える。

 

ひきつづき質問 

 職員のワークライフバランスについて。ワークライフバランスの推進という方針が示されても、実際にはかけ声倒れになっているのではないでしょうか。ワークライフバランスを推進するためには、年休取得の促進と時間外勤務の縮減は必須であり、今回は、こういった視点を踏まえて、これまでも再三指摘してきた市民病院看護師の年休取得とサービス残業について伺います。

 まず、年休取得については、看護師の勤務は日勤と夜勤のローテーションであり、病棟看護師から、休日の希望を出してもらい、看護師長が、なるべく希望に沿って勤務ローテーションを組んでいると聞いています。この、休日の希望と言っても、これは一般職の土日に当たる週休日であり、年休ではありません。市役所と違い閉庁日がない病院は週休日が希望通りになるかならないか、その上で、年休が希望通りとれるか、なかなか難しいとは思います。

 しかし、ワークライフバランスの観点からすれば、いかに病棟看護師の休み希望に沿える勤務ローテーションを組むか、看護師長に最大限の努力と工夫が求められているのです。子育てに関する休暇制度も同様で、いかに、子育てをしながら働き続けることができる環境をつくるかが、看護師長の役割であり責任でもありますが、実際の職場がそのような状況になっているのか大変疑問です。看護師のワークライフバランス推進の観点から、年休取得の改善について、伺います。

 続いて、サービス残業についてです。市民病院は、昨年1127日付けで労働基準監督署から是正勧告を受けました。法とモラルを守る藤沢市としては、あってはならないことです。本来なら速やかに議会に報告すべき内容だと思います。是正勧告の内容、勧告に対する市の対応状況について伺います。

【答弁】 永井市民病院事務局長

 500人規模の看護師がローテーション勤務により、24時間365日、定められた看護師数となるよう継続して配置する必要がある。そのため、看護師長は、在籍する所属職員から研修や学会の参加予定のほか、リフレッシュ休暇等の特別休暇を含めた本人の休み希望を聞き取ることにしている。早出、日勤、遅出、準夜勤、深夜勤と多様な勤務区分に加え、週休日、そして本人が希望する年休を組み合わせて勤務表を作成していくが、定められた勤務時間や夜勤回数、経験年数を考慮したチーム編成としなければならないため、看護師長は大変苦慮しながら作業をしている。

 議員指摘の通り、職員の休み希望が週休日となる場合もあるが、職員間の年休取得日数がある程度公平になるよう、バランスを考慮しながら勤務表を作成していることも事実である。今後は、年休が取得しやすい職場風土を構築していくとともに、できるだけ本人の希望通りに年休が取得できるよう、看護部内で引き続き工夫・検討をしていきたい。

 続いて、労働基準監督署からの是正勧告については、昨年11月に藤沢労働基準監督署による立入検査を受け、看護部職員の時間外勤務命令票の業務終了時間と電子カルテ入力時間の齟齬を指摘された。その結果、「労働者申告の時間外労働時間数と実際の時間外労働の状況が異なることから、確認のうえで、遡及して支払うこと」との勧告と、「労働時間を適切に把握する方法を検討し、その結果を報告すること」との指導を受けた。

 この勧告と指導を重く受け止め、改善に向けて、病院内のみならず、関係団体を含めた検証会議を設置し、指摘事項に対する取組方針の確認と進行管理を行うこととした。具体的には、病院全職員に対して、各所属長が個人面談を行い、適切な時間外勤務の確認行為と過去2年間に遡って、職員が認識する時間外勤務の申請漏れがないかの調査をしている。特に看護部は、職員数が多いことから、面談を行う看護師長により対応が異ならせないようにマニュアルを作成し、慎重に面談をしている。また、職員からの相談等に応じる体制としては、院内はもとより、関係課及び関係団体にも相談窓口を設置していただき、問題の速やかな解決に努めている。

 

ひきつづき質問

 現在、看護部職員のヒアリング調査をしているとのことですが、このサービス残業の課題については今始まったことではなく、専門職意識が強いことに加えて、厳しい上下関係がもたらす間違った労務管理が原因であり、そこの意識を変えない限り改まらないのではないでしょうか。他の人より仕事が遅いなどと指摘され、実際に時間外を付けられるのは3時間までと言う看護師は1人や2人ではありません。これは大変大きな問題です。今回の労働基準監督署からの是正勧告を契機に、看護部職制の抜本的な意識改革を進め、これまで当然視されていたサービス残業を撲滅すべきです。サービス残業撲滅に向けた、鈴木市長の決意を伺います。

【答弁】 小野総務部長

 法令遵守を進める本市としては、使用者責任の観点から、あってはならないものであると認識している。今回の是正勧告を真摯に受け止め、市民病院看護部においては、職場風土の再構築に向けた労務管理を改善することはもとより、全庁においても、時間外勤務を命令する際の、「事前命令」と「事後確認」を再度徹底するよう周知していく。

 

ひきつづき質問 

 政策法務について、2000年の地方分権一括法施行により、自治体は国と対等な関係となり、権限も拡大しました。それにともない、自治体職員の政策立案能力の向上、なかでも、政策法務能力の向上が求められるとされています。政策法務とは、まちの課題を解決するために、自主立法すなわち条例が必要か、また、自治体の実情にあった運用をするように法の解釈を工夫するなど、市民サービス向上のために、法令を積極的に活用するという“攻めの法務”ということになります。

