下水汚泥焼却灰の希釈施設設置について

 4月3日の神奈川新聞で、放射性物質を含む焼却灰の処理を進めるため、希釈施設を新設することが4/2に分かったと大きく報道されました。その内容は、放射性物質を含む下水汚泥焼却灰に土や砂を混ぜ、40倍程度に薄め、1kgあたりのセシウム134、137の合算値を50ベクレル以下とするもの。そして、希釈した焼却灰をセメント製造会社などの再資源化業者に処理をしてもらうことを見通しているとの事です。

 8月にも着工、来年1月の完成をめざすとしており、かかるコストは、整備費が約5千万円、装置などのリース費用が月額で約540万円と試算し、全額を東京電力に請求する方針と伝えています。

 私を含めた議会は、そのような詳細について、市側から説明を受けていません。これまで市側からの説明は、平成24年2月議会と9月議会の建設経済常任委員会で報告・説明がされています。その時の私のホームページでの報告は次の通りです。

 

【平成24年2月議会】 建設経済常任委員会 2012年3月7日

報告(5)放射性物質を含む下水汚泥焼却灰等の保管について

 藤沢市の下水汚泥焼却灰は、セメント会社に処分を委託し、セメントの原材料として、再利用を行ってきましたが、福島原発事故に伴う放射性物質が、本市の下水汚泥焼却灰等から検出され、その処理方策が決まるまで、浄化センター内で保管・管理を行ってきました。

 ①保管量(2012年2月10日現在)

 下水汚泥焼却灰:約860トン 洗浄沈砂:約260トン

 ②放射性物質濃度

 焼却灰:過去最大5,042ベクレル/kg→1,060ベクレル/kg(2月8日)

 洗浄沈砂:過去最大2,152ベクレル/kg→105ベクレル/kg(2月8日)

 ※増減を繰り返しながら減少している。

 ③保管計画

 辻堂浄化センターに専用貯蔵施設を設置して、保管をしているが、保管が限界に達するため、大清水浄化センターにも保管していくこととし、大清水地区下水処理場連絡協議会や近隣自治会と協議を行い、平成24年度の早い時期に専用の一時保管場所の確保を行っていく。

 ④処理方策

 特別措置法では、8,000ベクレル/kg以下の焼却灰は、特定産業廃棄物として位置付けられ、特別の処理基準を加えた廃棄物処理法に基づいて自ら処分することとされている。

 しかし、本市の焼却灰の放射性物質濃度は、増減を繰り返しながら全体的に低下傾向にあり、再資源化事業者の示す受け入れ基準300ベクレル/kgに近づきつつある。今後も、測定を継続するとともに、受け入れ基準の緩和や、焼却灰の希釈したものの受け入れなどを含めて、搬出の再開に向けて、再資源化事業者と交渉を進めていく。

 ⑤損害賠償請求

 下水汚泥焼却灰等の対応に要した経費については、平成24年1月4日に行った、第1回目の損害賠償請求に継続して、東京電力に対して、損害賠償請求を行っていく。

友田委員

 大清水周辺住民への説明スケジュールは?→周知方法について、大清水地区下水処理場連絡協議会や自治会と相談している。近くの小学校へもお知らせし、ホームページでも周知していく。

 辻堂浄化センターから大清水への運搬方法は?→大型の土のう袋に入れ、雨や風に支障のない4tトラックで運搬する。

 大清水浄化センターにも限りある。どのくらい試算しているのか?→辻堂は平成24年8月まで可能。大清水での保管は4年間と考えている。

 大清水も一杯になったとき、どうするのか?→特別措置法によれば、特定廃棄物として埋め立て処分できるが、再資源化に努めていきたい。

桜井委員

 大清水浄化センターに専用の貯蔵施設を設置するスケジュールとコストは?→各自治会へ安全性と経過を回覧し、個別説明会をしていく。コストは、5年リースで1棟年間3,500万円。

 再資源化に向けた安全性の見通しは?→再資源化業者は国のクリアランスレベルを遵守している。業者ごとに設定している。当初は0ベクレルだったが段階的に現在300ベクレルに設定されている。

 東京電力への請求は?→1月4日に請求した額は、約3,400万円。測定器が280万円、運搬・保管に3,140万円など。

 今、保管している焼却灰、今後、どうしていくのか?→希釈を検討している。3,000ベクレル/kgあれば、土砂で10倍にうすめ、300ベクレルに希釈できる。その方策で受け入れられないか業者と交渉している。

 

【平成24年9月議会】 建設経済常任委員会 2012年9月6日

報告(2) 放射性物質を含む下水汚泥焼却灰等の保管等について

 この報告は、2月議会の建設経済常任委員会にて、焼却灰等の保管について報告されましたが、それから半年が経過したため、改めて報告されたものです。内容(抜粋)は次の通りです。

