2016.2.2 災害対策等特別委員会

 2月2日 9:30より、藤沢市議会災害対策等特別委員会が開催され、傍聴しました。内容の抜粋は次の通りです。

 

1. 藤沢市地域防災計画の改訂について

 藤沢市地域防災計画は、東日本大震災など大規模災害の教訓、災害対策基本法の改定、防災基本計画及び神奈川県地域防災計画の修正等を踏まえ、平成25年7月に全面的な改訂を行いました。また、平成26年3月及び平成27年3月には、災害対策基本法等災害関連法令の改正等を受け、必要な修正を行ってきました。

 その後、神奈川県は、国の新たな見地を基に津波浸水予測を見直すとともに、津波防災地域づくりに関する法律に基づく「津波浸水想定」を平成27年3月に公表し、同年5月には、平成25・26年度で行った「地震被害想定調査」の結果を公表したほか、神奈川県地震防災戦略の見直しを進めています。

 以上のように、本市に関わる状況の変化に対応する必要が生じたことから、本計画の改訂をするもので、本日、改訂素案が報告されたものです。改訂の内容の抜粋は次の通りです。

(1) 改訂の視点

 今回の改訂では、県による「津波浸水想定」や「地震被害想定調査」の公表、関連法令の改正、平成26年10月の台風18号における対応状況などを踏まえて、次の5つの項目を改訂の視点としました。

 ① 被害想定の見直し

 ② 災害対策基本法その他の災害関連法令の改正等に伴う見直し

 ③ 適切な災害対応の視点からの見直し

 ④ 新たな要素に基づく検討

 ⑤ その他(時点修正や文言整理等)

(2) 改訂の視点から見た主な修正内容

 ① 被害想定の見直し

  a) 地震被害想定の見直し

   新たな神奈川県地震被害想定調査に基づき、本市に最も大きな影響を及ぼす「大正型関東地震」を想定地震として見直す。

   現行の避難者数(1日後) 187,980人(南関東地震) ⇒ 237,900人(大正型関東地震)

  b) 津波想定の見直し

   神奈川県が平成27年3月に公表した「津波浸水想定」において、本市における最大クラスの津波である「相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル)」を津波の想定として見直す。

   ・ 現行の第1波到達時間10分以内(南関東地震) ⇒ 最大波到達時間12分

   ・ 現行の最大津波高さ10.7m ⇒ 11.5m

   ・ 最大浸水面積約4.0k㎡ ⇒ 4.7k㎡ 

  c) 比較的発生頻度の高い津波(L1津波)及び最大クラスの津波(L2津波)に対する考え方を記載し、現状の記載内容を修正する。

  d) 震災廃棄物の発生量について、新たな被害想定に基づき修正する。

   ・ 震災廃棄物発生量 362万トン ⇒ 619万トン

 ② 災害対策基本法その他の災害関連法令の改正等に伴う見直し

  a) 建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正に伴い、建築物耐震化の推進の現状、課題、取り組みの方向及び主な事業を修正する。

  b) 災害対策基本法に基づく災害ごとの「指定避難所」等の分類について、市民に分かりやすい呼称とするよう、今後検討する項目を追加する。

  c) 災害廃棄物の処理に関して、国の災害廃棄物対策指針を踏まえることを追記修正する。

  d) 風水害対策に関して

   ・ 特定都市河川浸水被害対策法に基づく雨水流出抑制の推進を追加する。

   ・ 下水道法の改正に伴う浸水被害対策区域等の記述を追加する。

   ・ 災害対策基本法の改正等を踏まえ、河川の基準水位の見直しを予定することを追加する。

 ③ 適切な災害対応の視点からの見直し

  a) 組織及び配備体制に関して

   ・ 緊急的な災害警戒態勢や市民の安全確保を迅速に実施するための対応を審議する「災害警戒関係部局会議」を追加する。

   ・ 災害対策本部の設置運営にあたる本部事務局の所掌事務を各指揮本部から独立した項目として整理するとともに、本部事務局従事職員の班編成や任務を明確化する。

   ・ 2号配備(市内で震度5弱、相模湾・三浦半島に津波警報発表等)以上の状況の時は自動参集することなど、職員の配備体制及び参集基準を明確化する。

  b) 風水害対策に関して

   ・ タイムライン(防災行動計画)の考え方について、大規模な水災害の発災前から時間軸に沿った具体的な対応の計画を事前に作成することや、この計画に沿った対応を図ること等を新たに位置づける。