 政策条例としては、ポイ捨て防止条例、路上禁煙条例、土地開発のルールを定めた“まちづくり条例”などがあります。法の自主解釈では、例えば、公共の場所での屋台の利用を定めた自治体独自の運用などがあげられます。屋台で飲食物を提供する場合、道路管理、保健所など、縦割りでそれぞれ法の運用があるわけですが、これらを市で解釈運用し、独自ルールを定めて営業を許可する、という例もあります。

 さらに、これから自治体は、鈴木市長が掲げる“マルチパートナーシップ”、民間企業や団体などと協働して事業を展開する機会が増えていくと思いますが、そうした際の責任の所在、リスク分担などにも、法的な根拠を元に判断することが求められます。とはいえ、市職員は、市民サービスの専門家であっても法に精通しているかといえば、必ずしもそうとも言い切れないのではないでしょうか。

 公務員は、日々の業務は全て法に基づいて行なっている建前ですが、法的な判断に迷うこともあると思います。一義的には、職員自身の法的能力を高めることですが、やはり弁護士などの法律の専門家のアドバイスを受けることができれば、職員も法の裏付けを得て自信をもって仕事ができるでしょうし、確固たる根拠に基づいた市政運営が、市民から信頼される市役所につながります。

 そのために、市では顧問弁護士と契約し、職員の相談を受け付けているとうかがっています。市には訴訟リスクもあり、外部の弁護士と顧問契約を結び訟務に対応するのは理にかなっています。しかし、顧問弁護士に法律相談をするといっても、日常的にいつでもというわけにはいかないでしょうし、条例制定や政策へのアドバイスは想定していないのではないでしょうか。 

 兵庫県の明石市、ここでは5名の弁護士を採用しています。人口30万人ほどの市では異例の多さですが、“犯罪被害者支援条例”や“障がい者のコミュニケーション促進を図る条例”など、特徴的な条例制定を行っています。法に精通した専門職員を配置することで、ともに働く職員も法的な物の見方や考え方、書面の作成など、職員全体、市全体の法務能力が向上することを意図している、との事です。

 5名の弁護士を配置することにより、市民向け法律相談も充実し、体の具合が悪くて出かけられない人には、自宅まで弁護士が出向き相談を受けるなど、市民サービス向上にもつながっています。明石市のように5名の弁護士を採用し直接市民の相談に乗るという例は希で、任期付き職員として弁護士を採用している自治体の多くは1名の配置となっています。 

 それでも、一般の職員と弁護士が同じ職場で一緒に働くことで、弁護士から法的能力やノウハウを吸収でき、間違いなく職員力の向上につながるでしょう。そして、法に基づいた政策判断、市独自の条例作りなど、市全体の法的能力が高まると期待します。市民から「建物の高さを規制する条例をつくれないものか」などの意見をよく聞きますが、法で認められている建築物を市条例で規制することは出来ないのです。国立市がマンションの高さを制限し、法を超えた規制をしたとして市長が損害賠償を請求され高裁は賠償を命じました。報道によれば、元市長は上告し争う姿勢とのことです。

 さて、こうなると、条例って何?結局、全国一律の法の前では市長の権限も及ばず、地域にあったまちづくりなど出来ないのか?と市民が落胆するのも無理もないと思います。市の規制により、業者に訴えられ敗訴するようなことはあってはなりませんが、さりとて訴訟を過度に避けるあまり、市民のまちづくりへの機運を削いでしまうのもいけません。自治体立法、積極的な法の運用・解釈を可能な限り追求し、市民の期待に応える市政をめざすべきです。そうした、“攻めの”政策法務を進める際、常勤の弁護士がいると心強いのではないでしょか。市の政策法務能力を充実するために、弁護士を常勤の職員として採用することについて、市の見解をお聞きします。

【答弁】 小野総務部長

 本市では、法的な視点からの指導、助言を受けるため、非常勤職員として3人の顧問弁護士を置いている。各課の職員が、直接顧問弁護士に相談し、課題や問題の解決に向けた指導、助言を受けることにより、市の適切な事務の執行に加え、市全体の法務能力を向上させる機会ともなっている。

 弁護士を常勤の職員として採用することについては、法律相談や訴訟への対応という視点からは、現在の顧問弁護士の体制は十分に機能していると考える。しかし、他市においては、政策法務の充実のために、弁護士を職員に採用する例も出てきているので、本市でも、弁護士を常勤職員として採用することのメリット、デメリットについて研究していく。

 

(2) 市政運営について ③課別・事業別財務諸表について

 東京都町田市は、他市に先駆けて複式簿記を導入し、課別や事業別の財務諸表を作成し、それを行政評価シートという形で成果とともに公表しています。複式簿記により財務情報が明らかになり、それを事業の成果と組み合わせることで効果的な事業評価シートを作成しています。

 同じような施設、例えば、本市でいう市民センター・公民館がいくつかありますが、それぞれ施設毎に財務諸表を作成することにより、コスト比較ができるようになります。市民センター毎にコストを比較することにどういう意味があるのか、例えば、利用者一人あたりのコストは人口が多い中心部のセンターの方が安いかもしれませんが、仮に市の中心部から離れたセンターの方がコストが高かったとしても、市民の利便性という点では正当化されるかもしれません。いずれにせよ、ありのままの財務情報を示さないことには経営的な分析は出来ませんし、事業の正確な効果測定もできません。

 また、ある施設の1日あたりのコストもわかりますし、美術館でいうと、建物よりも収蔵美術品のほうが価値がある、など、市民の税金で運営されている施設がどのような財務状態なのか、市民にも非常にわかりやすく、当然ながら職員の事業に対する理解も深まることになります。

