2013.2.8 議員全員協議会(総合計画・土地開発公社)

 2月8日 議案説明会終了後、議員全員協議会が開催され、総合計画のあり方、土地開発公社のあり方について、市側から説明がありました。内容(抜粋)は、次の通りです。

 

1.藤沢市新総合計画のあり方と今後の方向性について

 藤沢市では、昭和32年に策定された総合都市計画にはじまり、市長交代にあわせて、その都度、新たな計画策定をし、これまでに7計画が策定された。今回、総合計画自体のあり方を検討した結果、総合計画を廃止し、これに替わる、新たな市政運営の総合的な指針を策定するもの。

(1)総合計画の経緯と取り巻く状況

 ①総合計画は、地方自治法の規定に基づき、高度経済成長期に総合的かつ計画的な行政運営を図ることを目的に、基本構想等を議決し、策定することとされた。

 ②しかし、現在は、景気動向による市税収入の変化とそれに伴う事業費積算の見直し、国の制度改正等により、長期的な財政上の事業担保が困難であるとともに、計画と予算が乖離しやすくなっている。

 ③更に今後は、人口減少や経済成長の鈍化により、使える政策的経費の減少が見込まれ、長期的、総合的な事業計画の実効性を確保することが困難と考えられる。

 ④総合計画は、実行性の欠如に加え、施策、事業が総花的になること、計画が形骸化していること、計画策定が目的化してしまう事などが指摘されている。

 ⑤また、近年は、選挙公約(マニフェスト)などで、具体的な施策提案がされ、事業計画との整合性を図ることが困難となっている。

 ⑥このような状況の中で、2011年(平成23年)5月2日に、改正地方自治法が公布され、議決要件と策定義務が撤廃された。 

(2)藤沢市における総合計画のあり方

 ①現行の基本構想・基本計画・実施計画から構成される計画では、策定期間が長期となり、柔軟な変化に対応することが難しいこと、計画策定が目的化していることから、これまでの体系に捉われず、新たな体系により、短期間で策定することが必要と考える。

 ②藤沢市では、これまで、市長交代の都度、計画を改定してきたが、今回、1期4年で市長が交代したことから、多くの時間や労力をかけて総合計画を改定することの是非について検討してきた。

 ③検討の結果、総合計画は廃止し、重点施策を位置付ける、新たな市政運営の指針を策定したいと考える。 

(3)地域まちづくり計画

 ①現行の新総合計画に定める、地域まちづくり計画、地区別まちづくり実施計画は、地域経営会議を中心に案が策定され、地域の課題や特性を踏まえたものとなっている。

 ②従って、地域まちづくり計画は、総合計画を廃止する場合でも、市政運営における各地区の独自性を生かした事業推進に大きく寄与するものとして、内容を改めて整理し、必要な部分を継承すべきと考える。

 ③地区別まちづくり事業について、その公共性・公益性・緊急性等を勘案し、行政責任として、市が実施すべき事業は、事業内容・事業費などを精査したうえで、優先順位を付けて実施する。実施にあたっては、地域での意見、要望を集約しながら、市民センター・公民館が主体となって実施する。

 ④地域が主体となって実施する事業については、行政事業と明確に区別し、市は、その活動を支援する。

(4)新たな市政運営の総合的な指針策定にあたっての基本的な考え方

 ①総合的な指針は、長期展望を持ちながらも、市民の負託を受けた政策、施策の実現性に重点を置き、市長任期を指針の実行期間としつつ、職員が行政計画として共有し、着実に遂行できるものとする。

 ②部門別計画については、計画改定時に指針の重点政策等を踏まえ、同じ方向性を持った政策形成を進めることにより、指針との整合性を図る。

 ③行財政改革の視点を踏まえ、「藤沢市 新・行財政改革基本方針」との連携を図るとともに、事務事業評価に政策、施策の成果等を一体化し、総合的な評価を実施できるようにする。