   ・ 水害避難所の位置づけを明確化する。

   ・ 水位周知河川情報の収集・伝達の項目を追加する。

  c) 竜巻被害対応、大雪被害対応及び火山被害対応の現状及び対策の内容を充実させる。

 ④ 新たな要素に基づく検討

  a) 情報収集・伝達の手段と考え方に関して

   ・ 地図情報としてのハザードマップによる情報提供を追加する。

   ・ 新たな情報提供ツールとしてスマートフォンアプリを追加する。

   ・ 交通機関との情報共有の項目を追加する。

   ・ 市民同士の情報共有への支援の項目を追加する。

  b) 災害時の医療体制について、地域災害医療対策会議との連携や災害協力病院の項目を新たに位置づけ、追記する。

  c) 防災制度の充実・強化の章を新たに設け、災害の歴史史料や市の防災対策の変遷等に学び、今後の対策に生かすこと、災害復興の重要性と復興まちづくりの展望、並びに「(仮称)防災・減災アクションプラン」など総合的な取り組みの重要性等についての考え方を明記する。

  d) 地区防災計画の推進の章を新たに設け、江の島防災対策協議会による「江の島防災計画」を追加する。

   ・ 2020年東京オリンピックにおけるセーリング競技会場としての防災対策の必要性を明記する。

   ・ 津波避難経路の整備、緊急津波避難場所の確保、並びに頂上部の配水池跡地を活用した災害時応急給水対策等を進める。

   ・ 水害避難所の指定や防災訓練の実施等の対策を進める。

  e) 他の計画との整合に関して

   ・ 都市マスタープラン改定の進行との整合性を図る。

   ・ 公共施設再整備基本方針等との整合性を図る。

   ・ 焼却施設整備基本計画等との整合性を図る。

  f) 復興対策のソフト面の考え方として、コミュニティの復興対策の項目を新たに設け、住まいや生活への支援及び市民活動との連携を図り、災害復興基金の活用を進める。 

 ⑤ その他(時点修正や文言整理等)

  a) 市民党への防災知識の普及に関して、新たな要素を追加する。

   ・ ホームページの活用を追記する。

   ・ 新たな津波浸水想定、帰宅困難者対策、感震ブレーカー、空き家対策等の新たな知見や対策について、市民への啓発を図る。

  b) 消防体制に関して

   ・ 消防通信体制を充実強化することを追記する。

   ・ 救助・救急、消火活動について、「消防活動の基本方針」に基づくことを追記する。

  c) 避難場所に関して、一定期間避難生活を送る「避難施設」と緊急的に避難する避難場所等に分けて表記する。

  d) 要配慮者対策に関して

   ・ 心のケアの取り組みを追加する。

   ・ 対象別要配慮者の記載をコラム欄から本文中へ変更する。

  e) 被災者救援対策に関して、市民や企業に対する非常食等の備蓄要請期間の表現を統一して、「最低3日分(可能な限り7日分)」に修正する。

  f) 秋葉台文化体育館の役割について、緊急物資輸送拠点から遺体安置所へ変更する。

  g) 燃料の確保に関して、自家用給油取扱所を新たに位置づける。

  h) 災害救援ボランティア活動に関して、「災害救援ボランティアセンター」等の文言を実態に合わせて修正する。

  i) 災害時における性同一障がいの人への配慮を追記する。

  j) 帰宅困難者対策に関して

   ・ 災害時帰宅支援ステーションの活用を追加する。

   ・ 一時滞在施設についての項目や資料を追加する。

  k) 応急仮設住宅に関して

   ・ 必要戸数の把握について、調査区分等を追記修正する。

   ・ 応急修理マニュアルの準用の項目を追加する。

  l) し尿の処理に関して、トイレ処理袋の使用を追記する。

  m) 災害復旧に関して

   ・ 被災地における防犯対策の強化について追記する。

   ・ 農水産業者に対する再建支援の対策等を追記修正する。

  n) 時点による修正及び防災関係機関・各指揮本部等からの指摘事項に関して、数値や名称等について必要な修正を行う。

清水委員

 地震による想定被害がほぼ2倍となった。課題は?⇒備蓄整備が課題。

 津波想定の第1波は6分と早くなる。南部では10分以内の避難が目標となっていたが?⇒警報から安全な場所に避難することが重要。第1波10分の避難訓練をしてきた。考え方を変えることなく、更に徹底していく。

 津波到達時間が早くなった。津波避難ビルへの直接避難を強化すべきだが?⇒浸水域が0.7の㎡拡大した。10分以内での避難距離が長くなったため、民間ビルの協定、民間ビルのフェンスなどの整備を更に進めていく。

 津波浸水域外へ避難するという考えは変わらないか?⇒浸水域外か高いところへ避難する考え。

 火山灰による被害について、注意喚起の考えは?⇒富士山の噴火で10cmの火山灰が積もると想定される。山梨、静岡、神奈川県の協議会で検討をしている。動向を注視していく。