 実際、町田市の担当の方の説明では、課別・事業別・施設別の財務諸表を作成することにより、各事業や施設の経営的な分析が可能となった他、職員の意識改革にも効果があったということでした。そして、各課の課長さんは自らの課の財務分析について5分で説明できるように研修をおこなっており、説明責任を果たすという点でも見事な取り組みを行っています。

 ここまで財務情報が明らかになれば、市民も税金の使われ方をより正しく意識できるようになります。図書館で本を1冊かりたらいくらのコストなのか、児童クラブの運営に1人あたりいくらかかっていて、その財源はどこから出ているのか。市にとって最優先すべき施策は何か、真剣に考えるようになり、納税者としての意識、まちづくりの主体だという意識を醸成することができるのだと思います。それに、そもそも市民の税を預かる自治体には、市民にわかりやすい・正確な財務情報を提供する義務があるのではないでしょうか。本市でも課別・事業別の財務諸表を作成するべきだと考えます。来年度に実施される地方公会計改革に対して、本市はどのように取り組んでいくつおつもりか、見解を伺います。

【答弁】 関口財務部長

 本市としても、公会計改革に伴う複式簿記の導入により、事業別や施設別の財務書類を作成することが可能になることは、市民に分かりやすく説明できることにつながり、予算編成等にも活用できると考える。いずれにしても、平成29年度に統一的な基準による藤沢市全体の財務書類を作成するので、それ以降、どのように事業別などの財務書類を作成していくか、また、具体的にどのように活用していくか、先進都市の事例も参考にしながら検討していく。

 

(3) 2020東京オリンピック・パラリンピックについて ①平和の祭典にふさわしい藤沢市のアピールについて

 オリンピックは地上最大のイベントであり、全世界が注目しています。藤沢を発信する絶好の機会であり、ぜひ有意義なものとなるよう、市の取り組みには大いに期待しています。オリンピックは“平和の祭典、”とも言われます。大会組織委員会のウェブサイトには、“オリンピックの精神”とは「スポーツを通して心身を向上させ、文化・国籍などさまざまな違いを乗り越え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって、平和でよりよい世界の実現に貢献すること」との説明がありました。「スポーツを通じて平和でよりよい世界の実現をめざす」まさに、平和行政の伝統を持つ、本市に相応しいイベントであると思います。

 藤沢市は、非核宣言自治体の副会長市として、広島、長崎とともに非核への取り組みを積極的に行ってきました。藤沢市は、湘南の海と富士山という美観、遊行寺や東海道など歴史的資源に恵まれていますが、“世界へアピール”となると、人類の普遍的な価値・めざす理想として非核都市・平和都市であると打ち出すことが最も意義があり効果があると私は思います。非核都市として世界にアピールすることについて、市の見解を伺います。

 また、平和の祭典オリンピックの場において、排外主義的な行為は絶対に起きてはなりません。我々は言葉が通じなくてもスポーツを通して友情を育むことができる一方で、自国の応援をするあまり排外主義に陥ってしまう、例えば浦和レッズサポーター事件のような事も起きます。

 平和の祭典、オリンピック憲章にもとるような差別やヘイトスピーチなど、排外主義をあおる行為が断じて起きないよう、藤沢市として取り組む必要があると考えます。見解を伺います。

【答弁】竹村企画政策部長

 本市は、昭和59年の日本非核宣言自治体協議会設立時に幹事として加わり、平成26年6月には、設立30周年の記念事業を本市で開催し、また、昨年4月には、協議会の代表として、ニューヨーク市の国連本部で開催されたNPT再検討会議に向けた、核兵器廃絶のアピール活動を行ってきた。オリンピックのセーリング競技が本市で開催されるので、長年にわたる核兵器廃絶に向けた取り組みの実績をアピールできるように検討していく。

 また、特定の民族や国籍の人々を排斥する言動、いわゆるヘイトスピーチについては、人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく、行為の対象となる人々の尊厳を傷つけたり、差別意識を生じさせるもので、許されるものではない。東京オリンピックを踏まえ、国や県、近隣自治体とも連携し、ヘイトスピーチなどの排外主義的な行為が行われることのないよう、啓発に努めていく。

 

(3) 2020東京オリンピック・パラリンピックについて ②体罰など非科学的な指導の問題について

 スポーツにかかわって、私たちが克服を求められている課題として、1つは先ほど申し上げた排外主義、もう1つは体罰に象徴される非科学的な指導のあり方の問題だと思います。体罰、精神論で競技力が向上しないのは明らかですし、そのような指導を受けた子どもの心身に、看過できない悪影響が残ります。オリンピックを契機に、スポーツ科学に裏付けられた指導法の研究・啓発をさまざまな場面で進めるべきだと考えます。見解を伺います。

【答弁】 中島生涯学習部長

 スポーツは科学的根拠に則った適切な指導に対する認識を高めていくことが重要と考える。競技スポーツの分野では、本市の体育協会、医師会、スポーツ少年団との連携や、中学校体育連盟など学校関係者との情報共有を図る中で、また、地域スポーツ分野では、スポーツ推進委員に対する研修や講習の充実を図るなど、科学的な手法を取り入れた指導方法の啓発・普及を「スポーツ推進計画」の実施計画に位置付け、取り組んでいる。

 

(4) 都市計画 ①いずみ野線の延伸について

 相鉄いずみの線の延伸については、神奈川東部方面線を介して藤沢市北部が東京都心部と直結するものとなり、多くの市民が期待しています。しかし一方で、その延伸部分の建設は相鉄だけでなく藤沢市も出資する第三セクターによるものになるのではないでしょうか。そして、こうした第三セクターは、過大な旅客需要と過小な建設費の見積もりにより赤字となり、自治体が巨額の負債を抱え込む例が少なくありません。藤沢市がその轍を踏まぬよう、とりわけ先例となる自治体の例を慎重に調査する必要があるのではないかと考えますが、市の見解をお聞きします。