1.保管状況

(1)保管量

①下水汚泥焼却灰 約1,018 トン

②洗浄沈砂 約392 トン

(2)放射性物質濃度

①焼却灰 最大5,042ベクレル/kg~最小540ベクレル/kg  8月8日測定値 700ベクレル/kg

②洗浄沈砂 最大2,152ベクレル/kg~最小105ベクレル/kg  8月8日測定値 300ベクレル/kg

※特別な処理基準を加えた廃棄物処理法に基づいて処分が可能とされる、8,000ベクレル/kgを大幅に下回っている状況です。

(3)敷地境界の放射線量

 保管している辻堂浄化センターの敷地境界、東西南北4カ所の放射線量は、過去最大で0.100マイクロシーベルト/h、過去最少が0.045マイクロシーベルト/hで、8月8日測定値は0.051マイクロシーベルト/h。国で定めた追加被ばく放射線量0.19マイクロシーベルト/hを下回っている状況です。

(4)試行としての搬出

 再資源化事業者への試験的な搬出は、平成23年12月21日から開始し、今年の6月中旬までに約436トンを搬出した。しかし、再資源化事業者を取りまく状況の変化により、今年の6月20以降は、受入停止となっています。

2.保管計画

(1)地元等との協議結果

 現段階で、地元町内会等から、保管計画について、特段の反対意見がなかったことから、近隣住民から一定の理解が得られたものと判断し、広報への掲載と並行して、保管倉庫の発注準備を進め、平成25年2月下旬の完成をめざしている。

(2)保管計画

 下水汚泥焼却灰等については、平成24年1月1日に施行された、放射性物質汚染対処特別措置法等に基づき、引き続き、保管・管理を行っていく。

 辻堂浄化センターでの下水汚泥焼却灰の仮置きについては、試行として搬出したこともあり、平成25年2月まで可能と見込んでいる。辻堂浄化センターの貯蔵能力を超える下水汚泥焼却灰については、大清水浄化センターに建設する保管倉庫に運搬し、一時保管を行う。

(3)処分について

 現在、保管及び発生している下水汚泥焼却灰は、全て8,000ベクレル/kg以下であるため、放射性物質汚染対処特別措置法により、特定産業廃棄物として位置づけられ、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」及び放射性物質汚染対処特別措置法に基づいて、下水道管理者が自ら処分することとされている。

 保管している下水汚泥焼却灰の処分については、濃度を低減させるための希釈処理施設の設置に向けて、調査・研究を進めるとともに、再資源化事業者と協議を進め、処分の再開をめざす。

 更に、放射性物質の分離技術など、新たな処理技術の研究や開発に注視し、最新情報の収集を行うとともに、今後も他自治体と連携して、国への要望を積極的に行っていく。

3.損害賠償請求

 東京電力に請求。平成24年5月24日に第1回分として34,471359円が入金された。7月9日には、第2回の請求(67,914,321円)を行った。今後も、継続して、保管倉庫の設置費用や希釈処理施設に係わる費用も含めて損害賠償請求を行っていく。

★以上が、これまでの経過です。平成25年2月議会において、予算等特別委員会で、平成25年度予算を審査しましたが、その中で、焼却灰の希釈施設設置については、市側からの説明はありませんでした。しかし、私のとっていたメモでは、加藤(なを子)議員の質疑の中で、次のようなやりとりがありました。

加藤(なを子)委員

 汚泥焼却灰の数量、濃度などの状況は?→保管状況は、辻堂浄化センターで平成25年3/8現在、約1,521トン。大清水浄化センターの保管倉庫が2/20に完成し、辻堂センターより運搬受入で108トン。合計1,629トン保管しており、可能な限り再資源化していく。放射線濃度は、3/11には370ベクレル/kgとなっている。

 今後、大量の焼却灰をどう処分していくのか?市民への情報提供は?→1,600トンの焼却灰の放射線濃度を下げるための希釈施設の費用を平成25年度予算に計上した。再資源化業者に直接搬出を検討している。情報は、ホームページ、浄化センター内の掲示板で提供していく。

【問題点】

 私は、この経過について、次のような問題点があると思います。

①平成24年2月議会と9月議会での報告・説明の経過からして、平成25年度予算に計上したのであれば、施設内容、スケジュール、市民への説明などについて、9月議会以降の研究・検討状況について、市側が丁寧に説明するべきであった。

②加藤議員の質疑において、平成25年度予算に計上されていることが判明したが、その質疑がなかったら、予算書では、その費用が計上されていることを確認することが困難なため、市民の関心度が高い重要な事業について、審議がされない可能性があった。

③市民の関心が高いにも関わらず、質疑において、詳細な説明を求めなかったことについて、議会としての役割を十分に果たしたとは言えない。

★私は、自分も予算委員だったので、このことについて、市側に説明を求めるべきであったと思います。しかし、予算の概況にも掲載されていなかったことから、質疑通告をしませんでしたので、質疑ができませんでした。このことについては、反省しなければなりません。

 市側の焼却灰処分の対応については、説明不足により、議会や市民との信頼面で、課題を残したと言えますが、このまま増え続ける焼却灰をどうにか処分する必要もあるわけです。現在、考えられる方策の中では、選択できる手法と考えます。今後は、再資源化された製品の安全性を確認するなど、市民に理解されるための情報提供に努めるべきと考えます。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

アーカイブ