 ④複雑な構成ではなく、職員が分かりやすく、市民に伝え、市民に理解される体系、構成とする。

(5)新たな市政運営の指針の概要

 ①行政計画として、市政運営における重点政策、主要な施策等を示すことにより、事務事業の方向性を明らかにする。

 ②市政運営に係る政策的事項は、次の構成を想定している。

  ア) 長期展望、めざす将来像

  イ) 市民との約束(市長公約等)

  ウ) 重点政策

  エ) 主要な施策

  オ) 重要・主要事業

  カ) 地区別まちづくり事業

 ③政策、施策を推進するための、重要・主要事業については、政策的経費充当可能額を予測し、確実な事業実施に向けた財政的見通しを明らかにします。

 ④期間は、平成26年度から28年度の3年とし、平成28年度に、平成29年度から32年度までの4年間を見据えた見直しを行う。

 ⑤政策・施策に対する評価は、市民の満足度、実感に関する調査を実施し、その結果により評価、見直しを図る。

 ⑥重要・主要事業については、事務事業評価を踏まえた上で、主要な施策の成果に、その事業成果を示す。

 ⑦目標管理における部目標・課目標・個人目標を、政策・施策と連携させることにより、職員の資質向上を図る。また、政策・施策を共有することで、組織運営の効率化を図る。

(6)策定方法

 ①庁内に検討委員会を組織し、職員による検討を中心に策定する。

 ②市議会からの意見反映については、議員全員協議会を開催し、指針案に対する意見を集約しながら、策定することを想定している。

 ③市民からの意見反映については、新総合計画策定時の「気づき」・意見・アンケート調査結果等の情報を活用するとともに、市民との意見交換会、説明会等を行う。また、地域経営会議に替わる(仮称)藤沢市郷土づくり推進会議や関係団体からも意見・提案を求める。

 ④重点政策・主要な施策については、平成26年度予算編成方針に反映できるよう、8月上旬を目標に整理。全体については、平成25年度中に策定する。

(7)見直しのイメージ

 現行の新総合計画と新たな指針の構成イメージは次の通りです。

【新総合計画】→【新たな市政運営の総合的な指針】

①基本構想→「長期展望・目指す将来像」・「市民との約束(市長公約等)」

②基本計画→「重点政策」・「主要な施策」

③実施計画→「重要・主要事業」・「地区別まちづくり事業」

佐賀議員

 現行の総合計画は、都市計画審議会の審議員が、毎月1回審議。100人委員会、討論型調査などの経緯を経て作成された。多くの方々が関わってきたもの。市議会は、こうやって説明を受けるが、経緯を考えると議会に説明して廃止というのはいかがなものか。どう説明していくのか?→過去は、2年間かけて策定してきたが、4年前は1年半の期間で、多くの方々の尽力で策定された。特に地域経営会議には尽力いただいた。重く受け止めているので、地域まちづくり計画は継承していく。審議会委員の方などには、新年度の中で丁寧に説明していく。パブリックコメントに中でも説明していく。

原田議員

 総合計画を廃止することはトップニュース。市民を含めてどう説明するのか。総合計画の修正、見直しとしなかった理由は?→全国の自治体で定めている総合計画は、昭和44年に義務付けされ、基本構想・基本計画・実施計画の体系をとっている。平成20年度の人口推計では、平成32年度に人口がピークの数値となっていたが、実際は8月1日に、その推定人口を超えた。総合計画測定後の東日本大震災、政権交代など、社会情勢の変化が激しい。今の3層構造では、総花的となり、事業の判断がしにくい。3層から、新たな指針の検討に至ったもの。

 現行総合計画は、3年でローリングすると説明してきた。市長の任期ごとの見直しならば4年ローリングで、総合計画を続けていくこともできたのでは?→ローリングについては、その時点で必要なものを入れていく。現行では3年間いじれないが、スピーディーに随時入れていく。