【答弁】 高橋計画建築部長

 いずみ野線の延伸は、本市の西北部地域のまちづくりにとって重要な事業。新駅周辺のまちづくり計画については、駅の位置、ルートなど具体的な実施計画はできていないが、沿線地域でのまちづくりが進むことで、新たな定住人口の増加や、来街者を増やすなど鉄道需要にも資するまちづくりをめざしている。一方、鉄道の延伸については、既存制度の適用範囲の拡大や新たな補助制度の展開について関係機関に働きかけをしている。今年2月には県知事が国交省に対して、いずみ野線が優先度の高い路線として盛り込まれるよう要望したと聞いており、本市としても県と連携して要望をしていく。

 他市の鉄道延伸の事例については、膨大な建設費を抱える一方で、人口減少や高齢化社会の進展など、鉄道利用者が増えず、赤字が累積し採算性が厳しく公的負担を行っている状況となっている。いずみ野線延伸の実現に向けては、今後とも県と鉄道事業者と連携しながら、他市の事例なども参考に、事業の採算性が確保できるよう検討を進めていく。

 

(4) 都市計画 ②鉄道事業者とのパートナーシップについて

 藤沢市の表玄関である藤沢駅は、言うまでもなく市内最大の駅であり、1日平均乗降客数は小田急が159,074人、小田急線全体で5位、県内では2位JR東日本では105,361人で全体では32位、県内で5位と神奈川県内でも有数の鉄道駅です。両社、とりわけ小田急電鉄にとっては中核をなす駅と位置づけられる存在であると認識しています。小田急電鉄の長期事業計画には、“観光地間競争に打ち勝つための既存コンテンツの強化・利便性向上策を推進します”と、箱根と並び江の島・鎌倉が観光事業の柱に位置づけられており、オリンピックを控え、今後の事業展開が大いに期待されます。

 現在、鉄道事業者と藤沢市の間で、駅の再開発などの検討が進められています。藤沢市にとっては市民の利便性の向上・にぎわいの創出、鉄道会社にとっては利用者の増加など双方にメリットがありますが、藤沢駅を中心とした藤沢都心部の再活性化、また片瀬江の島エリアの発展は、小田急電鉄やJR東日本の方針にかかっている、と言っても過言ではないでしょう。

 藤沢市に対する、鉄道側の投資意欲を高めるよう、市としてあらゆる手段を尽くして連携を強める必要があると考えます。鉄道事業者とのパートナーシップ強化について、市の考えを伺います。

【答弁】 高橋計画建築部長

 市と鉄道事業者が、駅舎の機能強化のみならず、駅周辺を整備することで、市民や来訪者の利便性、快適性が向上するとともに、まちの賑わい創出や活性化、鉄道利用者の増大、サービス向上などにつながることから、両者にとって相乗的な効果があると考える。今後もパートナーシップをもって事業の進捗を図っていく。

 

(5) 福祉について ①障害者差別解消法の施行に向けた取り組みについて

 4月の障がい者差別解消法の施行にともなう藤沢市のこれまでの取り組みは、全国的にも高い評価を得ており、引き続き「共に生きるまちづくり」に力を入れていただきたいと思います。先日の厚生環境常任委員会で、職員サポートブックなどの取り組みを説明して頂きましたが、ここであらためて職員対応要領の策定状況など、市の推進体制について伺います。

 また、実際に差別事例が生じた際の解決のしくみについて、どのように考えているか、伺います。

【答弁】 佐川福祉部長

 障がい福祉課が事務局となり、庁内関係課で構成する「(仮称)藤沢市合理的配慮庁内調整会議」を設置し、合理的配慮の提供に係る市としての総合的な判断をしていく。本市の職員が事務事業を行うに当たり、職員一人ひとりが遵守すべき服務規律としての「職員対応要領」を新たに定めた。全ての市の職員が率先して障がい者差別の解消に取り組んでいく。

 具体的に差別が発生した場合の課題解決の仕組みづくりについては、平成28年7月を目途に、障がい当事者や家族、市内の行政機関、民間企業関係者等で構成する「(仮称)藤沢市障がい者差別解消支援地域協議会」を設置していく。

 

(5) 福祉について ②新総合事業について

 介護保険法の改正による新総合事業については、2017年4月の完全移行に向けて2016年10月から本市でも一部が始まると昨年の12月定例会で説明をいただきました。事業者の方から、事業の継続について不安がある、10月の移行に向けて体制整備をしなければならないが時間がない、などの声を聞きました。利用者の方も、これまでのサービスが受けられるのか、自己負担が増えるのか、不安を漏らしています。そこで、まず新総合事業の進捗状況と把握している課題についてお聞きします。

【答弁】 佐川福祉部長

 新総合事業の進捗については、「介護予防・生活支援サービス事業」は、訪問型サービスおよび通所型サービスを、まずは現行と同様のサービス内容で新総合事業へ移行し、さらに、訪問型サービスは、従事者の資格要件を緩和した基準を設け、新たなサービスを導入していく。現行の介護予防事業は、一般介護予防事業へ移行していく。現在は、事業実施に向けた、具体的な制度設計を、庁内専門部会で進めるとともに、事業者や市民へアンケートおよび説明会を実施し、円滑な移行が図れるよう準備を進めている。