 空き家の倒壊対策はどうしていくのか?⇒今後、防災上の観点から検討していく。

 災害の歴史から学ぶとあるが、どう教育として進めていくのか?⇒過去の歴史を学んで今後に生かしていくことが重要なので追加してた。教育委員会が「地震そのとき学校は」により取り組んでいる。

阿部委員

 要配慮者はすぐに避難できない。周知をすべきだが?⇒防災訓練、防災講話などで啓発していく。

 要配慮者の福祉避難施設について、ヘルパーの派遣事業者と協定を結ぶべきだが?⇒NPOの障がい者向けのヘルパーの会議があり、要配慮者対策の話し合いを始めている。今後、協力を求めていく。福祉施設についても協定施設を増やしていく。

 応急仮設住宅について、要配慮者が優先されるべきだが?⇒避難者の中で配慮が必要な人を優先できるよう検討していく。

西委員

 要配慮者むけに、仙台市、町田市、寒川町などでヘルプカードというものがあるが?⇒藤沢市の防災ナビの中に同様な防災カードがついている。福祉団体連絡会と話しながら普及に努めていく。

北橋委員

 被害想定について5万人増える。条件は?⇒冬の平日18:00に発災した想定。

 備蓄について、段ボールベッドは備蓄されているのか?⇒短期間で確保できるので備蓄していない。

 仮設トイレの洋式トイレの状況は?⇒小・中学校のマンホールトイレは和式。組み立て式は旧式は和式、新型は洋式。

 災害廃棄物の量が増えたが対策は?⇒国からの仮置き場の選定調査をしている。市内5か所の仮置き場では不足が想定される。調査結果を見て、処理計画を策定していく。

味村委員

 津波想定CGの活用状況は?⇒自治会・町内会・自主防災組織などへの防災講話で活用している。ホームページ、防災危機管理室、市民センター・公民館でDVDを用意している。

 想定の見直しに伴い作成しなおすのか?⇒津波高最大1m違うが、イメージは変わらないので更新はしない。

原田委員

 避難行動の考えについて、市民への周知はどうしていくのか?⇒津波避難10分以内を基本としながら、各地区の津波避難訓練や講話で周知していく。

 ハザードマップは作り直すのか?⇒県の動向を見て、平成28年度以降に検討していく。

 沿岸3地区の津波避難訓練について、3.11が風化してきている。参加者数の状況は?⇒減ってきている。風化させないように取り組んでいく。

 鎌倉戦隊ボウサイダーという取り組みがある。訓練に子どもや若者が参加しやすい工夫が必要だが?⇒何等かの工夫が必要と考えている。

 火山灰について、どう処理するのか?⇒山梨、静岡、神奈川県で検討しているので、その動向や火山噴火のある他市の例を参考に検討していく。

永井委員

 新たな情報ツールの検討とは?⇒スマホ版防災ナビでは、Jアラート情報をポップアップする機能ある。SNS情報を災害時に共有できる考え方を取り入れた。

原委員

 防災ナビの活用状況は?⇒冊子版18万世帯へ全戸配布した。市民へ周知する重要なツールとして活用している。

 市民がどのくらい活用しているのか検証が必要だが?⇒自主防災組織連絡協議会で活用状況を聞いたが、みていない世帯も存在するが、内容は評価されている。スマホ版とあわせて取り組んでいく。

 防災倉庫の備蓄の管理状況は?⇒避難施設、市民センター・公民館など約100ある。13地区の防災担当者や防災訓練時に点検をしている。

 江の島のバリアフリー化について、防災の視点からも必要だが?⇒オリンピックだけでなく、災害発生の際の影響を検討する必要ある。その視点でバリアフリー化を検討していく。

 災害廃棄物の増に伴って、北部の焼却炉の考えに影響あるのか?⇒災害ゴミの処理は619万トンで、中には瓦礫も入っている。全て焼却する想定ではない。災害ゴミの想定も踏まえて設計していく。

 防災・減災アクションプランは、いつ頃までに取りまとめるのか?⇒県が地震防災戦略の改定を進めているので、その動向を踏まえて、なるべく早く整理していきたい。

吉田委員

 オリンピックはどんな災害を想定しているのか?⇒地震、津波、テロ。

 オリンピックの準備について、危機管理対策はどこが主体で進めていくのか?⇒県が計画をつくっているところ。警備、テロ対策、自然災害など、リスク評価したうえで、避難計画に位置付ける。海外からのヨット関係者は津波を危惧している。不安軽減に向けて県と協議をしていく。

 主体は県との事だが、県から市へ要請があるということか?⇒県議会で調整素案が出ている。その素案を基に、県と調整している。

 以上、報告とします。

 

  


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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