 今後、市長が代わって、また、総合計画を策定するとならないか。総合計画を策定してきた意義は?→総合計画の考え方は、高度成長の中で、まちづくりを進めていく。行政計画案をたてる時代だったが、社会情勢が激しく変化しており、市長が何を重点に置いて行政運営をしていくか、長期展望に立つなかで、短期的な行政運営をしていく分かりやすいものに。基本的な考え方は総合計画と変わっていないが、短期的な指針を示すもの。

塚本議員

 新しいものに変えるときは波風が立つもので配慮が必要。これまでの新総合計画には延べ約3万人が関わっている。その方々へ配慮するべき。市長の考えは?→特に前回の総合計画策定には多くの方々が関わった。その方々達の意見、資料の良いものは今後も織り込んでいく。その方々にも分かりやすく、理解されるものにしていく。

 市長の公約に分権ないが、考えは?→分権は大事なテーマだ。基礎自治体では、市民サービスをワンストップ、一元化することが大切。13地区センターにという考えもあるが、行政の効率化、地域事情にてらして行っていきたい。

柳沢議員

 総合計画に入っていない、辻堂のC-Xなどが入ってきた。総合計画を廃止した場合、基本的な自治体のあり方が見えにくくなるのでは?→市民憲章に表されている部分と5つのビジョンは共通する。都市宣言や市歌などで普遍的な将来像を示している。相談しながら進めていきたい。

松長議員

 総合計画の廃止は拙速だと思う。市長の思いで見直せばよいのでは?→社会情勢の変化に対応できる新たな指針に変更するもの。総合計画の継続性を保ちながら進めていく。

 地域まちづくり計画を見直すのであれば、13地区の区割りの見直しからすべきでは?→13地区は古くからの歴史があり、地域ごとの認識が根付いている。行政のスリム化は避けて通れないため、13地区のあり方も視野に入れていく必要はある。

原議員

 より多くの方に、なぜ、見直しをするのか、指針の内容を説明してほしい。新しい指針で、総合計画の課題は、解決されるのか?→高度成長期に国の指導で策定され、国の意向を踏まえてきた。自治法の改正で、それぞれの自治体の特色を生かしたものにするべき。短期的な課題に対応できる。3~4年に重点的に取り組むことで、総合計画の課題を解決していきたい。

東木議員

 郷土づくり推進会議について、郷土は歴史・伝統。これから、地域のまちづくりをつくっていくのに違和感あるし、名称も長い。郷土はつくるものではないのでは。再検討すべきだが?→名称については、アンケートした結果で、様々な意見をいただいた。郷土愛あふれる藤沢ををつくるため、分かりやすく優しい名称とした。地域により通称を付けられるようにもした。

宮戸議員

 改正地方自治法について、全国の自治体の状況は?→地方主権改革の一環で、義務付け・枠づけの廃止がされた。独自に議会に付す条例をつくっているところもあるが、全体の70%は検討中とのこと。

 総合計画策定に予算をかけてきたが、今回かかる費用は?→職員が庁内で検討する。外部委託は考えていないが、基礎調査費はかかる。

 

2.藤沢市土地開発公社の今後のあり方について

 土地開発公社のあり方については、善行の土地取得問題を踏まえて、議会がチェックできる仕組みとして、市議会への情報提供に関するルールを定めるなど、その透明性の確保に努めていていますが、議会から、廃止を含めて検討するべきとの強い指摘もあり、再検討した結果が示されました。結果としては、課題の整理と検討に一定の時間を要するため、新・行財政改革実行プランに位置づけ、平成25年度から27年度までの3年間で土地開発公社の存廃について検討していくとの事でした。

 検討内容(抜粋)については、次の通りです。

(1)先行取得の必要性

 ①道路や公園等の整備には、事業開始までに長い時間を要することから、財政支出の平準化の観点からも、先行取得制度の果たす役割は大きい。

 ②仮に、先行取得の制度を活用できない場合、必要とする土地を取得できず、他に売却された後に、売却先の所有者から取得するとなると、当初必要であった用地費に加え、建物移転補償費まで負担しなければならない。また、その交渉に長時間を要することとなる。