 課題としては、地域住民などの多様な主体によるサービス体制を構築する際に、介護保険制度の知識や高齢者への対応等のスキルを備えた担い手を確保することや、継続性のあるサービス提供を担保することが重要と認識している。

 

ひきつづき質問

 課題を解決するための市の考えについて、お聞きします。

【答弁】 佐川福祉部長

 利用者アンケート結果を踏まえ、各地区ですでにボランティアなどの活動をしている団体や自治会等住民の方々と十分に意見交換を行い、サービス提供体制の構築を進めていく。また、地区により大きな差が生じないよう、全市的に対応ができる担い手の確保についても、既存の団体等に協力を得ながら進めていく。

 

ひきつづき質問

 “地域包括ケアシステム”の考え方として、自助・互助・共助・公助、という費用負担による区分が示されています。共助は介護保険など保険による支え合い、公助は税による負担で、制度上の裏付けがあるものです。しかし、2025年には5人に1人が75歳以上になる“超高齢社会”が到来し、医療保険・介護保険が逼迫することは確実で、共助・公助が期待できなくなるので、これまで以上に互助つまり地域での支え合いと、自助が求められることは避けられないでしょう。藤沢市は都市部ですが、一方で地域住民による支え合いが行われているところでもあり、この“互助”の部分に対する期待があるのだと思います。

 そこで質問です。 “新総合事業”とは、自助が強調されるよりも、公が住民同士の助け合い、“互助”を後押しするようなものと考えていいのかどうか。藤沢がめざす新総合事業とは、どのようなものになるのでしょうか、ご見解を伺います。

【答弁】 佐川福祉部長

 本市には、地域の縁側や地域ささえあいセンター、、ボランティアセンターなどの貴重な資源が多くあるので、その特性を十分に活かしながら、継続性のあるサービス提供体制を構築することで、まずは、地域全体で地域の高齢者を支える仕組みとして、事業を定着させていく。将来的には、「藤沢型地域包括ケアシステム」の理念である、子どもから高齢者・障がい者など全ての市民を対象とした、地域の人の輪による支えあいの体制づくりにつながる事業展開をめざす。

 

(6) 文化について ①ふじさわ宿交流館について

 “湘南の文化都市”と呼ばれた藤沢市の再興に向けて、“ふじさわ宿交流館”の開設には期待したいと思います。かつて藤沢宿は、江戸時代の“朝鮮通信使”が蒔田本陣に宿泊した国際交流のまちでもありました。日本と中国、藤沢市と昆明市との友好のシンボルとしては、ニエアル記念碑があります。そこで、韓国の姉妹都市である保寧市との友好のシンボルとしての意味もあわせ、“ふじさわ宿交流館”には朝鮮通信使の足跡もぜひ展示してほしいところです。市の見解を伺います。

【答弁】 中島生涯学習部長

 江戸初期の屏風絵で、朝鮮通信使が東海道を通行する姿が描かれているパネルを展示し、徳川将軍の代替わりごとに来訪した朝鮮通信使が、藤沢宿の本陣に9回も宿泊し、友好交流を深めるなど、国際的な一面があった等の解説をつける予定。

 

(6) 文化について ②文化芸術振興について

 市民会館を中心とした文化ゾーンの今後についてお聞きします。これまで藤沢市の所蔵する美術品や文物の多くがあまり展示される機会もなく埋もれていました。これらを展示し、音楽と美術が一緒になった、芸術文化の拠点となるような施設が求められると思います。

 水戸市の芸術館は、一つの見本になると考えます。音楽専用ホールと美術館、まさに“芸術”の殿堂です。市の公共施設整備の方針として、複合化することが謳われています。例えば、市民会館を、市民の発表の場としての性格が主であるとするならば、いわば“公民館の親分”、中央公民館的なものになるでしょう。その際には、青少年の施設や他の市民利用の施設との複合化もいいかもしれません。

 しかし、音楽の殿堂、それこそ万単位のチケットになるようなオペラの公演を招聘できる施設を想定するならば、複合化といっても、それに相応しい、先ほど述べたような美術館のような文化施設が望ましいと思います。文化施設と一口に言っても、施設のあり方は様々です。市民会館の建て替えを中心とした文化ゾーンの再整備について、どのような施設を想定しているのか、市の考えをお聞きします。

【答弁】 中島生涯学習部長

 市民アンケート、利用者ヒアリング、「藤沢市文化芸術検討委員会」での意見を踏まえ、市民会館の適正な規模や機能について調査・研究をしているところ。今後、新たな施設の検討に当たっては、市民会館を中心とした文化ゾーンが、演劇など舞台芸術の拠点である湘南台文化センターや、新たな美術の拠点として取り組みを進めている湘南C-X地区と有機的につながることにより、これまで培われてきた音楽を中心とする芸術文化の拠点施設としての役割に加え、ギャラリー機能等も含めた、より幅広く、魅力的な施設となるよう検討していく。

 

ひきつづき質問 

 市民会館の建て替え、文化ゾーンの再整備には、10年あるいはそれ以上かかるかもしれません。費用で言うと、数百億円規模の投資になるでしょう。ならば、すぐに建て替えられるとも思えませんので、市民会館については、市の文化芸術の拠点に相応しい機能を維持するために、大規模修繕を検討する時期だと思います。座席は狭いですし、水回りなども老朽化しています。雨漏りを起こしている箇所もあると聞いています。これでは、文化芸術の拠点の名折れです。また、市民会館は、成人式をはじめ中学校の合唱コンクールなどで使われ、市内の小中学校に通っていれば一度や二度は必ず訪れるところです。私は市民会館が本市の施設の中でも最も多くの市民に親しまれてきたものだと思っています。

 市民会館は藤沢市のシンボルです。今後10年、あるいはそれ以上使うことも想定すると、数十億円かけてでも、大規模修繕に踏み切るべきではないでしょうか。お考えをお聞きします。

【答弁】 中島生涯学習部長

 必要な改修工事や修繕を適宜実施していく。

 

ひきつづき質問

 文化芸術振興条例および計画について。私は、文化芸術こそ、まちづくりの中心に据えるべきだと思っています。文化芸術それ自体に価値があります。人間の良き部分が凝縮されています。文化芸術は、人間が人間らしく生きていく上で欠かせないものです。そして、文化は市民自治にとって、柱になり得るものです。自治体にとって、「住民が自らまちづくりを行う=住民自治の確立」は究極の目標です。

 冒頭述べた通り、藤沢での地方選挙の投票率は低迷し、住民がまちづくりへ参加するという機運が高いと言える状況ではありませんが、自治体の主体である「住民」が、まちづくりの担い手としての「市民」意識を持ち、自らが望ましいと考えるまちをつくりあげていけるかに自治体の将来がかかっていると私は思っています。 

 そうした、市民主体のまちづくりの例として、市民オペラの総指揮を務めた福永陽一郎氏をあげたいと思います。「市民オペラ」は「文化都市藤沢」の象徴的事業です。1973年に市民会館開設5周年事業として「フィガロの結婚」が第一回目の上演作となり、以来5年に2回というサイクルで22回を数えます。このような大がかりな事業が展開できたのは、藤原歌劇団の福永陽一郎氏の存在が決定的でした。

 ここで、葉山元市長と福永氏との出会いについて、紹介したいと思います。葉山が市議に当選した1959年、市民オーケストラをつくる運動をはじめ、藤沢に居を構えていた福永氏に指導を依頼し、快諾を得ました。このときの模様を福永氏は「私は友人にすすめられて藤沢に住むようになったんです。始めは正直いって市民意識はなかった。寝に帰るだけのベッドタウンと思ってましたから。しかし、この市民オケが契機で藤沢市民の自覚ができ、ここでやらなくちゃいけないと思うようになったのです」と語っています。 

 現在の藤沢市民交響楽団のウェブサイトを見ると創立指揮者の故福永陽一郎氏の熱心な指導により藤響の基礎が築かれて以来、単に音楽愛好家のサークル活動という枠にとらわれず、藤沢市の芸術文化の高揚をめざして活動を続けてきている”とあります。文化には、住民を「市民」へと自促す力があるのではないでしょうか。そして、その市民が、市民による市民のためのまちづくり、市民自治をつくっていくのだと思います。

 そこで質問です。文化芸術振興条例を制定している自治体が増えています。藤沢市も、文化芸術をまちづくりの中心に据える意気込みで、文化行政に取り組むべきだと考えます。その際には、市の姿勢を示す意味でも条例をつくることが効果的であり、その条例を具現化する計画も合わせて策定することになると思います。条例及び計画について、市の見解を伺います。

【答弁】 中島生涯学習部長

 現在、県内では県の他、11の自治体が文化芸術振興施策についての計画や指針を策定している。平成28年度には、学識経験者や文化団体関係者等を委員として、計画等の策定に係る検討委員会を新たに設置し、本市の文化芸術のあり方について、検討を進めていく。

 

(6) 文化について ③市民オペラについて

 いまご紹介した、福永陽一郎氏が丹精込めてつくってきたのが、市民オペラです。福永氏の意志は脈々と受け継がれており、藤沢市民オペラは不動の評価をいただいていますが、各地で市民オペラが誕生し、今や世間では“市民オペラと言えば藤沢”というイメージではないかも知れません。とはいえ、日本での市民オペラのパイオニアは藤沢です。その事を世間に知ってもらうため、そして市民にも再認識して頂くため、何より藤沢の文化芸術を盛り上げあるためにも、例えば“市民オペラ祭”のような催しを開催してはいかがでしょうか。

 各地の市民オペラを藤沢に招き、それぞれが上演するのもいいですし、あるいは共演するのも面白いかもしれません。また、姉妹都市のマイアミビーチのバレエ団は、全米でもトップクラスの実力を誇っています。そのマイアミビーチのバレエ団を藤沢に招聘するなど、発信力のあるイベントを企画してはいかがでしょうか。市の見解を伺います。

【答弁】 中島生涯学習部長

 オペラを活用した他都市との連携なども含めた文化芸術振興策については、本市のこれまでの取組や実績などを踏まえて、幅広い角度から研究していく。

 

(7) 教育について ①保育園・児童クラブについて

 保育園の待機児童は、ツイッターが国会でも論争になるなど、まさに社会問題となっています。藤沢市でも待機児童ゼロを打ち出し、定員も大幅に増やすなど改善策をおこなっており、大いに評価いたします。

 しかし、例えば便利な場所の保育園は入所希望が多く、希望する園に入れるかというとそうではありません。であれば、第一希望はあきらめて、入れる園にしよう、と考える方もいらっしゃるでしょう。その際に、頼りにするのは、市のweb siteだと思います。藤沢市では、各園の入所数と空き人数については、ホームページで見られますが、どれくらい入所希望があるのか、人気があるのかは掲載されていません。

 ですが、近隣市では、各園ごとの入所待ち人数を公開しており、どこの園は人気があって待ちが多い、ならば待ちが少ないところに希望を変えよう、という対応ができるようになっています。本市でも、このようなきめ細かい情報提供が必要だと考えます。見解をお聞きします。