(2)土地開発公社の代替機能

 土地開発公社によらない先行取得の制度としては、「用地特別会計」及び「土地開発基金」の活用が考えられる。

 ①「用地特別会計」は、公共用地先行取得等事業債によるものと、都市開発資金によるものがある。事業債の対象となるものは、起債協議年度以降10年以内に事業化されることが要件となっている。都市開発資金は、国が先行取得資金を貸し付ける制度で、土地所有者からの申し出により、概ね5年~10年以内に事業化される見込みの用地取得が対象となっている。

 ②「土地開発基金」は、地方自治法第241条に基づき条例で設置する基金である。藤沢市でも昭和44年度に設置されているが、基金残高は0円となっているため、今後、予算を確保して積立てる必要がある。

(3)「用地特別会計」・「土地開発基金」の効果と課題

 ①「用地特別会計」を活用した場合、議会の議決、内部監査及び住民監査請求の対象となることから、その透明性は確保される。また、市債を発行できるため、当該年度の一般財源の軽減が出来る。一方で、当該予算に計上されていない緊急かつ臨時的な用地取得が生じた場合、議会の議決を得てからでないと予算執行が出来ないことから、対応が遅れ、土地の取得が出来ない可能性がある。

 ②「土地開発基金」を活用した場合、基金にある程度の現金が積立てられていれば、緊急かつ臨時的な場合でも機動的に対応することができる。しかし、今後、大型公共工事の予定や、扶助費の増加等が見込まれる厳しい財政状況から、積立金の予算を確保することは難しい。

(4)土地開発公社を解散した場合の課題

 ①公共事業に必要な広い範囲の土地を、事業開始前に取得する必要がある。

 ②公拡法による買い取りの申し出や、遺産相続等の発生により緊急に取得する必要が生じた場合に、即座に対応できる体制をつくる必要がある。

 ③用地特別会計を活用した先行取得の場合、10年以内に事業化されないおそれある土地は、対象とできない。

 ④土地開発基金を活用して先行取得をする場合、基金に積み立てるための新たな予算を確保しなければならない。

 ⑤土地開発基金で取得した公共用地を一般会計で再取得する場合、国庫補助金を活用することができないおそれがある。

 ⑥現在、土地開発公社が保有している用地を、藤沢市が協定に基づき土地公社から買い取る必要があるため、多くの予算(簿価で約82億円)を計画的に確保する必要がある。

塚本議員

 廃止をするには、82億円という財政負担ある。3年間の検討期間で82億の財政計画を立てるという事か?それとも、見通しが立つという事か?→資金計画を検討する中で、見通しが立つかは、今答えられないが、3年間での買戻しの状況、市の財政計画との関係も含めて検討する。財政計画が立つための3年間ではない。

原田議員

 特別会計や基金とした場合、土地の特定と金額は議会として把握できるのか?→市の予算・決算で把握できるが、基金の場合は、財産として現金が土地に代わるので、議会に情報提供する必要がある。

 村岡地区の目途が立てば廃止をするのか?→廃止するための大きな課題が解決できるので、考えられる。3年間で資金計画が立てられるか、検討期間をいただきたい。

柳沢議員

 理事者の政策的判断で決定できると考える。3年間で判断するつもりなのか?→村岡地区も奥田線も長期の保有となっている。82億円の6割は村岡が占めている。奥田線については、都市計画路線の見直しがあったが、この路線は見直していない。藤沢駅周辺の再整備する中で、交通計画は大きい。駅南側を考えれば、奥田線は必要。今の段階で諦めるわけにはいかない。村岡地区も県・鎌倉市との協議、新駅の費用負担、今までの経緯を踏まえると、今やめるわけにはいかない。買い戻すために国庫補助金の活用を考えると土地公社の先行取得の優位性はある。村岡地区、奥田線の判断をし、土地公社の廃止を判断する。

 以上、報告とします。


おおや徹

藤沢市のためにがんばります!

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