【答弁】 平岩子ども青少年部長

 各園ごとの申し込み人数が、複数園を申し込んでいる場合における延べ人数であることをお知らせする中で、平成29年度の募集を開始する時期までに行っていく。

 

ひきつづき質問

 現在、藤沢市では認可保育所において病後時保育を実施していますが、病児保育は行っていません。子どもが急に病気になっても、なかなか仕事を休めない、という方もいます。病児保育が求められていますが、設置について市の考えをお聞きします。

【答弁】 平岩子ども青少年部長

 事業実施に当たっては、専用スペースの確保や医療機関との連携体制の確保などの課題もあることから、今後、関係機関を含めて協議・調整を図っていく。

 

ひきつづき質問

 子ども子育て支援新制度の施行により、放課後児童クラブの定員が拡充されました。それに合わせて指導員の増員が必要になっていますが、指導員の確保についてお聞きします。また、新たに採用した指導員の研修についての取り組みをお聞きします。

【答弁】 平岩子ども青少年部長

 47クラブ中43クラブを担っている公益財団法人藤沢市みらい創造財団では、平成27年度に新制度の施行に伴い、指導員の配置基準を充実するとともに、賃金単価アップや諸手当・勤務体制・諸休暇制度の見直しなどの処遇改善を行い、人材確保をしている。28年度には、全てのクラブ長を正規指導員化し、運営体制の強化をしている。

 

(7) 教育について ②藤沢市独自の奨学金について

 子どもの貧困対策として、鈴木市長が藤沢市独自の奨学金の創設を打ち出されたことは高く評価いたします。この奨学金の内容について、どのような検討を行っているか、お聞きします。

【答弁】 小林教育次長

 現在、「藤沢型地域包括ケアシステム」の中の「子ども・子育て・若者に関する専門部会」において、大学等への進学の支援策として、給付型奨学金の創設について検討しており、特に支援を必要とする子どもを対象とした、藤沢型奨学金制度を検討していく。

 

(7) 教育について ③中高生を対象とした「居場所づくり」について

 昨年の2月、川崎市の多摩川河川敷で、中学1年生の少年が仲間から首を切られ殺害される、という衝撃的な事件が起きました。亡くなった少年の苦しさ・悲しさはいかばかりだったかと思うと、言葉になりません。加害少年がいかに凶悪だったか、と報じられる一方で、加害少年は凶悪でも凶暴でもなかった、という報道もありました。どちらが本当なのか。

 いずれにせよ、被害者も加害者も、夜遅くまで働かざるをえない、一人親家庭の生活困窮世帯の少年たちでした。そして、彼らの居場所は多摩川の河川敷にしかなかった、と言えるかもしれません。小学生の放課後の居場所は制度化されましたが、中学生、それ以上となるとどうでしょう。今回、神奈川県は生活困窮世帯の中・高校生を対象とした夜の“居場所”づくりに取り組む方針を打ち出しました。画期的だと思います。藤沢市としても、中高生の居場所づくりを検討するべきだと思います。市の見解をお聞きします。

【答弁】 平岩子ども青少年部長

 青少年会館内にアリースペースを開設し、自由に過ごすことのできる居場所を提供している。また、地域での取り組みとしては、片瀬しおさいセンターで週2回、平日夜間に青少年サポーターを配置して居場所を提供している。更に、ひとり親の子どもたちなど、夜間自宅で1人で過ごす青少年に対して、生活、学習等を支援する居場所の提供も喫緊の課題と捉え、県の補助金等を活用する中で、事業の検討を進めていく。

 

(7) 教育について ④教科書採択制度について

 先般、複数の教科書会社が公開してはならないはずの採択前の教科書を一部の教員に見せ、場合によっては「交通費」などを支払っていたという問題が発覚しました。そして調査の結果、藤沢においても当時の校長1名が教科書を閲覧していた事実が明らかになりました。一般の教員に対して教科書関係者との接触を戒める指導をしてきたはずの学校長の行為は、大変問題です。事実関係を明らかにするとともに、今後どのような再発防止策をとるのか、お聞きします。

【答弁】 吉住教育部長

 本市では、調査の結果1名について、閲覧の事実や謝礼等の受理があったとことを確認している。また、教職員と教科書発行者とのかかわりについては、文部科学省からの通知に基づき、発行者による過当な宣伝行為により影響を受けてはならず、採択の公正確保を徹底することが重要であることを周知している。今後も、継続した注意喚起が必要であると考え、周知徹底していく。

 

ひきつづき質問

 また調査の結果、ある教科書発行会社が、複数の自治体の教育長に接触し、教科書を閲覧させていたことがわかりました。これは教科書の採択権を持つ立場の者への接触であり、一般の教員への接触とは次元の異なる、きわめて重大な問題です。本市でも、こういう問題がなかったのか、あらためて各教育委員に対して調査する必要があると考えます。市の見解をお聞きします。

【答弁】 吉住教育部長

 文部科学省の通知において、全ての採択関係者に対して、採択の公正確保を一層徹底することが重要であると示されており、本市でも、学校、教職員と同様に、教育委員に対して、教科書採択に関する公正確保について、周知徹底を図っている。

 

ひきつづき質問

 藤沢市の教科書採択の方針について、教科書の採択というのは、きわめて専門性が高い作業だと思います。全教科、合わせて100冊以上となりますが、その全てを教育長と教育委員で読み込みどれが相応しいか、答えをだす。これは事実上不可能でしょう。やはり、教科書を使って生徒を教える現場の先生方が中心となって調査・分析を行い、その結果をもって採択権を持つ教育委員が決める、というのが妥当な流れかと思います。さて、藤沢市の採択方針はどうでしょうか。

 “基本的な考え方”として3点あげられており、1点目は国、県、市の資料等を踏まえて採択する、2点目は公正かつ適正を期し採択する、3点目は学校、児童生徒、地域等の特性を考慮して採択する、本市の児童生徒の実態や地域の特性を考慮して採択する、とあります。これを見ると、なるほど、一見して特に問題を感じません。しかし、他と比較すると、疑問が出てきます。例えば、ある地区では、教科書について、“十分調査研究を行い、公正に審議すること”とありますが、本市にはそのような文言は見当たりません。また、学校等の意向に十分配慮すること、とありますが、本市には特性を考慮して採択する、とあるのみです。

 本市の採択に対する“基本的な考え方”の2点目としてあげた、公正かつ適正を期し採択する、という文言の後に、“静謐な採択環境を確保し、採択権者としての判断と責任において公正かつ適正な採択を行う”とあります。先ほど他地区の例をあげましたが、十分に調査研究を行い、となっているのに対して、藤沢市では教育委員の判断と責任、とあるのみです。

 教育委員制度は「レイマンコントロール(layman control)」という考え方に基づいています。レイマンとは素人の意で、政治・行政に、素人である住民の意思を反映させることにより、専門家の独断から生じる過ちや偏りを防ぐ、という考え方です。専門家が一旦コントロールを失い暴走しだしたら取り返しのつかない災いをもたらすことは先の大戦や原発事故を始め数多の歴史で証明されています。

 しかし、これはあくまでも“観念”であり、レイマンだけで判断できると考えるのもどうかしており、実際にはレイマンの判断の補佐を専門家が担う、協働作業なのです。最初に申し上げたように、100冊以上の教科書を、専門家でない教育委員が判断するのは無理があります。やはり、専門家である学校現場の意向に十分配慮すること、のような方針のもとで採択するといった方法に改めるべきだと考えます。市の見解を伺います。

【答弁】 吉住教育部長

 教科用図書の採択方法については、教育委員会会議で教育委員が決定する教科用図書採択方針の中に示されるものであり、事務局としては、今後、教育委員が教科用図書採択方針を決定するための判断材料として、様々な資料を提供していく。

 

(7) 教育について ⑤ふじさわ教育大綱について

 市長は施政方針の中で、“多様性”という言葉を再三使っておられます。市長の仰る“人の和”とは、画一性を求めるものではなく、多様な主体が互いの違いを認め合いながら共に生きる、つまり“インクルーシブ”なまちづくりの視点を前提としたものと考えますが、あらためて確認させていただきたいと思います。 

 “ふじさわ教育大綱(素案)”を拝見しました。これは、私が考える“学び”とは方向が全く異なっています。本来であれば、“市民の学びを支援するための藤沢市の役割”が書かれるべきところが、“藤沢市を輝かせるための市民の役割”を定める文章になってしまっています。これでは主客転倒だと言わざるを得ません。人は学びを通して何を得るのでしょうか。先ほど紹介した、湘南台高校の川口校長先生は、「より良く人生を生きるためには、まず、自分を知る。そして、人間を知る。さらに、科学的に考える。これを『哲学』と言う。そのように、主体的に考えることを覚えて欲しい」という理念で教育に取り組んできたと仰っていました。私にはこちらの方がしっくりきます。主体的に学ぶ。

 大綱には、まず個性を尊重することが謳われ、その個性に応じた学びの保障を市がおこなう、という順番になるのではないでしょうか。まず個人の学びを保障するという市の責務を謳い、個人として学び、結果的に個人の役割として“市を輝かせる”ことにつながる、というのならば理解できます。いずれにせよ、あまりに論議が不足しており、もっと論議を深めて策定すべきだと考えます。見解をお聞きします。

【答弁】 竹村企画政策部長

 いただいた意見も踏まえ、総合教育会議において、更に協議調整を進めていく。

 

ひきつづき質問

 この大綱と関連する教育振興計画や生涯学習プランとの整合性について、確認させてください。

【答弁】 竹村企画政策部長

 大綱のサブタイトルである「学びの環」 「人の和」 「元気の輪」は、教育振興基本計画ならびに生涯学習ふじさわプランにリンクをさせ整合性を持たせている。大綱は、教育の目標や施策の根本的な方針となるもの。本市では、全ての方を対象に「学びを通したまちづくり」を視点に策定を進めているので、来年度以降の教育総合会議において、全ての方の生活の中で活かしていただけるよう協議調整を進めていく。

 

2. 松下賢一郎議員 (藤沢市公明党 質問持ち時間 70分)

(1) 本市の財政運営について

  ① 今後の財政見通しについて

(2) 市民の生命と財産を守る備えについて

  ① 市民と共に築く防災対策について

  ② 安全な暮らしを支える都市基盤について

(3) まちの魅力と活力創造について

  ① 未来に向けた元気なまちづくりについて

(4) 誇りと愛着の持てる地域づくりについて

  ① 藤沢の歴史・文化を大切にしたまちづくりについて

(5) みんなで支える藤沢っ子の未来について

  ① 子ども・子育て支援策について

(6) 健やかな暮らしを支えるまちづくりについて

  ① 地域コミュニティの醸成について

  ② 福祉と健康のまちづくりについて

 

3. 渡辺光雄議員 (自由松風会 質問持ち時間 70分)

(1) 市長の政治姿勢について

  ① 未来に向けた元気なまちづくりについて

  ② 再生から創造へについて

 以上、報告とします。

 

 

 

 

 


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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